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1、一章
1、8はるか空の高くから
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空が広い。街に住めばここまで広い空を見るのは稀だ。夜景を見るために山に登った時いらい久しぶりに障害物のない空を見た。
俺の体は浮かんでいるのか、落下せずにいた。強く当たる風をもろに受けて体温が奪われる。
「力を手放せ、少年」
俺の目の前に狐面の少女が現れる。
「なんの話なんだ?」
「端的に言えばお前は超能力を持っている。我々は火にまつわるものだと推定している」
超能力なんてこの世界にあるのか? よりによって、火なのかと頭を抱える。他の能力だったら、例えば水ならじいちゃんの時にも……。
「でも俺、何もできないですよ?」
「お前の母親を焼いたのはその力の発露だ」
「そんな……」
やっぱり俺だったんだ。でもなんで母さんに。母さんを燃やしたいなんて思ってない。
「強力な超能力はその人の人生を振り回す。そして破滅して行ったものは多い。我が神も嘆かれていた」
「神様って神社の?」
「はい。天尾神社の御神体は嘆かれた。人々に渡った我が力が災いを招いていると。悪心から犯罪を犯すものもいる」
「俺、こんな力いりません。でもどうやって渡せば?」
「謙虚なのは良い事です。ではそのマッチの箱をこちらへ。封印します」
「これは、ダメです。じいちゃんとの最後の思い出なんです!」
俺がもらったじいちゃんとの思い出。どうしても渡したくなかった。
「はあ……。仕方ありません。お前を神に引き渡します。落としてから」
「えっ?」
止まっていた体が下から吹く風を受ける。吹いているのではない、風の中を落下していくのだ。
迫り来るキラキラした街の夜景。鮮明になっていく街の情景が俺の心にさらなる恐怖を与えた。でも、俺は非力で何もできない事も分かっていた。
もう死ぬしかないのだと。
俺が最後に思ったのはじいちゃんへの謝罪。母さんへの謝罪。だが、俺が怯えるほどにマッチの箱は熱くなる。
「火を操れてたら、こんな事にはならなかったのかな……」
「後悔にはまだ早いよ」
「えっ?」
俺の体を泡が包んだ。そして止まった落下。泡は中空で浮かび、俺の目の前に現れたのは長い白髪のあいつだった。
俺の体は浮かんでいるのか、落下せずにいた。強く当たる風をもろに受けて体温が奪われる。
「力を手放せ、少年」
俺の目の前に狐面の少女が現れる。
「なんの話なんだ?」
「端的に言えばお前は超能力を持っている。我々は火にまつわるものだと推定している」
超能力なんてこの世界にあるのか? よりによって、火なのかと頭を抱える。他の能力だったら、例えば水ならじいちゃんの時にも……。
「でも俺、何もできないですよ?」
「お前の母親を焼いたのはその力の発露だ」
「そんな……」
やっぱり俺だったんだ。でもなんで母さんに。母さんを燃やしたいなんて思ってない。
「強力な超能力はその人の人生を振り回す。そして破滅して行ったものは多い。我が神も嘆かれていた」
「神様って神社の?」
「はい。天尾神社の御神体は嘆かれた。人々に渡った我が力が災いを招いていると。悪心から犯罪を犯すものもいる」
「俺、こんな力いりません。でもどうやって渡せば?」
「謙虚なのは良い事です。ではそのマッチの箱をこちらへ。封印します」
「これは、ダメです。じいちゃんとの最後の思い出なんです!」
俺がもらったじいちゃんとの思い出。どうしても渡したくなかった。
「はあ……。仕方ありません。お前を神に引き渡します。落としてから」
「えっ?」
止まっていた体が下から吹く風を受ける。吹いているのではない、風の中を落下していくのだ。
迫り来るキラキラした街の夜景。鮮明になっていく街の情景が俺の心にさらなる恐怖を与えた。でも、俺は非力で何もできない事も分かっていた。
もう死ぬしかないのだと。
俺が最後に思ったのはじいちゃんへの謝罪。母さんへの謝罪。だが、俺が怯えるほどにマッチの箱は熱くなる。
「火を操れてたら、こんな事にはならなかったのかな……」
「後悔にはまだ早いよ」
「えっ?」
俺の体を泡が包んだ。そして止まった落下。泡は中空で浮かび、俺の目の前に現れたのは長い白髪のあいつだった。
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