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本当に王子は来るのか

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深夜0時。
魔法が解けたのは、丁度、家に着いた時だった。
「おお、ピッタリ。さすが私。」
シンデレラはちょっぴりご機嫌だった。
「本当に王子様は捜しに来るのかしら。」
馬車の馬役だったネズミに話しかけて、ふふ、と笑った。


二日後。

シンデレラの住む町に、王子様一行が来ているという情報が入ってきた。
シンデレラは内心、少々驚いていた。
継母たちは、先日の舞踏会にシンデレラが来たことに気付いていた。
シンデレラと王子のダンス中、二人を見ていた人たちの中に継母と義妹もいたらしい。
継母たちは、シンデレラから例の試練の話を聞いていたので、とてもわくわくしていた。

「姐さんっ、王子はこの家をちゃんと見つけられるかしら。」
「私、ドキドキしてきたわ!」
義妹たちがはしゃいでいる。

「そうね。
シンデレラに立ち向かう男はそうそういないもの。
期待していいんじゃないかしら。
ねぇ、シンデレラ?」
継母も上機嫌な様子だ。

「駄目よ、そんな簡単に男を信頼しては。
あなたたちも、男に言い寄られても素直に言うことを聞いては駄目よ。
女が優位に立てるように、話を進められるようになるのよ。」
いつも通り、男には全く信頼を寄せないシンデレラ。
しかし、今日に限っては、心の中がほんの少しだけ浮き足立っていたのも、また事実。

「あなたの、王子に試練を与えたっていう話、見事だったわよね。
王子にあんなに意見できるのは、あなたくらいよ。
あなたが私の味方で良かったわ。」
と、継母。
義妹たちも続く。
「私たちもよ!」
「姐さんがいれば、私たちも大人の女性になれるもの。」

そんな話をしていると、

トントンッ

扉をノックする音。

室内にいた四人は、息を飲んで扉に目を向ける。

扉の向こう側から声をかけられる。
「女性を探しています。
こちらに女性はおられますか?」
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