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忌み子と言うものは______
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第三者視点です
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ブワリ、と生温かい風が吹いた。
この場にいるのは、衛兵長のギルバート。闇鷹のサンドニア、ムーランジュ。
そして、忌み子のユーラチカだった。
ギルバートの片腕は無くなり、サンドニアとムーランジュは自身の勝利を確信した。
「ねぇ、早く連れてくよ……ソレ。」
ムーランジュがサンドニアが掴んでいるユーラチカを指差した。
もう夜になり、あたりは月とランタンによる光しかない。ユーラチカを守っていたギルバートが気絶している今、早く帰ることがムーランジュの指名だった。
「はいっ!そうッs______」
「ボクとは、遊んでくれないノ?」
しかし、そうは行かなかった。
ザワザワと木々が揺れて、黒い霧のようなものがユーラチカの周りに集まる。
瞬間的にムーランジュとサンドニアは、ユーラチカから距離を取った。
先程までのガキのような雰囲気をガラリと変えて、狼のような狂気さを秘めているようだった。
「"ユーラチカ"がネ、ボクに言ってきたヨ?……力が欲しいっテ!」
あきらかに、先程とは別人となったユーラチカ。いや、ユーラチカに見えるもの。
自己紹介をしているときでも、彼女の周りには黒い霧のようなものが集まっている。
これは、闇の魔力の塊である。つまり、彼女が今闇属性の魔法を使おうとしているのだ。
「おいおいおい……、どうするッスか?ムーランジュ。」
忌み子と呼ばれる根本の魔法を使おうとしているユーラチカに危機感を覚えた。
「あぁ、あれはマズイ。……早く止めるべきだ。」
ムーランジュは、かなりのスピードでユーラチカの近くまで行くと気絶させようと首を狙った。
しかし、その場にはもうユーラチカは居なかった。
どこに居るのか、サンドニアとムーランジュがあたりを見回せば後ろから声が聞こえた。
「ギルバートは、ココで待っててネ!」
ギルバートさえも追いつけなかった、速さで二人の後ろへと行き普通にしている。
忌み子がなぜ嫌われるのか?
それは簡単である。
昔、闇属性をもつ人は巫女として崇め奉られていた。
力があるとして、恐れられてもいた。
しかし、ある日一人の巫女は疑問に思ったのだ。
「______私には一体、どれほどの力があるのだろう。」
そう思った彼女は、自身の力を余すことなく使い切り亡くなった。
世界の三分の一と十分の一の人口を道連れに。
つまり、忌み子はそれほどの力を持っているのだ。
「______【ダークアロー】」
ボソリ、とユーラチカが言えば普通の数の十倍は矢が出てきてサンドニアとムーランジュに向かった。
「おいおいおいっ!規格外とは聞いていたが……。」
「規格外過ぎっすよ‼」
その数、五十本以上。
サンドリアとムーランジュを囲い込むかの様に出来たヤリ。
ユラリ、と揺れたかと思うと二人を向かって一斉に突き進んだ。
「……アレ?あれあれアレレ?」
二人のいた場所はダークアローによってボコボコになった。
しかし、そこに二人の影はない。あるのはただ、ユーラチカの技によってボロボロになったマントだけ。
茶色のマントと黒のマントが風になびいている。
「いやー、ムーランジュの得意魔法がなかったら危なかったッス。」
「っクソ、んなとこで使う気なんてなかったてのに……。」
マントをなくした彼らは、少し離れたところにいた。
そこは先程いたところとは異なり、すこし離れた教会の上にいる。
「予想外な出来事が起こり過ぎた。……首領のところに戻り、立て直しだ。」
「了解ッス。」
そうして、二人の姿は今度こそどこにも見えなくなった。
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ブワリ、と生温かい風が吹いた。
この場にいるのは、衛兵長のギルバート。闇鷹のサンドニア、ムーランジュ。
そして、忌み子のユーラチカだった。
ギルバートの片腕は無くなり、サンドニアとムーランジュは自身の勝利を確信した。
「ねぇ、早く連れてくよ……ソレ。」
ムーランジュがサンドニアが掴んでいるユーラチカを指差した。
もう夜になり、あたりは月とランタンによる光しかない。ユーラチカを守っていたギルバートが気絶している今、早く帰ることがムーランジュの指名だった。
「はいっ!そうッs______」
「ボクとは、遊んでくれないノ?」
しかし、そうは行かなかった。
ザワザワと木々が揺れて、黒い霧のようなものがユーラチカの周りに集まる。
瞬間的にムーランジュとサンドニアは、ユーラチカから距離を取った。
先程までのガキのような雰囲気をガラリと変えて、狼のような狂気さを秘めているようだった。
「"ユーラチカ"がネ、ボクに言ってきたヨ?……力が欲しいっテ!」
あきらかに、先程とは別人となったユーラチカ。いや、ユーラチカに見えるもの。
自己紹介をしているときでも、彼女の周りには黒い霧のようなものが集まっている。
これは、闇の魔力の塊である。つまり、彼女が今闇属性の魔法を使おうとしているのだ。
「おいおいおい……、どうするッスか?ムーランジュ。」
忌み子と呼ばれる根本の魔法を使おうとしているユーラチカに危機感を覚えた。
「あぁ、あれはマズイ。……早く止めるべきだ。」
ムーランジュは、かなりのスピードでユーラチカの近くまで行くと気絶させようと首を狙った。
しかし、その場にはもうユーラチカは居なかった。
どこに居るのか、サンドニアとムーランジュがあたりを見回せば後ろから声が聞こえた。
「ギルバートは、ココで待っててネ!」
ギルバートさえも追いつけなかった、速さで二人の後ろへと行き普通にしている。
忌み子がなぜ嫌われるのか?
それは簡単である。
昔、闇属性をもつ人は巫女として崇め奉られていた。
力があるとして、恐れられてもいた。
しかし、ある日一人の巫女は疑問に思ったのだ。
「______私には一体、どれほどの力があるのだろう。」
そう思った彼女は、自身の力を余すことなく使い切り亡くなった。
世界の三分の一と十分の一の人口を道連れに。
つまり、忌み子はそれほどの力を持っているのだ。
「______【ダークアロー】」
ボソリ、とユーラチカが言えば普通の数の十倍は矢が出てきてサンドニアとムーランジュに向かった。
「おいおいおいっ!規格外とは聞いていたが……。」
「規格外過ぎっすよ‼」
その数、五十本以上。
サンドリアとムーランジュを囲い込むかの様に出来たヤリ。
ユラリ、と揺れたかと思うと二人を向かって一斉に突き進んだ。
「……アレ?あれあれアレレ?」
二人のいた場所はダークアローによってボコボコになった。
しかし、そこに二人の影はない。あるのはただ、ユーラチカの技によってボロボロになったマントだけ。
茶色のマントと黒のマントが風になびいている。
「いやー、ムーランジュの得意魔法がなかったら危なかったッス。」
「っクソ、んなとこで使う気なんてなかったてのに……。」
マントをなくした彼らは、少し離れたところにいた。
そこは先程いたところとは異なり、すこし離れた教会の上にいる。
「予想外な出来事が起こり過ぎた。……首領のところに戻り、立て直しだ。」
「了解ッス。」
そうして、二人の姿は今度こそどこにも見えなくなった。
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