まさか、本当に、異世界に行くなんて【改訂版】

紫鶴

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ほかの異世界人

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数日後、ほかの異世界人が来てくれる算段が付いたと、ジルヴィが告げた。日和は小躍りをしたくなるほど嬉しくなった。やっと、やっと帰れる。両親にも友人にも会えるのだ、と。 
 
そして数時間後、異世界人が来た。フィリア・ナールという地球とはまた別の異世界から来た人だった。所作や服装が洗練されたもので、まるで中世ヨーロッパの世界から飛び出してきたような女性だった。ジルヴィは三人で話す予定をしていたようだが、なんとか二人で話をすることにできた。何となく、彼の目の前で帰る方法を聞くのは憚られた。 
 
「初めまして、日和と申します。わざわざ来てくださり、ありがとうございます。本日は宜しくお願い致します」 
「こちらこそよろしくお願いします。そんなに畏まらなくてよいですよ。それで、聞きたいこととは?」 
「すみません、ありがとうございます。元の世界に帰る方法を知りたいんです。ここにある書斎でも調べたんですけど、全然なくて…ご存知ですか?」 
「元の世界に帰る方法ですか。残念ですけれど、ありませんよ」 









「え…わからない、とかではなく…?」 
「えぇ、残念ながら。証明もされています。可能性のあるもの、可能性のないものもすべて試しましたがひとつも帰る方法はありませんでした」 
「どうしてご存じで…」 
「わたくしの世界の人間は1000年は生きますの。こう見えて724歳ですのよ?521歳の頃こちらの世界に来ましてあなたと同じように帰るすべを探しましたが、すべて無駄でした。お役に立てず申し訳ないですわ」 
「…いえ、こちらこそご足労いただきありがとうございました」 
 
なんてこと、帰る方法がないなんて… 
フィリアの年齢に驚かないほど日和は絶望していた。死にたい…死にたいしにたいしにたい…!なんで、なにも悪いことしてないのに!どうしてわたしだけこんな思いをしないといけないの?帰りたかっただけなのにそんなこともゆるしてくれないのね… 
もう日和には何も考えられなくなっていた。もう楽になりたい。死ぬにはどうしたらいいんだっけ…? 
 
それから数日それこそ死に物狂いで死ぬための準備を進めた。保護されたこの家には危ないものがどこにもなく困っていたのだが、何とか仕掛け用の縄を見つけ出し自分が寝泊まりしている部屋に持ってくることができた。 

今までお世話になったジルヴィやフィルのことも考えられないくらい必死で狂っていた。 

これで…やっと…自由に…
簡易的な机を使い、縄を照明のランプに掛ける。そして椅子を真下に持ってきて縄に首をかけた。
この世界のことも家族、友人のことだって考えられないくらい身体が、心が疲弊していた。


首をかけ、椅子から足を離したとき、がたん、扉の方から音がした気がした。
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