もしもシンデレラが男不信かつ姉御肌だったら

かるぼん

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この物語の結末は…

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継母が扉を開けた。

そこには王子と、その従者らしき男性が立っていた。
王子は、まず、継母を見て、次に室内に視線を移し、義妹、シンデレラという順で確認していく。

目が合った。

王子は固くなっていた表情を緩め、口許には笑みを浮かべた。
そして、失礼します、と言って家の中に入り、シンデレラに駆け寄った。
そして、シンデレラの前で再び片膝をついた。
「どうですか。
私は貴方をちゃんと見つけ出しましたよ。
二日もかかってしまいましたが、その間、私は一時も貴方の事を忘れたことはありませんでした。
私は貴方からの試練をしっかりと乗り越えました。
ですので、もう一度言わせて下さい。」

ここで、王子は一呼吸おいた。

そして。

「私の妃になって下さい。」

そう言って、王子は手を差し出した。

シンデレラは微動だにせずに、王子を見下ろしていた。
王子もまた、シンデレラから決して目を逸らさずに、見つめ返した。

少し離れたところで、継母と義妹と王子の従者が固唾を飲んで見つめている。

数秒の沈黙。

ふっ、とシンデレラが息を吐いた。
その口許に笑みをたたえて。

「喜んでお受けします。」

今度こそ、シンデレラは王子の差し出した手に、自分の手を乗せた。

その瞬間、王子は花がこぼれんばかりの微笑みを浮かべた。
王子は立ち上がり、シンデレラを姫抱きする。
そして、驚いた顔のシンデレラの額に一つ、キスを落とした。
シンデレラの目は、目玉がこぼれ落ちてくるのではないかというくらいに大きく見開かれた。

何も言えないでいるシンデレラをよそに、王子は話始めた。
「舞踏会の日の庭での会話、実は私の従者に見られていました。
その従者いわく、まるで取引のようだったそうです。
それも、私が劣勢の。
王子が妃に言い負かされるようなことはあってはならない、と言われてしまいました。
ですので、私は貴方に負けないように、貴方を翻弄させられる男になると決意しました。
そうでもなければ、逆に私が貴方に愛想を尽かされてしまいそうですしね。
これから、よろしくお願いします、我が妃。」

微笑んでそう言う王子は、やはり王子のような顔であった。
いわゆる、かっこいい顔、というやつなのだろう。
ここでようやく、シンデレラは声を出せた。
「…そ、そういうのは、あまり慣れていないので、お手柔らかにお願いしてもいいですか。
…でも、私、あなたなら信じてもいいかもしれない、って思うんです。
何故か分からないけれど、あなたの前では本音が出てしまうし…。
これは、多分、信じられる人だって、認識した証拠なのかもしれない。
だから、そんな本能に従ってみることにします。」

珍しくうろたえた様子のシンデレラを見た継母と義妹は、目を見合わせてくすっ、と小さく笑った。
そして、耳を赤くしていたシンデレラは、一つ深呼吸をした。

「私の名前はシンデレラ。
どうぞ、これからよろしくお願いします、王子様。」


こうして、男不信だったシンデレラと、不屈の精神でシンデレラの心を開いた王子の恋物語は幕を閉じた。
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