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1、一章
1、1体験入部にて
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高くなった日差しが落ちていく頃。放課後の調理室にて多くの生徒が集まり野菜を切ったりイモをゆでたりしている。
ゆで上がった野菜たちにカレールーを入れて、そのスパイスの香りが調理室内を満たしていた。
「いい香りだ」
「そうですねえ」
「お互い体験入部だけど。篠原、俺とでいいのか?」
「いいよー。颯太くんなんか手つきが慣れてたし、油入れる時とか」
「それは慣れ関係なくない?」
「そんなことないよー。なんか広がり具合がね、なんか良かった」
「わからん。けどまあ、褒めてもらったしいいか」
俺の隣にいた穏やかな顔の学生が玉ねぎをみじん切りにして、俺の前のフライパンに入れた。
「鍋でやった方が楽じゃない?」
「玉ねぎを炒めるのはフライパンの方が水分が飛びやすくていい具合になる」
「へー。颯太くんは物知りだねえ」
「母さんに習った程度だけどな。篠原だって結構みじん切り上手くない?」
「うん。包丁を研ぐところから始めましたのでー」
「んな悠長な。でもありがとう」
俺はコンロのひねりに手をかけた。やや汗で滑ってしまう指の照準を合わせる。フライパンを持つ手にも力がこもった。火だけは苦手だった。
「ここまでは覚えているんだけど……」
ひねりを回して、クリック音がした。家では電子コンロのためにいつもより緊張している。ガスの流れる音がして。
ボッ!
火のつく音がした。コンロの中に青い火が見えた。その音だけで視界が真っ白になる。耳の奥で山火事の音が聞こえる。降り注ぐ火と枝、地面いっぱいの葉が燃え盛り、ゴウゴウと大きな音を立てて。
お願いしてごらんと言う声。
俺の手が止まり、体が震える。
「颯太くん! 颯太くん!」
誰かが俺の手に触れて、フライパンから手が離れた。強く握っていたと思ったのに、簡単に引き剥がされる。
そして、目の前には火が燃えていた。フライパンの中にあの時と同じ赤い炎が。
「うぅぁぁ!!」
近くにいた先輩が慌てて消化器を持ってきて噴射する。
「大丈夫?」
俺の怯えように、優しく声をかけてくれたのは篠原だ。側にいる先輩や同級生たちも心配そうに俺を見ている。
体験入部すらもできない俺は手の火傷を抑えて、その場に謝罪をするしかなかった。
ゆで上がった野菜たちにカレールーを入れて、そのスパイスの香りが調理室内を満たしていた。
「いい香りだ」
「そうですねえ」
「お互い体験入部だけど。篠原、俺とでいいのか?」
「いいよー。颯太くんなんか手つきが慣れてたし、油入れる時とか」
「それは慣れ関係なくない?」
「そんなことないよー。なんか広がり具合がね、なんか良かった」
「わからん。けどまあ、褒めてもらったしいいか」
俺の隣にいた穏やかな顔の学生が玉ねぎをみじん切りにして、俺の前のフライパンに入れた。
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「玉ねぎを炒めるのはフライパンの方が水分が飛びやすくていい具合になる」
「へー。颯太くんは物知りだねえ」
「母さんに習った程度だけどな。篠原だって結構みじん切り上手くない?」
「うん。包丁を研ぐところから始めましたのでー」
「んな悠長な。でもありがとう」
俺はコンロのひねりに手をかけた。やや汗で滑ってしまう指の照準を合わせる。フライパンを持つ手にも力がこもった。火だけは苦手だった。
「ここまでは覚えているんだけど……」
ひねりを回して、クリック音がした。家では電子コンロのためにいつもより緊張している。ガスの流れる音がして。
ボッ!
火のつく音がした。コンロの中に青い火が見えた。その音だけで視界が真っ白になる。耳の奥で山火事の音が聞こえる。降り注ぐ火と枝、地面いっぱいの葉が燃え盛り、ゴウゴウと大きな音を立てて。
お願いしてごらんと言う声。
俺の手が止まり、体が震える。
「颯太くん! 颯太くん!」
誰かが俺の手に触れて、フライパンから手が離れた。強く握っていたと思ったのに、簡単に引き剥がされる。
そして、目の前には火が燃えていた。フライパンの中にあの時と同じ赤い炎が。
「うぅぁぁ!!」
近くにいた先輩が慌てて消化器を持ってきて噴射する。
「大丈夫?」
俺の怯えように、優しく声をかけてくれたのは篠原だ。側にいる先輩や同級生たちも心配そうに俺を見ている。
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