【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで

猫都299

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【ハーレムに加えてほしいと頼まれたけどオレは純愛厨だから君だけいればいい・上】【※多一視点】

1 約束

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 幼馴染の様子がおかしい。

 彼女は言う。

「あなたの築くハーレムの一員になりたいんです。私も入れてくれませんか?」

 顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに目を逸らす……オレの幼馴染――澄蓮月玻璃を凝視する。

 通う中学の……白と紺色の布が使われた制服姿で、胸の上くらいまである束を二つに分けて肩上で結んだ髪型をしている。くりっとした目が、とても可愛い。

 そんな子に、オレは今……何と言われた? ハーレム?



 現在。オレと玻璃は、玻璃の部屋で二人きりのシチュエーションだ。

 玻璃とはクラスメイトで、学校帰りにここへ寄った。「大事な話がある」と言われていたので、何の話だろうと少し緊張する。

 「私、記憶がある。前世の」と、打ち明けられたのには驚いた。「オレへの、愛の告白かもしれない」と期待していた分、落差で動揺している。

 玻璃は前世で好きだった人を振り向かせる為に、自分に自信をつけたいらしい。奥手で純愛志向な自分を変えたいと言っていた。その為に、逆ハーレムを作ろうとしているというのも聞いた。

 彼女がオレじゃない別の奴を好きだという事実に、モヤッとする。
 ……だが、これはチャンスだ。手伝うフリをして、オレに意識を向けさせる。

「いいよ。手伝っても」

 口にした直後に、押し倒して見下ろす。

「付き合ってください」

 不意に言われ驚いていたところへ、あのセリフが紡がれたのだった。

「あなたの築くハーレムの一員になりたいんです。私も入れてくれませんか?」

 困惑が大きい。思わず呟いていた。

「オレの、ハーレム?」

 さっきの前世の話といい……玻璃は、ファンタジー小説の読み過ぎなんじゃないか?
 ……と、半分程は疑っている。中二病過ぎる内容の話だ。

 それに。オレ……ハーレムものより、純愛ものの方が好きなんだけどな。

 戸惑いつつも、大事な件を確認しようと口を開く。

「えっと……それって、もしかして……違ってたら、本当にゴメン……えっと……オレの事が、好きって事?」

 漸く尋ねる。言ってしまってから焦る。

 わーー! オレ、何言ってんだっ?

 脳内で慌てまくっている時に、玻璃が頷くのを見た。

 頷いた……? えっ? 頷いたぞ? えっ? ……えっ???

「ずっと……ずっと、あなたの事が好きでした」

 ……好きな子から、告白された。

 小説の主人公になったかのような、物凄い幸運だ……。この先の人生で必要な運を、使い果たしていないか心配だ。

 真っ直ぐに、見つめられる。

「私も、あなたのハーレムに入れてください」

 再び要望され、思考が一旦止まる。
 やっぱり……どういう事なのか、詳しく説明してもらわないとな。

「本当は、逆ハーレムのメンバーが揃ってから言うつもりだったけど」

 玻璃が聞き捨てならないワードを口にした。まさか彼女……本気で逆ハーレムを作る気なのか?
 すぐさま提案しておく。

「たくさん交友関係を広げるだけじゃなくて……一人と、もっと深めるっていうのはどうかな?」

「え……?」

 玻璃の視線が彷徨っている。何か聞きたそうな眼差しを返される。
 彼女から手を離し、身を起こす。

 さっきから、気配を感じている。

「詳しい話は、明日聞かせて。そろそろ帰るよ」

 伝えると、玻璃は少し……しょんぼりしたような表情で視線を下へ落としている。
 そんな様子を眺め、嬉しく思う。

 オレもまだ帰りたくないが、仕方ないんだ。彼女にも告げる。

「お兄さんが怖いし」

 ドアの方へ目を向けた玻璃は「ひゃっ!」と声を上げる。ドアの隙間が広がる。部屋へ、お兄さんが入って来る。

 すげー不機嫌な顔してるな。

 お兄さんは玻璃に「コーヒーを淹れてきてほしい」とかいうテキトーな頼み事をして、彼女を階下へ追い出している。

 この後。玻璃のいない部屋で、お兄さんと交渉した。

 お兄さんと玻璃は、普通の兄妹ではない。以前から、血は繋がっていないと聞いていた。
 だから、オレは恐れていた。いつか玻璃を、お兄さんに取られるかもしれないと。

「彼女、逆ハーレムを作りたいらしいですね」

 黙ったまま睨んでくるお兄さんへ、先に切り出す。

「学校では、さすがにお兄さんも邪魔できないでしょうし……オレが可能な限り、阻止しておきますよ。彼女が逆ハーレムを作るのを妨害します。その代わり……条件を呑んでください」

 ニヤリと目を細め、お兄さんへ要求する。家では彼女に手を出さないでほしいと。
 お兄さんの手の届かない学校での玻璃を守るのも、オレの知り得ない家での玻璃を守るのも……似たような条件だと考えていた。

 お兄さんは、一つ溜め息をついて言う。

「オレも、君が玻璃に付いててくれたら心強いと思ってたんだ」

「交渉成立ですね」

 こんな口約束など、律儀に守ってもらえるのか疑問ではある。しかし、ないよりは幾分か不安が軽くなるものだと……落ち着かない心を宥め賺そうとしていた。
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