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オープニング
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昼間たっくさん眠ったからでしょうか、夜になったというのに私は全然眠くありませんでした。
風邪はどうやらもうほとんど治ったようです。
けど、体はまだ火照ったままで夜風が心地よさそうだなと思い外に出てみることにしました。
一応、風邪をひいたばかりなので暖かい格好をします。
涼みに行くのに暖かい格好をするのはおかしいなとは思ったけどまぁいいかと思い直します。
外は雪こそ降ってませんがでも積もった雪だけでも十分に寒そうだったから。
外套を着込み、音を立てないように部屋の扉を開けると、お母さんはもう眠っているのか部屋からはなんの物音もしません。
(よし、今のうちだ!)
私は今、冒険家のような気持ちになってスニーキングミッションです。
順調に家の玄関までたどり着き、靴を履き替えて外に出ます。
「うぅ、やっぱりすずしー!」
小声でそう呟きます。
冷たくて気持ち良い風が頬を撫でて行ってくれて、とても心地よいです。
外套を持ってきたのは正解だったようです。
外はまだまだ寒かったのです。
ほわぁー、と息を吐くと月明かりに照らされて息が白く染まり空に昇っていきました。
空は、今日は雲がないためかとってもくっきりと星が見えています。
これほど綺麗な星空はなかなかお目にかかれないほどです。
「あれ?あっちの方、何か明かりがついてる…?」
村のはずれ、川の方から明かりが漏れているのが見えました。
あそこには確か、何もなかったはずなんですが…
「ちょっと、ミーレこんな時間に外でたら危ないじゃないの!」
「あ、お母さん…」
「ほら、家の中に戻った戻った!」
私の背後に、いつの間にかお母さんが鬼の形相で立っていました。
何やら扉が開く音が聞こえたから様子を見にきて案の定、とのこと。
スニーキングミッション失敗でした…
お母さんに連れられて家に戻る時、ちらりとまた川の方を見たけど、光はもうありませんでした。
(見間違い、だったのかな…?)
そのあとはおとなしく部屋に戻り、布団をかぶって眠りました。
明日はぴーちゃんの所に遊びに行くのですから、今からとっても楽しみです。
ーーーーーー
「すぅ~~~」
大きく息を吸って、
「はぁ~~~」
はいてー
そしてもう一度吸ってぇー
「やっほーーー!」
やっほーー…
やっほー…
そういえばこの前来た時してなかったなぁと思い、やまびこさんと遊んで見ました。
本日空は晴天なり、視界明瞭にて風穏やか!
まさにハイキング日和でした
「まったく、げんきねーあんたは」
後ろで私の様子を見ていたお母さんが呆れ顔で言いました。
昨日風邪をひいたばかりだから、1人で山登りはダメだと言われたから、今日もお母さんと一緒です。
「お母さんもやってみればー?楽しいよ!」
「いーや、遠慮しとくよ。ほら、それよりもこっち手伝って」
「はーい」
今日もこの前と同じお弁当持参です。
ぴーちゃんと遊ぶ前に腹ごしらえをするのです。
「じゃ、いただきます」
「いただきまーす」
まず卵焼きに手を伸ばします。
砂糖で味付けされた、とってもおいしぃ黄色のふわふわ卵焼き!
私はお弁当のおかずでこれが一番大好きなんです
「はい、お茶。取りはしないからゆっくり食べなさい」
「んー」
口をもぐもぐさせたまま、お茶を受け取ります。
行儀が悪いと叱られてしまいましたが、でも仕方がないのです。
全ては黄色の悪魔のせいなのです。
甘い魅惑を振りまく悪魔の囁きのせいなのです。
山登りでかじかんだ指に、あったかいお茶の入ったコップが心地よいです。
ずずずと音を立てて飲めば、喉は潤い体の芯からぽっかぽかになります。
食事はあっという間に終わり、2人揃ってごちそうさまをしました。
「そういえば、はいこれ」
そう行ってお母さんが渡してきたのは、少し大きめの干し肉でした。
「え、私もうお腹いっぱいだよ?」
さすがにこれも食べたら太っちゃうかもしれません。
お弁当だけでもうお腹いっぱいなのに
「あんたのじゃないよ、これはぴーちゃんのおやつ。一緒に遊ぶんでしょ?」
「あ、うん!ありがとう!」
私は喜んでそれを受け取りました。
でも…この大きさでぴーちゃんにとってはおやつなのかと思うとすごいなぁ~としか出て来ませんでした。
だって、その干し肉、なにをもとに作ってるかは分かりませんが私の腕の長さぐらいはあったんですもん!
