役立たずと呼ばれた王子、遂に本気出して魔王を倒しにいく!最強スキルが分かりにくすぎだろ?

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12 最終兵器を受け取りに

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あれから数日が経った。
僕たち(ドルチェ、ルキア、アテッサ、エディフィス、僕)は、ブライツ達(ブライツ、エクセリーヌ、プレザージュ)と別れ、列車の中にいた。



―前日。

「ラショード・フォン王国ですか?」

僕はブライツに聞き返した。

「ああ、ある工房に発注していた新装備が完成したんだ。お前たちにそれを引き取りに行ってほしい」

「どんな装備なんですか?」

「詳しくは話せないが、来たるべき日のための最終兵器とだけ言っておこう」

「最終兵器!そんな大事な物ならブライツさんが受け取ったほうが…」

「いや…アスト、この兵器はお前にしか使いこなせない。俺はそう思っているんだ」

「僕が使う?最終兵器を?そんな……」―



というわけで、僕たちはブライツの依頼でラショード・フォン王国に向かっていた。いや、僕にとっては戻っていたと言うべきか…
ラショード・フォン王国はバーゼル大陸の北に位置する。
寒冷で農業に向かない土地の為、早くから工業を中心とした近代化が進められてきた。
また、魔法道具の製作工房が多い事から、魔法道具士の養成機関である魔法工学院があり、まさにこここそが僕の母校であった。

僕たちの居る車両には、僕たち以外に数名の乗客しかおらず閑散としていた。
ドルチェとアテッサ、エディフィスは向かい合った席に座り、カードゲームをしている。
ルキアは少し離れた席で瞑想に浸っている。
そして僕は、一人で別の席に座り、スケッチブックを広げて、まだ見ぬ最終兵器をあれこれ想像しては絵に描いてみたりしていた。

「オレ、盗賊のくせにシーフと名乗ってる連中が許せないんです…ドロー」

エディフィスはカードを出しながら言った。

「シーフのスキルは盗みに向いてるからな、盗賊に身を落とす者も多いと聞くが…パス」

ドルチェはカードを引きながら答えた。

「シーフと盗賊って違うんですか?…ドロー」

アテッサはカードを出しながら訊いた。

「全然違う!シーフの主な仕事は情報収集なんです、人の物を盗んだりしない…ドロー」

「そうか、ワシも誤解してたかもしれんな、すまん…パス」

「エディフィスさんは魔法って使えるんですか?…スペシャルドロー」

「魔法とはちょっと違うけど、オレの先祖はシズクイシ国のシノビだったんで忍法が使えます…ドロー」

「シズクイシといえば大陸の東にある島国だな…パス」

「シノビってどんな仕事なんですか…エクストリームチャンス」

「国王に仕え、国内外のトラブルを裏で解決してきた重要な仕事です…ドロー」

「ロックオン!」

アテッサは宣言すると、エディフィスの出したカードを取った。

「ハイパーリゾートサンダーボルトであたしの勝ちです」

彼女は手札を開いて見せた。

「参った、アテッサちゃんは強いな」

ドルチェは手札を投げ出した。

「えっと、あたしが562点で、ドルチェさんが0点、エディフィスさんは…マイナス5万点です」

「マ、マイナス5万点!」

「はい、エクストリームチャンス中にサブルーチンをコンプライアンスしたのでマイナス5万点です」

「あの、アテッサちゃんお願いがあるんだけど…」

「なんですかエディフィスさん」

「ルールをもう一回ちゃんと説明してもらっていいかな…」

「ですから、エクストリームチャンス中にサスティナブルしないとサブルーチンがエビデンスしちゃうんですよ、それでマイナス5万点です」

「えーと…コンプライアンスはどこにいったのかな…」

ガラガラッ、ドンッ

車両間のドアが乱暴に開かれ、息を切らした男が入ってきた。

「ハアハア…」

瞑想していたルキアは目を開くと男に近寄っていった。

「何かあったのか?」

「獣人だ…獣人が出た!」
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