まさか、本当に、異世界に行くなんて【改訂版】

紫鶴

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ただいま、私の愛しい人

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重たい瞼をなんとか開けると、私を不安そうな顔で見つめる2組の目があった。
「……じる、さま、ふぃる」
私が出した声は確かな発音にはならず、舌っ足らずな音として辺りを震わせる。帰ってきたのだ、私は、帰ってこれたのだ。
「ヒヨリ」
以前までは怖いと感じていたその声は、今では愛おしいと思い、そんな声は微かに震えているようにも感じられ、どうしようもなく、安心し、嬉しく感じた。
「ヒヨリ様」
その声は私を心の底から案じており、私の心を満たしてくれるものであった。

「ただいま」
初めは怖くて、不安で、死にたいとさえ思っていたこの世界が、今ではこんなにも愛おしくて、安心出来て、そして、ここで生きていたい、そう思えるようになったのは、目の前にいる心優しい2人の獣人のお陰なのだと、そう思った。
「ジル様」
「どうした、どこか痛いのか?」
こんな時まで私のことを案じてくれる彼がとても愛おしくて、その気持ちを伝えたくなった。
「ジル様、ジル様は、お返事が遅くなった上に、1度拒絶してしまいましたが、私を、番として、置いてくれますか?」
彼は目を見開き、そして、とろりとした、とてつもなく愛おしいのだという目をして答えた。
「勿論だ、私の、愛おしい番」


おわり
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