「じゃ、呼んでみましょうか。ミーレが呼んでみる?」
「うん!」
ちゃんと先日練習した成果をここで発揮するんです!
まずは、親指と中指で輪っかを作って少し隙間を空けて口にパクッと含みます。
すぅーっと大きく息を吸って…
「スピュゥ~~…」
「あははは、一気に息を吹き込みすぎだよ。ちゃんとこの前みたいにやらないと」
「はーい…」
残念ながらまるで風船葛が潰れた時のような音しか出ませんでした。
今度こそと改めて息を吹き込めば
「ぴぃー…。ど、どうかな…?」
「んー、やっぱりちょっと小さいかなぁ…。多分ぴーちゃんには聞こえてないかも」
「そっかぁ…」
分かってはいましたがやっぱりダメみたいです。
これも要練習、です。
「じゃ、この前渡したあれでやってみな」
「うん!」
服の隙間から、首にかけておいた笛を取り出します。
これ、練習してる時にお婆ちゃんが作ってくれたんです。
ふーって息を吹き込むだけで高い音が出るんです!
「ピィーーー!」
ピュゥィー!
「あ、返事きた!」
今度はちゃんと聞こえたのか、すぐさまぴーちゃんがこっちに飛んでくるのが見えました。
「そうね、ほら、ちゃんと捕まってー」
お母さんが私が飛ばされないように肩を掴んでてくれました。
ぶわっと、ぴーちゃんが前に着陸するときは本当に強い風が吹いて私の長い髪がバタバタしたのです。
「やっぱりすっごい大きいね!」
ぎゅーってぴーちゃんに抱きつきます!
私の腕では抱えきれないほど大きなぴーちゃんの体はでもとっても暖かったのです!
「ピュゥィ?」
ぴーちゃんが、私が持っているおやつに興味しんしんなご様子です。
でも、言われるまで手を出さないので立派立派です!
まるで、『そのおやつぼくの?なら、くれないかなぁ??』と言わんばかりに首を傾げています。
「ふふっ、ミーレ、早く上げてあげなさい。ぴーちゃんもくれないかなーって思ってるわよ」
お母さんもわたしと同じ考えだったようです。
もちろん、私はいじわるっ子ではないのでぴーちゃんのおやつを取ったりはしません。
「はい、どーぞ」
口元にそーっと差し出すと、パクッ、っと勢い良くかぶりつきました!
もぐもぐごっくん。
あれほど大きかった干し肉がたった一口で消えてしまったのに驚きです!
もっとちょーだいと言わんばかりに首をぐいぐい押し付けてきますが、残念ながらおやつはあれだけしか持ってきてないんです。
でーも、ちゃんと遊ぶためのおもちゃは持ってきているんです!
「じゃじゃじゃーん、これなーんだ!」
「あら、そんなのも持ってきてたのね」
お母さんが驚いた声をあげます。
そう、これこそ私の秘密兵器、フリスビーです!
これは上手に投げたらふわふわと滞空して進んでいくおもちゃで、村のワンちゃんともこれでよく遊んでたりするんです。
ぴーちゃん専用に少し大きめなものをお婆ちゃんに作ってもらったのです!
「じゃ、これ取ってくるんだよ?」
もちろん、ぴーちゃんにルールの説明をするのも忘れません。
ぴーちゃんはというとフリスビーに興味津々なのかジーって見つめています。
ふふっ、これはなかなか面白い遊びにになりそうです。
「いっくよー…てぇーい!」
大きく振りかぶってフリスビーを投げます。
フリスビーは風をきってなかなか上手にまっすぐ飛んで行きました!
さぁ、ぴーちゃんも…
「って、あれ?」
ぴーちゃんもてっきり飛んでいくかと思いきや私の隣で佇んだままです。
「おーいぴーちゃん、あれ、あれ取ってくるんだよ?」
「ピュゥィ?」
うぅ、ルールをよく分かってなかったみたいです。
お婆ちゃんお手製の、フリスビーかぁ~
で、でもまだ諦めません!
