逆転機ニルヴァーシュ -朝斬りの夜明け-【バンダナコミック01】

ボス子ちゃま

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44話ー『ハジケデュエル』

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「まずはアタシの先行よッ!! ドローッ!!」

 そう言ってパティは、左手首にはめられたデュエルディスクから勢いよくカードを引き抜く。

「チッ、しけてるわね!! アタシは追加ドローを発動するわッ!!」

 デュエルディスクから2枚目の追加ドローを加えたパティは、満足げに微笑んでカードをセットする。

「アタシは手札より、竜輝巧ドライトロンバンαを守備表示で特殊召喚ッ!!」

「ドライトロンデッキだと!?」

 野郎ガチだ!!
 しかもこのデュエルは、何でもアリのバーリートゥード。
 気に入らないドローであれば、何でも追加ドローすることが可能の無制限デュエル。
 ソリッドビジョン映像によって出現したモンスターカードの映像が、守備表示の構えを取りつつ、俺とスコルの目の前へと現れる。
 このデュエルは、バトルロワイアル方式。
 先に攻撃を加えられて、ウンコを漏らしたほうが負けになる。

「城之内くん、お前のデッキ間違ってるぞ!!
 戦士デッキは、どこに行ったんだ!?
 もうちょっとこう手心を加えるとかねえのかよ!!」

「遊戯、言った筈だぜ!! アタシは、お前の目を覚まさせてやると!!」

(マズい!! このままデッキを展開されたら、100%間違いなくアイツが出てくる!!)

「させるかぁああああッ!! 俺のターンドローッ!!
 俺は、お前のターンを強制終了させて、自分のメインフェイズに移行する!!」

 このデュエルは、改めて告げるが何でもアリのバーリートゥード。
 参加プしているレイヤーの気分によって、フィールドの状況は常に変化する!!
 そして、プレイヤーは、何もカードでちまちま闘う必要性がそもそもないッ!!

「ーー俺は、手札を使わずに暴力を発動させるぜッ!!」

 デュエルディスクで殴れば、このデュエルに勝てるッ!!

「行くぜ城之内くんッ!! ダイレクトアタックッ!!」

 ブゥンと振りかざした左手首のデュエルディスクが、城之内くん風の姉パティを頬をえぐり、トイレの奥へと向かって吹き飛ばすッ!!

「イワァアアアアアアアクッ!! イワァアクッ!! イワァアアアクッ!!」

 殴られてイワークを叫び続けるパティのライフポイントが、3,000ポイント減少してしまう。
 それを見ていた城之内静香風の妹スコルが、姉のやられた姿に真っ青に青ざめる。
 姉が漏らす一歩手前なのだ。
 もちろん気が気ではいられない。

「おのれ遊戯!!」

 そう言って俺にキッと鋭い視線を向けて来たのは、城之内静香風の妹スコルだ。
 ハッキリ言って、口調がどこぞの社長になっちまってるが、この際、細けえことは問題なしだ。

「私のターン!!」

 そう言ってスコルは、勢いよくそのデュエルディスクからカードを引き抜く。
 ふっ、と口元に笑みを作ると、お目当てのカードを引き当てたのか、スコルは天高々とカードを掲げる。

「貴様に神を見せてやろうッ!!」

 明らかにキャラも声も雰囲気も衣装も変わった。
 きっとあのデュエリスト風の男の魔法かスキルの影響だが、スコルはここ一番にデステニードローをかましたらしい。

「出でよッ!! オベリスクの巨神兵ッ!! ゴッドハンドクラッシャーッ!!」

「野郎!! 無条件で神を召喚して来やがったッ!?」

 俺のライフポイントは、4,000ポイント。
 この一撃を食らったら、そこで俺の負けになる。

「フハハッ!! 粉砕ッ!! 玉砕ッ!! 大喝采ッ!!」

「良いのかよ!? そんなテレビ局に怒られそうな発言しちまってえッ!?」

 ーー知らねえぞおッ!!
 俺の目の前にゴットハンドクラッシャーが迫る。
 叩きつけられるように天から振り下ろされているのは、言うまでもなく神の右拳だ。

「うぁあああああッ!!」

 一瞬にして直撃したパンチが、俺の衣類をすべて弾け飛ばして爆散させる。
 シューと煙が上がり、その中から裸の俺が現れる。
 勝利を確信した海馬瀬人風の妹スコルが、鼻息を漏らすとトイレの空き室へと向かって歩いていく。

「どうやらこの勝負は、私の勝ちで終わりのようだ……。
 磯野!! 試合終了のゴングを鳴らせ!!」

 そう言ってスコルは、さっきたまたま通りすがったデュエリスト風の男に「磯野」と名付ける。
 その瞬間、デュエリスト風の男の格好が「磯野カツオ」みたいな姿に変化する。
 明らかに「磯野」違いも言いところだ。
 一人だけ出る番組に間違っている。

「勝者!!」

「待ちな!!」

「ーーッ!?」

「俺のバトルフェイズは、まだ終了してないぜ!!」

 待ったをかけた俺は、自分の生存状況を磯野に報告する。
 ライフポイントは、500ポイントでギリギリ残っている状況だ。
 引き止められて振り向いたスコルが、驚きにその青い瞳を剥いている。
 後方へと吹き飛ばされた筈のパティも、左腕を抑えて足を引きずっている。
 あれ? 俺ーーそんなところ殴ったっけかな?
 そんな疑問が過ぎるが、ひとまず俺はそちらを無視する。

