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騎士見習い
どうも、気難しいやつ。
しおりを挟むギルバートの話によると、その気難しいやつは弟子と共に隣国の城下町に住んでいるらしい。
ウチは、騎士学校の寮に住むのだが何かあった時などはその人を頼るように言われた。
ついでに言えば、その弟子も今年騎士見習いとしてアブソリュート騎士学校に入学するらしい。
会った事も無いため、気が合うのかは分からないがまぁ、
「何とかなるし。」
コンコンコン______
太陽が頭上で輝いている時、私は彼らを訪ねた。
……。
コンコンコン______
……。
二回ほどノックをしてみるが、応答なし。ギルバートが事前に話をしたって言ったのに。ふざけんな。
イライラしながら、扉の前で地団駄を踏んでいれば視界に黒い塊が動いた。人……だよな?
確かに目の前の屋敷の中で人が動いたのをウチは見た。絶対見た。
ふぅん……。
「居留守とか、巫山戯んなし。」
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン______
ガンッ!!______
根気比べと評して、ひたすらに扉を叩き続けていると中から叩かれた。
扉が凹んだのは、錯覚だし。凹んだ扉なんて知らないし。
「訪ねてるんだけど、居留守とか人としてどうかと思うし!」
周りのご近所さんにも聴こえるほどの大声で叫んでやった。これで暫くは、周りから白い目で見られるだろう、ざまあみろ。
ガチャ______
僅かに開いた扉から、ユラリと大人が出てきた。ギルバートの話では、ここに住んでいるのは、気難しい奴とその弟子らしい。
なら、こいつがその気難しい奴と考えていいだろう。
「君がギルバートの言っていた、ユーラチカ=ダークソウル君かね。」
出て来た奴は、ヒョロいし。男性なのは声でわかるが、そこらの女より断然細い。殴ったら、骨折れそうだし。
「そうだし。……どうも、気難しい奴。これからよろしくお願いしますだし。」
「ミカエラ=アルフェイド……と言う名だ。気難しい奴と言う名ではない。」
いや、そんな名前での奴いるわけ無いし。
心の中で突っ込んだ。言えば、面倒な事になるのは今の彼の言葉で明白だ。
「ミカエラ、ウチh_____「ミカエラ=アルフェイドと言う名だ。」」
……。
「ミカエラ、ウチh___「ミカエラ=アルフェイドと言う名だ。」」
……何コイツ。面倒くせぇし。
どうやら、ミカエラと呼ばれることが嫌らしい。開けっぴらに否を唱えないが、言葉を区切ってくる。
「ミカエラ=アルフェイド。ウチは、これからここに住むし?」
先に折れたのはウチだった。屈辱。
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