思いオソレリ

夜行回

文字の大きさ
2 / 8
1、一章

1、2水飲み場前

しおりを挟む
 放課後の人の少ない廊下を歩く、俺の手は火傷をしたため保健室で治療してもらった帰りだ。隣には付き添ってくれた篠原がいる。

「ごめんな、付き合わせちゃって」

「いいよー。それよりも怪我は大丈夫?」

「大丈夫だ。元々火傷してたし、特に変わらないって」

「元から?」

「ああ。昔大火傷しちゃって跡が残ってんだ」

「そっかー。でも、火傷したことには変わらないから、大事にねー」

「ああ。ありがとう。ここまででいいよ」

「家まで送ろうか? なんか、すごい苦しそうだったし」

「平気だって。それより、体験入部の続きしてきな。俺の代わりにさ」

「うーん。そう言うなら。連絡先交換しとこうか?」

「そうだな。もしかしたら、俺を入部させてもらうために頼るかも」

 俺はそう思いながらも、入部したいとは思えなかった。一歩間違えたら大火事だ。篠原にまで迷惑をかけてしまったから。

 でも篠原の連絡先があれば、料理の話で仲良くできるかもしれないと淡い期待があった。一緒に料理するのは無理だろうが。

「いいよー」

 篠原の連絡先を登録して、篠原と別れた。彼が廊下を早足で歩くのを見送って、俺は窓辺に立つ。

 外から吹く風が肌寒かった。先ほどかなりの汗をかいたのだろう。太陽があるのに、光の届く場所にいるのに寒い。

 早く帰ろうと廊下を進んで水飲み場を通り過ぎようとした時、足元で動くものがあった。見てみればそれは手だった、青白く何か模様のようにギザギザとしているように見えた。

 そいつは開けっぱなしの部屋からはい出てきたような形で倒れている。

 手をたどって見てみると、長い白髪の人が倒れていた。ゾッとしたけど、そいつが学校指定のジャージ、しかも俺たち一年生の色のジャージだったため安心した。

「大丈夫か?」

 そいつは顔を上げずに手だけを上げた。

「水もらえない? 廊下を水浸しにしてもいいからさ」

「俺が怒られるっての! あー。でもコップとかないな」

「持って連れてってくれえ」

「仕方ねえな」

 そいつの肩を持って持ち上げると、その顔があらわになる。綺麗な顔立ちにキッパリとした目鼻。瞳の色は黒い。美形っぽい人だ。だけど頬の端っこにまた、ギザギザとした模様がある。

 そいつの手が俺の手に触れた。冷たい。生き物とは思えない温度、俺の熱が奪われるほどの冷たい肌。そして、その手にあるギザギザの異質な感触は魚を思わせた。

 抱えるためにそいつの手を持ち直すとその手から何かが落ちる。青白い丸いひし形。俺は見た、そいつの手は1箇所赤くなっている、鱗が剥がれたみたいに。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

意味がわかると怖い話

井見虎和
ホラー
意味がわかると怖い話 答えは下の方にあります。 あくまで私が考えた答えで、別の考え方があれば感想でどうぞ。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。 意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。 隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...