おばあちゃんと一緒にわたしが作ったやつがまだ残ってます!
すこし不恰好ですが、ちゃんと前には飛ぶんです!
『ほら!これ、この今から投げるやつを、取ってくるんだよ!』
「ピュゥィ!」
今度こそわかったよ、と言わんばかりに大きくなくぴーちゃん。
よし、その心意気買った!
見事わたしの豪速球受け取って見せるのだ!!
「いっくよー、そーれ!」
今度もなかなか上手に投げられました!
ぴーちゃんも、今度は本当に分かってくれたみたいで崖から飛び降りるようにして空をとび、フリスビーを追いかけ始めました。
そして、すぐさま追いついてそのくちばしで捉えようとして…
パキンっ
遠目でも見えました。
私、結構目がいいんです…
ぴーちゃんが咥えたその瞬間、フリスビーが真ん中あたりで綺麗に割れたのが私には見えました…
「あっはっは、なかなかうまくいかないねー!」
お母さんが後ろでさも愉快だと大笑いしています…
「うぅー、こんな予定じゃなかったのにー!」
フリスビーを咥えて、ぴーちゃんが戻ってきました。
どうしたの?と言わんばかりに首を傾げていますが、その足元にはやっぱり見事に割れたフリスビー。
さすがのお婆ちゃんもこれは想定してなかったでしょう…苦笑いしているのが目に浮かびます。
いくら魔法使いの作ったフリスビーといえど再び一枚に戻ることはありません。
「うぅー!」
見事な景色の山間で、私の悔し声だけが、いえ、ついでにお母さんの高笑いも一緒にこだましていたのです。
そのあとは壊れても別にいいような、木の棒を使って遊んだりといろいろ試したんですけど、あまり飛距離が出せなくてあえなく失敗。
結構ひらけた場所でぴーちゃんとお母さん、3人?で一緒に鬼ごっこをしてその日は山を降りました。
今度遊びに行くときは割れないフリスビーを持っていくんです!!
。
風邪はどうやらもうほとんど治ったようです。
けど、体はまだ火照ったままで夜風が心地よさそうだなと思い外に出てみることにしました。
一応、風邪をひいたばかりなので暖かい格好をします。
涼みに行くのに暖かい格好をするのはおかしいなとは思ったけどまぁいいかと思い直します。
外は雪こそ降ってませんがでも積もった雪だけでも十分に寒そうだったから。
外套を着込み、音を立てないように部屋の扉を開けると、お母さんはもう眠っているのか部屋からはなんの物音もしません。
(よし、今のうちだ!)
私は今、冒険家のような気持ちになってスニーキングミッションです。
順調に家の玄関までたどり着き、靴を履き替えて外に出ます。
「うぅ、やっぱりすずしー!」
小声でそう呟きます。
冷たくて気持ち良い風が頬を撫でて行ってくれて、とても心地よいです。
外套を持ってきたのは正解だったようです。
外はまだまだ寒かったのです。
ほわぁー、と息を吐くと月明かりに照らされて息が白く染まり空に昇っていきました。
空は、今日は雲がないためかとってもくっきりと星が見えています。
これほど綺麗な星空はなかなかお目にかかれないほどです。
「あれ?あっちの方、何か明かりがついてる…?」
村のはずれ、川の方から明かりが漏れているのが見えました。
あそこには確か、何もなかったはずなんですが…
「ちょっと、ミーレこんな時間に外でたら危ないじゃないの!」
「あ、お母さん…」
「ほら、家の中に戻った戻った!」
私の背後に、いつの間にかお母さんが鬼の形相で立っていました。
何やら扉が開く音が聞こえたから様子を見にきて案の定、とのこと。
スニーキングミッション失敗でした…
お母さんに連れられて家に戻る時、ちらりとまた川の方を見たけど、光はもうありませんでした。
(見間違い、だったのかな…?)
そのあとはおとなしく部屋に戻り、布団をかぶって眠りました。
明日はぴーちゃんの所に遊びに行くのですから、今からとっても楽しみです。
ーーーーーー
「すぅ~~~」
大きく息を吸って、
「はぁ~~~」
はいてー
そしてもう一度吸ってぇー
「やっほーーー!」
やっほーー…
やっほー…
そういえばこの前来た時してなかったなぁと思い、やまびこさんと遊んで見ました。
本日空は晴天なり、視界明瞭にて風穏やか!
まさにハイキング日和でした
「まったく、げんきねーあんたは」
後ろで私の様子を見ていたお母さんが呆れ顔で言いました。
昨日風邪をひいたばかりだから、1人で山登りはダメだと言われたから、今日もお母さんと一緒です。
「お母さんもやってみればー?楽しいよ!」
「いーや、遠慮しとくよ。ほら、それよりもこっち手伝って」
「はーい」
今日もこの前と同じお弁当持参です。
ぴーちゃんと遊ぶ前に腹ごしらえをするのです。
「じゃ、いただきます」
「いただきまーす」
まず卵焼きに手を伸ばします。
砂糖で味付けされた、とってもおいしぃ黄色のふわふわ卵焼き!
私はお弁当のおかずでこれが一番大好きなんです
「はい、お茶。取りはしないからゆっくり食べなさい」
「んー」
口をもぐもぐさせたまま、お茶を受け取ります。
行儀が悪いと叱られてしまいましたが、でも仕方がないのです。
全ては黄色の悪魔のせいなのです。
甘い魅惑を振りまく悪魔の囁きのせいなのです。
山登りでかじかんだ指に、あったかいお茶の入ったコップが心地よいです。
ずずずと音を立てて飲めば、喉は潤い体の芯からぽっかぽかになります。
食事はあっという間に終わり、2人揃ってごちそうさまをしました。
「そういえば、はいこれ」
そう行ってお母さんが渡してきたのは、少し大きめの干し肉でした。
「え、私もうお腹いっぱいだよ?」
さすがにこれも食べたら太っちゃうかもしれません。
お弁当だけでもうお腹いっぱいなのに
「あんたのじゃないよ、これはぴーちゃんのおやつ。一緒に遊ぶんでしょ?」
「あ、うん!ありがとう!」
私は喜んでそれを受け取りました。
でも…この大きさでぴーちゃんにとってはおやつなのかと思うとすごいなぁ~としか出て来ませんでした。
だって、その干し肉、なにをもとに作ってるかは分かりませんが私の腕の長さぐらいはあったんですもん!
「じゃ、呼んでみましょうか。ミーレが呼んでみる?」
「うん!」
ちゃんと先日練習した成果をここで発揮するんです!
まずは、親指と中指で輪っかを作って少し隙間を空けて口にパクッと含みます。
すぅーっと大きく息を吸って…
「スピュゥ~~…」
「あははは、一気に息を吹き込みすぎだよ。ちゃんとこの前みたいにやらないと」
「はーい…」
残念ながらまるで風船葛が潰れた時のような音しか出ませんでした。
今度こそと改めて息を吹き込めば
「ぴぃー…。ど、どうかな…?」
「んー、やっぱりちょっと小さいかなぁ…。多分ぴーちゃんには聞こえてないかも」
「そっかぁ…」
分かってはいましたがやっぱりダメみたいです。
これも要練習、です。
「じゃ、この前渡したあれでやってみな」
「うん!」
服の隙間から、首にかけておいた笛を取り出します。
これ、練習してる時にお婆ちゃんが作ってくれたんです。
ふーって息を吹き込むだけで高い音が出るんです!
「ピィーーー!」
ピュゥィー!
「あ、返事きた!」
今度はちゃんと聞こえたのか、すぐさまぴーちゃんがこっちに飛んでくるのが見えました。
「そうね、ほら、ちゃんと捕まってー」
お母さんが私が飛ばされないように肩を掴んでてくれました。
ぶわっと、ぴーちゃんが前に着陸するときは本当に強い風が吹いて私の長い髪がバタバタしたのです。
「やっぱりすっごい大きいね!」
ぎゅーってぴーちゃんに抱きつきます!
私の腕では抱えきれないほど大きなぴーちゃんの体はでもとっても暖かったのです!
「ピュゥィ?」
ぴーちゃんが、私が持っているおやつに興味しんしんなご様子です。
でも、言われるまで手を出さないので立派立派です!
まるで、『そのおやつぼくの?なら、くれないかなぁ??』と言わんばかりに首を傾げています。
「ふふっ、ミーレ、早く上げてあげなさい。ぴーちゃんもくれないかなーって思ってるわよ」
お母さんもわたしと同じ考えだったようです。
もちろん、私はいじわるっ子ではないのでぴーちゃんのおやつを取ったりはしません。
「はい、どーぞ」
口元にそーっと差し出すと、パクッ、っと勢い良くかぶりつきました!
もぐもぐごっくん。
あれほど大きかった干し肉がたった一口で消えてしまったのに驚きです!
もっとちょーだいと言わんばかりに首をぐいぐい押し付けてきますが、残念ながらおやつはあれだけしか持ってきてないんです。
でーも、ちゃんと遊ぶためのおもちゃは持ってきているんです!
「じゃじゃじゃーん、これなーんだ!」
「あら、そんなのも持ってきてたのね」
お母さんが驚いた声をあげます。
そう、これこそ私の秘密兵器、フリスビーです!
これは上手に投げたらふわふわと滞空して進んでいくおもちゃで、村のワンちゃんともこれでよく遊んでたりするんです。
ぴーちゃん専用に少し大きめなものをお婆ちゃんに作ってもらったのです!
「じゃ、これ取ってくるんだよ?」
もちろん、ぴーちゃんにルールの説明をするのも忘れません。
ぴーちゃんはというとフリスビーに興味津々なのかジーって見つめています。
ふふっ、これはなかなか面白い遊びにになりそうです。
「いっくよー…てぇーい!」
大きく振りかぶってフリスビーを投げます。
フリスビーは風をきってなかなか上手にまっすぐ飛んで行きました!
さぁ、ぴーちゃんも…
「って、あれ?」
ぴーちゃんもてっきり飛んでいくかと思いきや私の隣で佇んだままです。
「おーいぴーちゃん、あれ、あれ取ってくるんだよ?」
「ピュゥィ?」
うぅ、ルールをよく分かってなかったみたいです。
お婆ちゃんお手製の、フリスビーかぁ~
で、でもまだ諦めません!
おばあちゃんと一緒にわたしが作ったやつがまだ残ってます!
すこし不恰好ですが、ちゃんと前には飛ぶんです!
『ほら!これ、この今から投げるやつを、取ってくるんだよ!』
「ピュゥィ!」
今度こそわかったよ、と言わんばかりに大きくなくぴーちゃん。
よし、その心意気買った!
見事わたしの豪速球受け取って見せるのだ!!
「いっくよー、そーれ!」
今度もなかなか上手に投げられました!
ぴーちゃんも、今度は本当に分かってくれたみたいで崖から飛び降りるようにして空をとび、フリスビーを追いかけ始めました。
そして、すぐさま追いついてそのくちばしで捉えようとして…
パキンっ
遠目でも見えました。
私、結構目がいいんです…
ぴーちゃんが咥えたその瞬間、フリスビーが真ん中あたりで綺麗に割れたのが私には見えました…
「あっはっは、なかなかうまくいかないねー!」
お母さんが後ろでさも愉快だと大笑いしています…
「うぅー、こんな予定じゃなかったのにー!」
フリスビーを咥えて、ぴーちゃんが戻ってきました。
どうしたの?と言わんばかりに首を傾げていますが、その足元にはやっぱり見事に割れたフリスビー。
さすがのお婆ちゃんもこれは想定してなかったでしょう…苦笑いしているのが目に浮かびます。
いくら魔法使いの作ったフリスビーといえど再び一枚に戻ることはありません。
「うぅー!」
見事な景色の山間で、私の悔し声だけが、いえ、ついでにお母さんの高笑いも一緒にこだましていたのです。
そのあとは壊れても別にいいような、木の棒を使って遊んだりといろいろ試したんですけど、あまり飛距離が出せなくてあえなく失敗。
結構ひらけた場所でぴーちゃんとお母さん、3人?で一緒に鬼ごっこをしてその日は山を降りました。
今度遊びに行くときは割れないフリスビーを持っていくんです!!
。
応援ありがとうございます!
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