7 / 14
7 無能王子、リーダーに指名される
しおりを挟む
「ちょっと待ってください、僕は勇者パーティーに参加するなんて話、聞いてませんよ」
僕は慌てて否定した。
「それはすまなかった、連絡の行き違いがあったようだ」
言葉とは裏腹にブライツは気にしていないようだった。
「僕はまだ学生ですし、魔物狩りなんて無理です」
「勿論、やるかやらないかは君の自由だ。一応、君のご両親には大帝から要望を伝えていただいて許可は貰っているので、出来れば参加して欲しかったのだが…」
「両親は何と?」
「世の中の役に立てると喜んでいたそうだ」
僕は考えた、もしここで誘いを断って魔法工学院の残ったとして、卒業後の僕を雇ってくれる勇者パーティーなどあるだろうか?両親が勧めるならその道を選ぶ、それがいつもの僕のスタイルじゃないか…
「分かりました。僕、ブライツさんの勇者パーティーに参加します!」
「それなら良かった、歓迎する」
「よろしくなアスト」
ドルチェが僕の肩を叩いた。
エクセリーヌとプレザージュも歓迎の言葉を口にする、しかし、ルキアだけは黙って僕を見ていた。
「ブライツが抜けるって事は、代わりのリーダーを決めなきゃならんな。わしはルキアがいいと思うが」
ドルチェがルキアを見る。ルキアはまんざらでもないのか少しだけ表情を和らげる。
「そうね、ドルチェに無理はさせられないし、私もルキアがいいと思うわ」
エクセリーヌが同意した。
「いや、ルキアには今まで通り戦いの先陣を切るチームのエースとして、新しいリーダーを支えてほしい」
ブライツの言葉に他のメンバーは困惑した。
「おいブライツ、わしはリーダーってタイプじゃないぜ」
ドルチェが首を横に振る。
「申し訳ないが、新しいリーダーに考えているのはドルチェでもない」
「じゃあ誰を?」
「新しいリーダーには、アストを置こうと思う」
「!!!」
場の空気が凍り付く。僕は事態が飲み込めずボーとしていた。
「こんにちはー」
元気な声と共に少女が部屋に入って来た。
「白魔術士のアテッサです。ル・ブランシュ魔法保安協会の紹介で参りま…」
異様な雰囲気に気付いて、彼女は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「いらっしゃい、アテッサ」
エクセリーヌが少女(アテッサ)に声を掛けた。
「ひ、姫様!」
「ごめんなさい、話がひと段落するまで待ってちょうだいね」
「は、はい!」
アテッサは口に手を当てて黙った。
「ブライツ、さすがにその坊やがリーダーってのは無理があるんじゃないか?」
ドルチェが呆れたように言った。
「いいんだドルチェ。師匠がそうしたいと言うなら、俺は受け入れるよ」
そう言ったルキアの手は爪が食い込んで血がにじむほど強く握られていた。
「来ていきなりリーダーと言われても、メンバーは納得しにくいでしょう。
そこで提案ですが、ルキアとアスト君を勝負させて、勝った方をリーダーにするというのはどうですか?」
このプレザージュの提案をブライツは受け入れた。
「分かった。ただし、危険になる前に私が勝敗の判定をさせてもらう」
「俺は師匠の判定を信じます」
ルキアが了承する。僕の意見など誰も気にかけていなかった。
「僕はリーダーなんかやりたくありません!」と言いたかったが、とても言える雰囲気ではなくなっていた。
「アスト、やってくれるな?」
僕はブライツの圧に負けた。
「は……い…」
僕は慌てて否定した。
「それはすまなかった、連絡の行き違いがあったようだ」
言葉とは裏腹にブライツは気にしていないようだった。
「僕はまだ学生ですし、魔物狩りなんて無理です」
「勿論、やるかやらないかは君の自由だ。一応、君のご両親には大帝から要望を伝えていただいて許可は貰っているので、出来れば参加して欲しかったのだが…」
「両親は何と?」
「世の中の役に立てると喜んでいたそうだ」
僕は考えた、もしここで誘いを断って魔法工学院の残ったとして、卒業後の僕を雇ってくれる勇者パーティーなどあるだろうか?両親が勧めるならその道を選ぶ、それがいつもの僕のスタイルじゃないか…
「分かりました。僕、ブライツさんの勇者パーティーに参加します!」
「それなら良かった、歓迎する」
「よろしくなアスト」
ドルチェが僕の肩を叩いた。
エクセリーヌとプレザージュも歓迎の言葉を口にする、しかし、ルキアだけは黙って僕を見ていた。
「ブライツが抜けるって事は、代わりのリーダーを決めなきゃならんな。わしはルキアがいいと思うが」
ドルチェがルキアを見る。ルキアはまんざらでもないのか少しだけ表情を和らげる。
「そうね、ドルチェに無理はさせられないし、私もルキアがいいと思うわ」
エクセリーヌが同意した。
「いや、ルキアには今まで通り戦いの先陣を切るチームのエースとして、新しいリーダーを支えてほしい」
ブライツの言葉に他のメンバーは困惑した。
「おいブライツ、わしはリーダーってタイプじゃないぜ」
ドルチェが首を横に振る。
「申し訳ないが、新しいリーダーに考えているのはドルチェでもない」
「じゃあ誰を?」
「新しいリーダーには、アストを置こうと思う」
「!!!」
場の空気が凍り付く。僕は事態が飲み込めずボーとしていた。
「こんにちはー」
元気な声と共に少女が部屋に入って来た。
「白魔術士のアテッサです。ル・ブランシュ魔法保安協会の紹介で参りま…」
異様な雰囲気に気付いて、彼女は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「いらっしゃい、アテッサ」
エクセリーヌが少女(アテッサ)に声を掛けた。
「ひ、姫様!」
「ごめんなさい、話がひと段落するまで待ってちょうだいね」
「は、はい!」
アテッサは口に手を当てて黙った。
「ブライツ、さすがにその坊やがリーダーってのは無理があるんじゃないか?」
ドルチェが呆れたように言った。
「いいんだドルチェ。師匠がそうしたいと言うなら、俺は受け入れるよ」
そう言ったルキアの手は爪が食い込んで血がにじむほど強く握られていた。
「来ていきなりリーダーと言われても、メンバーは納得しにくいでしょう。
そこで提案ですが、ルキアとアスト君を勝負させて、勝った方をリーダーにするというのはどうですか?」
このプレザージュの提案をブライツは受け入れた。
「分かった。ただし、危険になる前に私が勝敗の判定をさせてもらう」
「俺は師匠の判定を信じます」
ルキアが了承する。僕の意見など誰も気にかけていなかった。
「僕はリーダーなんかやりたくありません!」と言いたかったが、とても言える雰囲気ではなくなっていた。
「アスト、やってくれるな?」
僕はブライツの圧に負けた。
「は……い…」
0
あなたにおすすめの小説
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
二度目の勇者は救わない
銀猫
ファンタジー
異世界に呼び出された勇者星谷瞬は死闘の果てに世界を救い、召喚した王国に裏切られ殺された。
しかし、殺されたはずの殺されたはずの星谷瞬は、何故か元の世界の自室で目が覚める。
それから一年。人を信じられなくなり、クラスから浮いていた瞬はクラスメイトごと異世界に飛ばされる。飛ばされた先は、かつて瞬が救った200年後の世界だった。
復讐相手もいない世界で思わぬ二度目を得た瞬は、この世界で何を見て何を成すのか?
昔なろうで投稿していたものになります。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる