コレは私が騎士になる話で有る

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懲りない悪戯である

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「____ギルバート衛兵長!また、やられました!」
ココは、クリスタル王国の中心部。キングセル王都。

都の衛兵たちが今日もまた、騒いでいる。何か、事件が起きたようだ。
「またやりやがった!ユーラチカが。」
「あんっの、糞ガキが!」
「いったい、どんだけ迷惑かければ気が済むんだ!」

ガヤガヤと楽しげに話しているのではなく、怒りに震えているようだった。



時間は一時間ほど、遡る____

「……よっし!これでイイでしょ!」
なにやら、自慢げに都の衛兵達の倉庫で笑っている少女。
ユーラチカ=ダークソウル。通称、チカ。
「ふっふーん。ウチを捕まえようと罠を張ったって意味ないし!」

チカはたった今、衛兵の目をかいくぐりたくさんの武器が置いてある武器庫にいる。

ココには、組み立て式の槍が置いてある。もちろん一つ一つの組み合わせがあり、それ以外をはめることはできない。
そのため、きちんとセットで箱に入れられている。……のだが。

「ふっふっふっ…。今日は、この組み合わせを変えてやるし!」
チカは何としてでも、衛兵を困らせたいらしい。一つ一つの箱を開けて中身を入れ替えている。

そうして、全ての中身を入れ替えて元あったように戻し終わる。
「今日の悪戯はおしまい!」

____
「武器庫にある槍の組み合わせを変えられたようですっ!……ヒッ」

衛兵長であるギルバートに報告した、衛兵はその時の彼の顔を見て悲鳴を上げた。
余りにもその顔が恐ろしかったのだ。
「……オイ。」

低く唸り声を上げるかのように、ギルバートは報告した衛兵に声をかけた。
「は、ハイッ!」
ガタリと衛兵長の席をギルバートは立ち上がった。
「俺は今から、あの糞ガキを捕まえてくる。……引き続き、見回りをしてろ。」
「ハッ!了承致しました。」

ビシリと敬礼をした衛兵を見たギルバートは、急いで外に出る。
外は、澄み渡る青空でありがたい事に太陽が元気に地上を照らしてくれている。
「チッ!」

まあ、それに似合わず黒いマントを羽織っているギルバートは怒りに震えながらチカを探すのだが。



「アッハハハ!今日も成功、成功。」
ギルバートが自身の事を探しているとも知らないチカは、ご機嫌に裏路地を歩いていた。
ポケットの中に何かが入っているようで、それを触りながら楽しそうに歩いている。

「今日も、衛兵のおじさん達は困ってるかなー?」
そんなチカの周りは、ある人の影で覆われた。
「生憎だが、お前に元に戻してもらうつもりでいる。」
「え……、ゲッ!」
言わずと知れたギルバート衛兵長である。逃げようとするチカの首根っこを掴み、暴れるチカを冷たい目で睨む。

「何度言ったら、やっては駄目だとわかるんだ!」
ギルバートは軽々と肩でチカを俵担ぎをして、転移で武器庫へと行く。

ドサリと、武器庫の扉前でギルバートがチカを投げるように落とした。そうすれば、チカは反抗的な目でギルバートを見た。
「何すんだし!」
「こちらの台詞だ。なんて事してくれんだ。さっさと直しやがれ。」

魔道具であるランタンをチカに渡したギルバートは、武器庫にいれた。
重い扉は呆気なくチカを誰もいない武器庫に閉じ込めた。
「てててっ……。」
真っ暗な中で渡されたランタンをつければ、微かだが周りが見えるようになった。
チカ自身はの魔力が削られているのを感じるが、このランタンがなければ真っ暗闇だ。
チカは、ギルバートから貰ったランタンをありがたく使うしかない。

「扉の外に衛兵を付けておく。……終わったらそいつに声をかけろ。」
どうやら、見張りまでご丁寧にいるらしい。

……そこまで信用がないのか。
チカにとっては、腹立つことだが仕方がない。
それほどの事を、チカは何度も悪戯と忌み子として行っているのだ。

「仕方ないなぁ……。」
先程の組み合わせを元に戻す為に、一つ一つのパーツをチカは出した。
もともと、頭はいい子だ。ただ、その頭をうまく使うことを誰も教えないだけ。

槍のパーツでわずかに違う接合部分を見ながら、箱に入れる。
時刻は、刻々と過ぎていった。
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