【完結】幼馴染に裏切られたので協力者を得て復讐(イチャイチャ)しています。

猫都299

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二章 復讐のその後

57 番外編2 自覚の程度

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 手を繋いで建物の中へ入った。エスカレーターに乗る際、わざと体を寄せ春夜君に密着した。腕も指も絡める。

 こんな人の多い場所で平然とイチャイチャするのは恥ずかしい気もする。だけど!
 春夜君が「イチャイチャしてほしいです」と言ってくれたのに。応えるに決まってるよね?


 エスカレーターを降りた後、目当ての店舗のある方向へ進んだ。そろーっと、右隣を窺ってみた。彼は私の掴まっている手とは反対側の手で自身の目を覆っている。心配になり尋ねた。

「春夜君……? ちゃんと前を見ないと危ないよ?」

 どうしたんだろう。まさか私、何か変な事をしてた? もしかしてイチャイチャし過ぎだった? 思い至って恥ずかしくなる。慌てて確認した。

「あっ、ごめんね。くっつき過ぎだったかな?」

 体を離そうとしたのに、繋いだ手が強く結ばれていてびくともしない。

「……?」

 春夜君の意図が分からず見つめた。返された眼差しが鋭い。言い含めてくる。

「だめです。お願いですから絶対にそのままでいてください。今、考え事をしてて。前世のオレは一体どんな徳を積んだんだろうって。ありがたくて目の奥がツーンとしました……」

「そうなんだ」

 そうか。春夜君、考え事をしていたんだね。私が隣でゴソゴソ動いていたら集中できないよね。

 ……よかった。ベタベタするのを嫌がられた訳じゃないんだ。

 ホッとして前を向いた。


 ショッピングモールに来た目的の一つはウインドウショッピングをする為だ。今回のデートを約束した時、春夜君から「探している物があって。ここに行ってみたいんですけど……」と持ち掛けられすぐに賛成した。私も下調べをしたかったのでちょうどいいタイミングだった。

 来月は十二月。春夜君にクリスマスプレゼントを渡したい。バイトをする事にした。渡す当日まで彼には秘密にしておく予定である。


 最初に立ち寄った雑貨屋さんには色々な小物やアクセサリーが多く、見る棚見る棚気になる商品が置いてあって何時間でも眺めて回れそうな気がした。

 次に入った店舗は洋服をメインに扱うお店で、可愛いワンピースが目に留まった。いいなと思ったけどサイズがなかった。

 ……あああ! 違う違う。今日は春夜君のプレゼントを見付けに来たのに! 自分の好きな物ばかりチェックしていた。


「次のお店に行こう?」

 促した。彼は私の思考中も、何も言わずに近くで待ってくれていた。興味の赴くまま行ったり来たりする私に付き合ってくれる春夜君は、控えめに言っても優し過ぎるよ。

「私の気になる物ばかり見ちゃってごめんね。春夜君の探している物を見に行こう?」

 春夜君の探している物……即ち彼がプレゼントされて喜ぶ物の可能性が高い。どんな物だろう? わくわくしていた。頬が勝手に緩んでいると自分でも分かっていた。

 けれど次の瞬間、強張るのを感じた。間近から向けられる視線が強い。

「えっ……と?」

 呟いて口ごもる。「何でこんなに見られているのかな?」と、内心どぎまぎしていた。

 春夜君の方が先に瞳を逸らした。彼は私たちの前に展示されているワンピースへ目線を移した。

「……明はこういう服が好きなんですね」

「花柄で裾の長めなところが好みだけど、合うサイズがないみたい」

「そうなんですね……残念です。着ているところを見てみたかったです。今日着ている服とは少し違う印象だけど、どっちを着ても凄く……げほほっ……いいと思います」

「ありがとう」

 春夜君に褒めてもらえて胸が温かくなる。

 今日の服装はフードの付いた厚手の上着とタイトで長めなスカートにしていた。上着は薄い水色で丈は短め、スカートは濃い緑色でチェック柄のものだ。

「ポンコツ過ぎて歯痒いな」

 春夜君のボソッと口にした独り言を聞いてしまった。

 え……? 聞き間違いかな?

「春夜君……?」

「あっ! すみません何でもないです。次の店に行きましょう」

 はぐらかされた? さっきの言葉は……きっと私の事を言ったんだよね?

 春夜君はもしかして、私がぼやぼやしていてポンコツだからイライラしている……?
 それとも本当は服の好みが合わなかったけど無理してお世辞で褒めてくれたのに、私が真に受けてしまったから「歯痒い」って思ったとか……?
 ハッ……! まだ、カラオケの件を怒っているから?

 重大な事案に気付きそうで血の気が引いた。

 本当は……私、どう思われてるの?


「明?」

 進もうとしていた春夜君が振り返った。私が立ち止まったまま動こうとしなかったからだ。考え付いてしまった暗い思考に怯んで手を放そうとした。

 でも、彼は放してくれなかった。


「明、離れないで」

 引っ張られて彼の傍に寄った。今まで通り結ばれたままの手に汗が滲む。どうしよう。……目が潤んでくる。隣を歩く彼に悟られないよう「ごめん、ちょっと待ってね」と立ち止まりしゃがんだ。靴紐を結び直すフリをして下を向く。溜まってしまった滴を瞼で払った。

 どうしようどうしようどうしよう。

 嫌われていたとしても、途轍もなく好きだよ……。
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