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1、一章
1、7火種
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赤い口に襲われた俺は、飛び起きた。起きればすでに部屋は真っ暗。暗い部屋の中で、荒くなった呼吸を整えた。
怖い夢だった。でも、俺が夕飯作るって母さんに言ったのを思い出し焦る。自分で言っておいてと母さんにお小言をもらってしまう。そう思った時。
「キャァァァ!」
悲鳴が聞こえた。それは母さんのものだ。
急いで階段を降りて台所の戸を開き母さんを見た。母さんのズボンの裾に火がついていた。
煌々と赤く燃える火に俺はまた硬直してしまう。怖い。汗が滲んだ。心臓が強く脈打つ、風呂に入って流した体が震えてきた。
怖いけど、母さんまで失いたくない!
「母さん!」
俺は水道の蛇口へと走ったその瞬間、目の前を横切ったのは泡だ。大きく重そうな泡が横切ったかと思うと母さんに当たり弾けて水びたしにして、火が消えた。
「母さん! 大丈夫?」
「平気。でも、なんだったんだろう。コンロもつけてないのに……」
俺への配慮で家のコンロはガスではなく電気に変えてもらっていた。上に何かを置かない限りは火など出るはずがない。それも燃えていたのは母さんのズボンの下の方。あり得ない。
俺は自分が何かを持っているのに気がついた。じいちゃんのマッチの箱だ。ゆすると音がする、開けてみると中には燃え尽きたマッチが入っていた。さっきまでなかった。
じゃあ、なぜある?!
「まさか、俺が願ったから?」
マッチに触ってみた確かめなければならなかった、そしてマッチは熱かった。
走った家の外へと出た俺は、逃げるしかない。
俺のせいなのだと思ってしまった。持っていたマッチがそれを物語る。どんな理屈か分からない。でも、俺はまた家族に……!
分からなくなりながら走った。そして神社の前に差し掛かったところで人影を見た。
新体操の選手が着るレオタードを身につけた少女がこちらを見ている。見ているけど、相手の顔は狐のお面により見えない。
夜となった神社の参道は灯に照らされていてもなお暗い闇が混在する。その中に立っている少女の白さに俺は足を止めた。異質な場違いな何か。
ここに居ない方がいいと思ったその時、少女が目の前に現れた。足の動きも予備動作もない、はじめからそこに居たかのように。
「天尾十二天将、一席。空野遙。あなたの力を奪わせてもらう」
そう発言した瞬間に俺の腹に激痛が走った。殴られたかような痛みだが彼女は動きがない。
「零域」
彼女が言うと、そのまま見えないなにかにより俺の体は空へと飛ばされて。離れていく地面、夜景の明かりから遠ざかり空の闇の中に居た。
怖い夢だった。でも、俺が夕飯作るって母さんに言ったのを思い出し焦る。自分で言っておいてと母さんにお小言をもらってしまう。そう思った時。
「キャァァァ!」
悲鳴が聞こえた。それは母さんのものだ。
急いで階段を降りて台所の戸を開き母さんを見た。母さんのズボンの裾に火がついていた。
煌々と赤く燃える火に俺はまた硬直してしまう。怖い。汗が滲んだ。心臓が強く脈打つ、風呂に入って流した体が震えてきた。
怖いけど、母さんまで失いたくない!
「母さん!」
俺は水道の蛇口へと走ったその瞬間、目の前を横切ったのは泡だ。大きく重そうな泡が横切ったかと思うと母さんに当たり弾けて水びたしにして、火が消えた。
「母さん! 大丈夫?」
「平気。でも、なんだったんだろう。コンロもつけてないのに……」
俺への配慮で家のコンロはガスではなく電気に変えてもらっていた。上に何かを置かない限りは火など出るはずがない。それも燃えていたのは母さんのズボンの下の方。あり得ない。
俺は自分が何かを持っているのに気がついた。じいちゃんのマッチの箱だ。ゆすると音がする、開けてみると中には燃え尽きたマッチが入っていた。さっきまでなかった。
じゃあ、なぜある?!
「まさか、俺が願ったから?」
マッチに触ってみた確かめなければならなかった、そしてマッチは熱かった。
走った家の外へと出た俺は、逃げるしかない。
俺のせいなのだと思ってしまった。持っていたマッチがそれを物語る。どんな理屈か分からない。でも、俺はまた家族に……!
分からなくなりながら走った。そして神社の前に差し掛かったところで人影を見た。
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夜となった神社の参道は灯に照らされていてもなお暗い闇が混在する。その中に立っている少女の白さに俺は足を止めた。異質な場違いな何か。
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「天尾十二天将、一席。空野遙。あなたの力を奪わせてもらう」
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