婚約破棄したいんでしょう?って、何を勝手に決めつけてるんですか

NoBorder

文字の大きさ
16 / 18

第16話 私は黙ってうなずきました

しおりを挟む
その夜は村の収穫祭でした。村の広場では焚火が燃え上がり、村人はその周りで好きなように飲み食いし、歌い踊っています。

私はその輪の中に加わり他愛もない会話を楽しんでいました。

「ねえ、エレーヌ、ダルトンとはどうなってるの?」

この村で一番の仲良しのフローリアが唐突に訊いてきました。

「どうって、どういうこと?」

私はその意味を察して、あえてはぐらかそうとしました。

「もう!いい加減、ダルトンとの関係をはっきりさせなさいって言ってるの!
幼馴染のあたしが言うのもなんだけど、あいつは底抜けにいいやつよ。あいつと結婚すれば絶対に幸せになれる、あたしが保証するわ」

「フローリア…」

そうなのだ、フローリアはダルトンの事が好き、それは見ていれば分かる。私がダルトンの告白に対する答えを保留し続けているのは、エドワードの事を完全には忘れられていないのもあるが、友人になったフローリアの思いを知ってしまった為でもありました。

「エレーヌさん、ちょっといいかな…」

村長会議を終えたダルトンがやって来て私に話しかけてきました。少し緊張しているようです。

「行ってきなよ」

フローリアは私にウインクしました。

 * * *

ダルトンと私は村の集会所に入りました。

「歓談中に割り込んでしまってすいません…」

ダルトンは申し訳なさそうに頭を掻いた。

「いえ、大丈夫です」

私は緊張から何だかそっけない返事をしてしまいました。

「あ、あの、私は御覧の通りの田舎育ちで、貴族生まれのあなたとは釣り合わないかもしれない」

「そんな…そんな事ありません」

自分を卑下するようなダルトンの言葉を、私は慌てて否定しました。

「あなたの姿を遠くからでも見ているだけでいい、私はそう思っていました…
でも、もし許されるなら、残りの人生をあなたと歩みたい。あなたを笑顔にできる存在でありたい」

「ダルトン…」

「エレーヌさん、これを受け取ってください」

そう言ってダルトンはペンダントを差し出しました。

「我が家に代々伝わる花嫁の証です。私と結婚してください!」

遂にこの時が来ました、決断の時です。私の頭の中を様々な思いがぐるぐると回りました。

(ダルトンは私を愛してくれている…エドワードは私を愛してくれていたのだろうか?)

何だかこれはとてもズルい考え方に思えました。自分の思いではなく、他人の思いに従うことで、自分の思いに決着をつける事から逃げているのではないか?そんな気がしていました。

でも、私にどんな選択肢があるというのでしょう?
エドワードとの婚約は解消され、私の帰れる場所はもうどこにもないのです。

少なくとも目の前にいるダルトンに対して、私は好ましい感情を抱いている、今はそれに従うしかありません。

私は、黙ってうなずきました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

処理中です...