天才星術師にティータイムを

かるぼん

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第一章

ミラの正体

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セイトが言葉を放った瞬間、セイトとミラを囲むように、円形に光の線が現れた。
その光は、上へと伸びて、二人を光のカーテンで包み込む。

魔物による突風とは別の風が、彼らの周りに巻き起こる。

ミラの全身が輝き出した。
あまりの輝きで、ミラの表情も、体の輪郭までも認識するのが困難になった。

だが、輪郭は分からずとも、ミラの身長の光の塊は、どんどん小さくなっていくのが分かる。

小さく、小さくなっていき、円盤のような形へと変わった。

そのタイミングで、セイトがその円盤のような光の塊に手を伸ばし、掴んだ。

その途端、その塊から光が全方向に散乱した。

『な、なんだ!?』

今までに見たことのない光の量に、魔物も驚きを隠せなかった。

とうとう、光も風も収まった。

つい先程まで、とてつもない光を放っていた中心には、直径30センチ程の大きな丸い鏡を持ったセイトだけが、静かに立っていた。

セイトはその鏡を、手のひらと肘の関節で、挟み込むように抱えて持っていた。

「魔物さん、すまないが、少年は返してもらわないといけないんだ。
素直に返してくれないと言うのなら、こちらも力ずくで奪うしかない。」

そう言うと、左腕で抱えた鏡の表面に自分の右手を軽く乗せ、静かに言葉を紡いだ。

「天に瞬く小さき星たちよ。
線を結び、形を成して、ここに降り立ち、我に力を。
『ほうおう座』、結。」

セイトが言葉を言い終わるのと同時に、鏡に置いていた右手を勢いよく、手のひらを前にして突き出した。

その途端、鏡が輝き、鏡の表面からきらきらと瞬く小さな粒が、大量に飛び出してきた。

その粒はまるで、夜空で瞬く星々のようであった。

そして、その粒はセイトが手のひらを向けていた方向に飛んで行き、ある"形"となった。

鳥だ。

だが、ただの鳥ではない。

その姿は光に包まれており、シルエットしか認識はできないが、その形はまさに、"鳳凰"と呼ばれるもの、伝説の不死鳥フェニックスの姿だった。

『ほうおう座』は、両翼を一度、大きく羽ばたかせた。

そして、くちばしと思われる所から、勢いよく光線を吹き出した。

その光線は、辺りの霧を切り裂いた。

それから、『ほうおう座』は光線を吹き続けながら、首が回る範囲で、首を振った。

するとー。

『ぐあぁぁっ!』

魔物の呻き声が上がった。

おそらく、『ほうおう座』によって吹き出された光線をくらったのだろう。

今まで、深い霧のせいで魔物の位置を把握できなかったが、光線で霧を消し飛ばしたことで、視界が開け、魔物の姿を確認することができた。

『ううぅぅ…。』

そこには、全身が真っ黒い巨人がいた。
その黒い巨人は地面にうずくまっていた。

「あなたが、魔物さんですね。」

セイトは、『ほうおう座』に動きを止めるよう指示してから、魔物の元へ歩を進めた。

「シュウト君を返してください。」

地面で苦しむ魔物は、セイトを下から睨み付けるように見上げて、

『い…イヤだ…。』

と、か細く答えた。

「理由を聞いても?」

セイトはその場にしゃがみこみ、魔物と目を合わせやすくした。

『………だって、我は、この森で一人なのだ。
我はこの森から出ることが出来ぬ。
仲間もいない。
動物たちは、我を避けて近寄らぬ。
ならば。
ならば。
人の子はたくさんいるのだから、一人くらい我にくれても良いではないか。
なぜ、ダメなのだ。』

ぽつり、ぽつりと本当の心をこぼし出した魔物。

真っ黒い顔は、どこに目や鼻があるか分からないが、その顔からは涙が出ていた。

「そうか…。
お前、寂しかったんだな…。」

そう言うと、セイトは地面で伏していた魔物を起き上がらせ、その場に座らせた。

「それでも、人の子には皆、帰る場所がある。
その子どもを待つ人間がいるんだ。
だから、君がお友だちに、と連れていった男の子は返してもらわないといけない。」

それを聞いた魔物は、うつむいたようだった。
『うつむいた。』と断定できないのは、全身が黒くて、正確な体の動きを認識するのは難しいからだ。

「だが、一つ提案がある。」

ピッ、とセイトは魔物の前に人指し指を立てた。

『?』
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