スピードスケープ2025 -ロボット暴走!調査編-

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第15話

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オンラインゲーム『バトルボッツ』空間内
インターミッション中の冬馬とうまRevレボHから通信が入る。
『やあ、チャンプ!最近よく会うね』
「またあんたか‥俺はチャットしに来てる訳じゃないんだけどな」
『まあいいじゃないですか。言ったでしょ、僕はあなたのファンだって』
「ファンって‥」
『そうだ、一つ話のネタを提供するよ』
「だからチャットしに来てる訳じゃないって‥」
RevHから動画ファイルが送られてくる。
そこには戦場で武装した兵士と銃撃戦をするロボットが映っていた。
「バトルボッツのキャプチャー動画か?見た事無いロボットだな‥」
『確かにその動画はバトルボッツの隠れキャラとしてネットで拡散されたものだけど、こんな地形はバトルボッツの何処どこにも出てこないんだ』
「それで?」
『世界中の地形を照会したら、撮影場所は中東のペドロギスタンだと分かった。
ペドロギスタンは、4年前に旧政権が崩壊し、市民議会と軍部の抗争が激化した。劣勢だった市民議会をロシアが支援し新政権が樹立された。しかしペドロギスタンは核兵器を開発していると言われていたから、軍部の残党がそれを使ったら世界的危機だ、それを回避できたのは秘密裏に核兵器施設に潜入し、そこを制圧した有人ロボット兵器の活躍があったとか‥ね、面白いでしょ』
「別に、興味ないな」
『じゃあ何故なぜこれを秘密にしなけりゃならなかったのか?
ロシアにはハヤセの自動車工場があるでしょ、ハヤセはひそかにロシア工場内でロボット兵器の開発をしていて、それを黙認していた日本政府とロシア政府の間でペドロギスタンへロボットを派遣する裏取引があったとしたら、それは秘密にするしかないよね』
「ハヤセがPDを兵器に使ったって言うのか」
『今もPDOSには戦闘用の機能があって、それが事故のトリガーになったとか』
「なら俺は兵器開発に加担してたって事か、笑えない話だな」
『まあ、あくまで噂だよ。そういえば、国交省の調査は進んでる?』
「調査官はディープスペースの中で事故を再現出来ないかって言ってたな‥」
『その話、詳しく聞かせて!』
突然、通信に割り込んできたのはテスタロッサ(蓼丸論里たでまるろんり)だった。
『やあ!孤高の戦士テスタロッサ。音声通信なんて激レアだな』
RevHが興奮の声を上げた。
『ねえ、モーターショーの事故を再現するって本当なの?』
「いや、氷室純正レベルの天才プログラマーが協力しないと駄目らしい」
『氷室純正ってDDRの社長でしょ、たった一人でディープスペースを造った伝説の人物。実は実在しないってうわさもあるけど』
『ふーん、それは中々高いハードルだね。でも、面白い事考えるねその調査官は‥』

    * * *

国土交通省 事故調査室
「DDRが事故調査に協力したいと?」
章生あきお佐高さこうの言葉を繰り返した。
『事故現場をシミュレーションで再現できるそうだ。おまえ、いつの間に手を回してたんだ?』
「いや、まだ連絡は‥協力を要請しようとは思っていましたが、一体いったい誰が‥」
『本当か?全くどいつもこいつも勝手な奴ばかりだな』
佐高は不満げに言った。
「どいつもこいつもとは?」
『延期になってたモーターショーな、急遽きゅうきょ1週間後に開催される事になったそうだ。経産省のごり押しでな』
「延期?中止じゃなかったんですか‥1週間後なんて、まだ事故原因も分かっていないのに」
『経産省はすでに操縦ミスを既定路線きていろせんとして動いている。モーターショーを決行する事で事故の悪印象を払拭ふしょくしてしまいたいんだろう』
「もしモーターショーでまた事故が起こったら‥」
『今度こそ死人が出るかもしれんなあ‥いや冗談、冗談』
「室長‥嫌な言い方しますね」

    * * *

DDR(ディープデータロード)社長室
章生が部屋に入ると、VRゴーグルを着けた少年がゲームに興じていた。
「社長、国土交通省の村主調査官をお連れしました」
秘書の言葉に少年(氷室純正)はゲームの手を休めることなく応じた、
「やあ、いらっしゃい。その辺に座っててください」
氷室の意外な若さに章生が戸惑とまどっていると、氷室は立ち上がってVRゴーグルを外した。
「バトルボッツは素晴らしいね。これだけでもディープスペースをつくった甲斐かいがあるよ。ゲームは好きですか?」
「いえ、私はゲームは苦手で‥」
「それは残念、でもやってみたら案外あんがいハマるかも知れないよ」
「では今度是非ぜひ。それで早速さっそくなんですが、事故現場の再現シミュレーションにご協力いただけるというお話でしたが」
「イエス。で、具体的に何ををシミュレートすればいい?」
「可能かどうか分らないのですが、ディープスペースで再現した人物に質問する事は可能でしょうか?」
この章生の突拍子無くも思える質問に、氷室は興味深そうに答えた。
「なるほど、つまり人格の再現だね。それは可能だよ、僕ならね」
「本当ですか!」
「人間はそれぞれ個性的に見えて、90パーセント以上同じ反応をするんだ。後は残りをSNSの情報なんかで補完すれば、99パーセントその人の人格を再現できるはずさ」
「それは、全体のシミュレーションも含めてどのくらい時間があれば出来ますか?」
「そうだなぁ‥2週間もあれば」
「2週間ですか‥もう少し早くなりませんか。実は6日後にモーターショーが再開催さいかいさいされる事になりまして、それまでに事故原因を究明したいんです」
あせりが見える章生に対して、氷室は明るく返した、
「なあんだ、丁度ちょうど良かったじゃない」
「丁度いい?」
「モーターショーの現場をリアルタイムでシミュレーションに取り込めば、パラメータの設定にかかる時間を大幅に短縮できるよ」
「それでまた事故が起こったらどうするんですか」
「大丈夫さ。ディープスペース内のシステムタイムを少し早く進めれば、現実世界より先にシミュレーション上で事故が起きるから、現実世界の事故を回避することができる」
「そんなに上手く行くんでしょうか‥」
「上手く行くさ。こう見えても僕はなんだよ」
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