「俺はあの瞬間、手札からマジックカードを発動をしていた」

 そう言って種明かしを開始する俺は、手札から魔法カードをくるりと回転させてオープンする。

「て、手札からマジックカードだとッ!?」

「あ、アタシの想像を遥かに超えたデュエルタクティクスッ!!」

「あ~マジでタラちゃんぶっ飛ばして、LEDに飾りてえなぁ~」

 磯野カツオが何かやべーことを言っているが、やはりひとまずそちらは無視する。

「俺が使ったマジックカードは、変わり身のカードッ!!
 そしてこのカードは、ライフポイント3500ポイント削り、相手の攻撃を跳ね返すことが出来るカウンターマジック!!」

「カウンターマジックだと!? バカなッ!! 神にマジックカードは通用しないッ!!」

「フフッ、甘いぜスコル!! 神じゃないッ!!
 ーー俺は、俺自身にこの変わり身のカードを適用させたのさッ!!」

「ナッツ!! 自分自身にカウンターマジックを発動させただとッ!?」

「あぁ、そして、この変わり身によって被害を受けるのはッ!!」

 ビュッと指を指して、俺は一番奥の個室に目を向ける。

「ヌワァアアアアアッ!! アァァアアアアアッ!! 出るゥウウウウウッ!!」

「まったく知らねえオッサンのライフポイントが0になりやがった!!」

「ライフポイントが0ポイントになった者は、強制的にデュエルリングから降りなくてはならないぜッ!!」

 そう言って俺は、すかさず一番奥ーーすなわちこのトイレの4番目の個室へと向かい一目散に走り出す。

「オラァッ!! 大阪やぁッ!! はよ開けんかいオラァッ!!」

 バタンと開かれた扉からは、うめき声を上げつつオッサンが倒れながら出てくる。

「このデュエル、どうやら俺の勝ちのようだ」

 開かれたもう一つの空き室に颯爽と入りこもうとしたところ、その直前で磯野カツオが個室に入る。

「こらタラぁッ!! サザエが呼んでんだろうがよぉッ!!」

「はっ? お前、なにやって?」

 意味不明なことを叫びながら、4番目のトイレに入って行く磯野カツオ。

「ふざけんなぁああああッ!! 磯野ぉおおおッ!!
 なんで審判のテメエが、トイレに入ってんだぁああああッ!!」

 バンバンと俺は、目の前で閉ざされたトイレの個室を叩きまくる。
 その様子に激昂したのは、俺だけではない。
 パティとスコルも同様に目を血走らせながら、ガンガンとその個室の扉を叩いていた。
 
「野郎!! アタシたちのトイレに先に入りやがった!!」

「バッキャロー!! クソッたれがぁ!! こっちが先にクソ漏らしたら、お前どうしてくれんだ!! 責任取りやがれえ!!」

 鼻息荒く憤怒する二人の姉妹が、尚もガンガンと扉を叩いていると、

「あぁ~、たくよー。タラちゃんはよー」

 3番目の個室から、タラちゃんらしき少年を連れて歩く磯野カツオが出てくる。

「テメエはドラえもんかぁッ!! そっちから出てくるなら、無駄に一室分の鍵をかけて、出て来てんじゃねえよッ!!
 せめて使わねえなら開けとけよ!!」

「ッ!! だけど、これで空き室は、2つに戻ったわ!!」

 パティの言葉に、いち早く反応したのはスコルだった。

「お姉ちゃんお先ーっ!!」

「テメエッ!! まだデュエルは終わってねえだろうがッ!!」

 3番目の個室に入ったスコルは、勢いよく扉を閉めると鍵をかける。
 これで残された空き室は、一つ。
 取り残された俺とパティのどちらかは、必然漏らすしかないと言う状況だ。
 磯野カツオは、タラちゃんの風の少年を見つけた後、颯爽とトイレから立ち去っていく。
 取り残された俺とパティは、呆然とその場に立ち尽くす。

「こうなりゃ仕方がねえッ!! デュエル続行だッ!!」

 一つの空き室を賭けた、俺とパティの一騎打ちが始まりを告げる。

「なーんて言う訳ねえだろッ!! バーーカッ!!」

 もうこの際、デュエルなんかどうでも良い。
 俺は、4番目の個室の扉を、思いっきりぶん殴って扉を破壊する。
 磯野カツオが入ってから、3番目のトイレから出てきて、そこにスコルが入室した。
 ならば、この空き室は、空の筈!!
 扉をぶっ壊して、開いたトイレのドア。
 俺の目の前に「ハズレ」と書かれた紐付きの札が、びょーんとぶら下がって降りて来る。
 その下に視線を向けると、そこにはある筈の便器が一つもない。

「ざっけんじゃねえッ!! ここだけ便器がねえじゃねえかぁッ!!」

 磯野は一体、何しにさっきここに入ったんだ!?
 ともかくこれで残された便器は、もうあと一つしかない。
 1番目の空き室か、残る2番目の密室かだ。
 猛ダッシュして1番目の空き室に向かおうとするが、

「へへーん!! ばいばーい!!」

 そう言ってパティは、手を振りながら眉根を下げて舌を突き出し、悪い表情を浮かべる。
 やっちまった。俺が4番目のトイレをぶっ壊している隙に、パティに1番目のトイレを取られてしまった。
 4番目の個室は、破壊したがハズレの扉。
 そして3番目にスコルが入室し、1番目の個室にパティが入った。
 残る2番目は、使用中。
 残された道は、最早ただ一つしかない!!

「いいだろう……お前らの罪を数えろ!! 黄金ゴールデンボンバーッ!!」

 ーー俺は、めいっぱいの竜を吐き出した。
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