コレは私が騎士になる話で有る

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2人の恐ろしい人

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作者から

ここからは、ユーラチカ=ダークソウルの視点となります。
ご注意ください。
______________________________________________

「____っあー!……やっと終わった。」
あれから喋ることもなくチマチマと元に戻す事をしていたが、そのかいあってようやく終わった。
まだ、お腹が空いていない事を考えると日は降りていないな……。

箱をもとあった場所に戻して、扉を叩く。
「衛兵のおじさん、終わったしー。」
扉越しに言うが、返事がない。聴こえなかったのだろうか?

先程よりも強く扉を叩こうとしたとき、外から声が聞こえた。
「うわぁっ!」
「ぎゃあ……ぁ。」
聞き覚えのある、衛兵のおじさん達の声。倒れた音も聞こえた。

何かあったんだ。
瞬時に悟って、扉から離れる。誰が何のために来たのかはわからないが、衛兵がやられるのだ。
私が勝てるわけがない。
「……ほ、……る…すか?」
「そ……れ……が………い…ど……。」
扉から離れたため、何を話しているのかは分からない。最低でも、二人誰かいる。

ミシッ____
扉を睨んでいれば、そこから押し潰されるような音が聞こえる。
「もしかして、……ヤバイ?」
慌てて物陰に隠れて、目を瞑る。ついでに、ランタンの明かりを消す。
心臓がドキドキし始めて、ダラダラと冷や汗が落ちてくる。
何者かに侵略されてくるような、沼ぞこからジワジワくるような……。
そんな恐怖がでてくる。

恐い恐い恐い。誰か、来てくれないかな…。

ミシミシミシ……ボキッ____
予想通り、あんなに分厚かった武器庫の扉は呆気なく壊された。
「……っ?」
慌てて口を手で抑えて、物陰で小さくなる。
「アレレー?やっぱり、いないッスよー?」
若そうな男の人の声が聞こえる。善良な民衆の声に聞こえるが、何か違う。

善良な民衆が、武器庫に来ることが可笑しいのだ。
何かあるに決まってる。
「おかしいな……、ここに居ると聞いたんだが。」
もう一人、若そうな落ち着いた声。やっぱり二人いるんだ。
「忌み子は、本当にいるんスよね?……隠れてんッスか?」

おーい!と一人の男性が声をかけてくるが、その声が怖くて身動き一つしないようにする。
「まぁ、いい…。他のところを探すぞ。」
その声を聞いて、ホッと一息つけば…やってしまった。


カランッ____
「ん?」
「音がしたッスね。」
たまたま手に当たったランタンが倒れて、音を立ててしまった。
一歩一歩、私の方に近づいてくるのがわかる。
えっと、えっと、こういうときは。
「……ニャーン。」

とっさに町中でどこにでもいる猫のモノマネをする。
「あ、なんだ!猫ッスか。」
気にしなかったようで、今度こそゆっくり息を吐いた。








「____なーんて、そんなこと言うわけ無いッスよ?」

バコンッ____
陰にして隠れていた物が、粉々に壊された。
「なっ!?」
「あー、やっぱりいたッスね!」
隠れるものがなくなった、私の目の前には二人の人がいた。

一人は、最後の語尾にッス、とつける茶色のマントをつけた人。
赤髪にランランとした金色のひとみ。なんだか、熱血系の人みたい。しかし、肩にかけている大剣は大人三人分の長さである。
あの大きさは、脅威だ。

もう一人は、大人びた落ち着いた人。灰色の髪に灰色の瞳。
この人は、黒のマントで腰の左右に双剣がさしてある。……かなり目つきが悪い。


両方に見られて、じりじりと後ろに下がれば一歩茶色のマントの人がこちらに歩み寄ってきた。
「いやー、ようやく見つけたッス!……自分は、サンドニアって言います。こっちは、ムーランジュって言うッス。」

その後も一歩一歩近づいてきて、私の髪を持った。
「…いっ、たい!」
グイグイと髪を引っ張られるので、立ち上がってその手を離そうとする。しかし、反対側の手で抑えられた。
「うんうん。やっぱり、この黒髪!忌み子の証ッスよ。」

「早く連れてくぞ、見つかると面倒くさい。」
「えー、ちょっと待って欲しいッス。」
ボリボリと頭をかいているムーランジュとか言うやつ。
このままだと、連れ去られる。
そう瞬時に悟って、男の手に向かって回し蹴りをお見舞いしてやる。
ムーランジュと話していた為か、私の回し蹴りを回避することができず、もろに当たった。

「っ、痛!」
そのまま、地面に転がり出口に走る。
門の外に行けば、やはり衛兵が倒れていた。
「だ、大丈夫か?」
慌てて近寄って、肩を揺らせすが寝ているままだ。もしかしたら、睡眠の魔法を使われているのかもしれない。

周りに人はいないのかと、キョロキョロと見てみるが誰もいない。
「あのさー……。」
ムーランジュが、面倒くさそうにこちらに近付いてきた。濁った灰色の目でこちらを見てくる。
「逃げられるわけ無い。それに、連れてこれるなら腕や足の一、二本切っていい……そう言われてんの。」

双剣をスラリと出して、こちらに向けてくる。
「一回逃げたから……、一本切るね。」
何も移していない無表情で、こちらに走ってきた。
切られる。腕を、殺られる。
「……っ!」
もう、どうすることも出来なくて体を丸めてせめてもの抵抗をする。
誰か、助けて!
途方もない恐怖と、絶望を感じてこんな事になっている理由がわからない。





「オイ、てめぇーら。……何してやがる。」
フワリと目の前が白くなったかと思うと、誰かに抱えられて体が浮いたのを感じた。
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