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電車の旅
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仕事からの帰り道。いつもの様に電車に揺られていると、降りる駅を過ぎている事に気付いた。慌てて電車から降りると、見た事も聞いた事もない駅だった。
勿論、存在する全ての駅を覚えている訳もないから、自分が知らない駅かも知れない。こう言う時こそ落ち着いて、乗り換え検索アプリで帰り道を調べれば良い──そう思い、スマホに指を滑らせてみるが…どうやら此処は、存在しない駅だった。
「…きさらぎ駅、かな?」
自分ひとりしか居ないのだから、わざわざ声に出す必要もない。不安や恐怖から目を逸らす為、無意識に声に出してしまったのだろう。声に出した所為で、更に不穏な空気を感じている様な気がしてならないが。
此処が本当にきさらぎ駅と似た様な場所だとすれば、どうすれば帰れるのか。火を起こせば帰れると聞いた事があるが…自分は煙草を吸わないから、火を起こす道具は持っていない。駅から出ると帰れなくなると聞いた事もあるが、ここでじっとしていれば電車が来るのかどうかも分からない。
「もしかして、詰んだ…?」
こんな事なら某ちゃんねるにスレ立てでもしておけば良かったと思うが、スマホの充電が残り少ない。今から立ててもあまり書き込みも出来ないだろう。モバイルバッテリーを持ち歩くタイプではないので、充電がなくなればそこで終了だ。
誰か周りにいないだろうかと辺りを見渡すが、そう上手く誰かがいるなんて事もなく。こうなったら暫くここでボーッとするかと、ホームに備え付けてあるベンチに寝転んだのだった。
──マ…ナク、イチ……ムヘレッシャガ…リマス。
不意にそんな声が聞こえ、飛び起きた。今、何て聞こえた?「列車が参ります」?
先程まで無人だったホームはたくさんの人でごった返している。どう言う事だと周りを見渡すと、大丈夫ですかと駅員から声を掛けられた。
「ええと、すみません。此処は何処でしょうか?」
駅員にそう問い掛けると、普段はあまり使わないが聞き慣れた駅名を告げられた。どうやら自分はホームをふらふらと歩いている所を不審に思われ、声を掛けられる直前に倒れたそうだ。だとすると、先程までの事は夢だったのだろうか。ひとまず駅の救護室で休ませてもらう事になった。
救護室へと連れられ、家族へと連絡をする為にスマホを取り出した。通話履歴が全て不在着信で埋まっている。何があったのかと不思議に思いつつも、駅で倒れたらしい事を伝える為に電話を掛けた。
『今何処!?何してるの!?大丈夫!?』
初めて聞く狼狽えた声に驚きながらも、迎えに来てくれないかと駅名を伝える。すぐに行くから消えないでと妙な事を言い残し、電話は切れた。
何故だろうかとスマホの画面を見ながら考えると、おかしな事に気付いた。昨日から1年経っている。と言う事は、アレは夢ではなかったのだろう。どう話せば良いのか考えながら、迎えが来るまでの間、救護室で少し眠らせてもらった。
勿論、存在する全ての駅を覚えている訳もないから、自分が知らない駅かも知れない。こう言う時こそ落ち着いて、乗り換え検索アプリで帰り道を調べれば良い──そう思い、スマホに指を滑らせてみるが…どうやら此処は、存在しない駅だった。
「…きさらぎ駅、かな?」
自分ひとりしか居ないのだから、わざわざ声に出す必要もない。不安や恐怖から目を逸らす為、無意識に声に出してしまったのだろう。声に出した所為で、更に不穏な空気を感じている様な気がしてならないが。
此処が本当にきさらぎ駅と似た様な場所だとすれば、どうすれば帰れるのか。火を起こせば帰れると聞いた事があるが…自分は煙草を吸わないから、火を起こす道具は持っていない。駅から出ると帰れなくなると聞いた事もあるが、ここでじっとしていれば電車が来るのかどうかも分からない。
「もしかして、詰んだ…?」
こんな事なら某ちゃんねるにスレ立てでもしておけば良かったと思うが、スマホの充電が残り少ない。今から立ててもあまり書き込みも出来ないだろう。モバイルバッテリーを持ち歩くタイプではないので、充電がなくなればそこで終了だ。
誰か周りにいないだろうかと辺りを見渡すが、そう上手く誰かがいるなんて事もなく。こうなったら暫くここでボーッとするかと、ホームに備え付けてあるベンチに寝転んだのだった。
──マ…ナク、イチ……ムヘレッシャガ…リマス。
不意にそんな声が聞こえ、飛び起きた。今、何て聞こえた?「列車が参ります」?
先程まで無人だったホームはたくさんの人でごった返している。どう言う事だと周りを見渡すと、大丈夫ですかと駅員から声を掛けられた。
「ええと、すみません。此処は何処でしょうか?」
駅員にそう問い掛けると、普段はあまり使わないが聞き慣れた駅名を告げられた。どうやら自分はホームをふらふらと歩いている所を不審に思われ、声を掛けられる直前に倒れたそうだ。だとすると、先程までの事は夢だったのだろうか。ひとまず駅の救護室で休ませてもらう事になった。
救護室へと連れられ、家族へと連絡をする為にスマホを取り出した。通話履歴が全て不在着信で埋まっている。何があったのかと不思議に思いつつも、駅で倒れたらしい事を伝える為に電話を掛けた。
『今何処!?何してるの!?大丈夫!?』
初めて聞く狼狽えた声に驚きながらも、迎えに来てくれないかと駅名を伝える。すぐに行くから消えないでと妙な事を言い残し、電話は切れた。
何故だろうかとスマホの画面を見ながら考えると、おかしな事に気付いた。昨日から1年経っている。と言う事は、アレは夢ではなかったのだろう。どう話せば良いのか考えながら、迎えが来るまでの間、救護室で少し眠らせてもらった。
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