婚約破棄したいんでしょう?って、何を勝手に決めつけてるんですか

NoBorder

文字の大きさ
12 / 18

第12話 私の考えが甘かったようです

しおりを挟む
「ジェーン、そこを通してもらえますか?でないと、あなたと戦う事になるのだけど…」

私は少しですが護身術の覚えがあります。ジェーンはメイドの中では一番パワーがありそうなので、戦いは激闘が予想されました。…ところが、

「わたくしはエレーヌ様をここに留めるようにというご命令はいただいておりません」

と言うとジェーンは正門の前から退きました。

(ジェーンがしゃべった!)という驚きと、その答えの意外さに私はダブルでショックを受けています。

「じゃあ…私、行くね?」

私は正門を押し開け、遂に、屋敷の外に脱出しました!

「わたくしの立場上、協力はできませんが、どうぞご無事で」

ジェーンは深々と頭を下げました。

 * * *

私は草原を駆け回りました。なんと清々しい気持ちでしょう。

考えてみれば、生まれてから一度も草原を思い切り駆け回った経験がありません。そういった意味では、確かに私は何かの呪縛から解放されたのかもしれないと思いました。

私が逃げ出したと知ったコーディは、おそらく追っ手をよこすでしょう。とりあえず近くの村で身支度を整えるとして、その後どうやって逃げ切るか具体的なプランはまだ未定でした。

 * * *

日が暮れて辺りは暗くなってきました。屋敷から延びる道は一本道です。ダルトンはいつも歩いて屋敷にやって来ていたので、この道を歩いて行けば、ほどなく村に着くだろうと思っていました。

しかし、それは考えが甘かったようです。このまま月明りを頼りに進み続けるか、野宿するか…
どちらも私には経験がなく、不安感だけが大きくなっていきました。

ふと気付くと、前方から明かりが近づいてくるのを発見しました。

(しまった、コーディが来たんだわ!)

私はとにかく身を隠そうと考え、道を外れて草原を走り続けました。しかし、足元の見えない暗がりを走るのは無謀な行為でした。
不意に足が宙を蹴り、私は崖から転げ落ちていきました。

 * * *

しばらく気を失っていたようです。幸い崖の高さは大したことなく、かすり傷程度で済んだようです。
しかし立ち上がろとした私は、やっと治ったばかりの右足首を、ふたたび挫いてしまった事に気付きました。
我ながら呆れるしかない事態に、私は何だかおかしくなって笑い出しました。

「誰かいますか!」

崖の上から声がします。 

「もしやエレーヌ様ですか?庭師のダルトンです!」

(ああ、まだ運命に完全には見捨てられてなかった…)

「はい、ここです!私はここにいます!」

私は力の限り叫びました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

処理中です...