逆転機ニルヴァーシュ -朝斬りの夜明け-【バンダナコミック01】

ボス子ちゃま

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SS45話ー『第1回ゴールデン人気投票』

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 第一位ーー黄金《ゴールデン》ボンバー。

「やれやれ。初登場で1位になっちまうなんて参ったな……」

 第二位ーー黄金《ゴールデン》ボンバー。

「まぁ当然の結果ですね」

 第三位ーー黄金《ゴールデン》ボンバー。

「トイレぶっ壊しちまったぜ」

 第四位ーー黄金《ゴールデン》ボンバー。

「ちょっとここの扉、直しといて貰える?」

 第五位ーー黄金《ゴールデン》ボンバー。

「おいどうしたんだよ!? 下痢ピーかッ!?」

 ーーみんなは、どのウンコが好きだったかな?



「竜がぁあああああッ!!」

 俺はたまらず放屁をかましていた。
 猛烈に噴射されるメタンガスが、消防車のホースから出る水のように俺のケツから飛び出して行く。
 凄まじい勢いで放たれる、俺の黄金ゴールデンボンバー。
 それは、一直線に利用中の2番トイレへと向かって行く。
 放屁による突風が扉をぶち壊し、中に入っていたバアさんがショックのあまりに気絶する。
 花魁服を着ている水商売風のバアさんだ。

「わりいなバアさんッ!! こっから先は、パーティータイムだッ!!」

 俺はバアさんを個室から担ぎ込むと、洗面台に放り込むように背負投げをする。
 それから偶然にも床に落ちていた紐で、バアさんを壁に縛り付けると、俺は勢いよく2番目のトイレへと駆け込んだ。
 バタンと勢いよく扉を閉め、それから俺は肝心なことを思う。
 便器に座ってすぐのことだ。


「あー、誰かトイレの扉、貸してくんねえ?」

 自分の放屁でぶっ壊したトイレの扉が、無惨にも床に突っ伏している。
 これでは、俺がこれから用を足すところを、目の前で縛りつけたバアさんに目撃されると言う物だ。
 だが、ともかくこれで俺とパティとスコルは、3人揃ってトイレの個室を独占した形になる。
 左から3番目のトイレにスコルが、右から1番目のトイレにパティが。
 そして、その中間にある2番目の扉なしトイレに俺が居座り、4番目のトイレが便器なしのハズレ扉となっている。
 目の前で十字架に縛られたバアさんが、思いの外はやく目を覚ます。

「おい、早く貸してくれ。バアさんが起きちまった」

 便器に座ってクソをかましつつ、バアさんを見て、見られながら用を足す。
 それには、かなりの精神力が無ければ耐えられない。

「嫌ですよ。自分で壊したんだから、自分で直すのが普通でしょ?」

 2番目のトイレに入ってるスコルから、至極真っ当な意見が飛んできた。

「まぁ、それはその通りなんだけどさ。そこを何とかならねえかな? ほら、お前らはバアさんと同性じゃんよ?
 見られたって困らねえだろ?」

「困るに決まってんやろがい!! 誰が好き好んで、同性だからってクソ見せながらトイレに入りてえ!!
 それが許されるのは、俗に言う彼ピッピぐらいだろ!!」

(か、彼ピッピなら、そんなことも許されるのか……)

 恐ろしい奴、彼ピッピ。

「おいパティ、扉貸してくんね?」

「却下」

 分かってはいたことだが、まさかの一言で一蹴か。
 仕方がない、ここはバアさんを風景だと思ってやるしかない。
 それから15分ほどが過ぎて、ようやく俺の竜が収まる。
 ホルダーに手を伸ばしてトイレットペーパーを取ろうとしたところ、紙がねえことに気がついてしまう。

「あースコルさん? 悪いんだけどさ、紙貸してくれないかな?」

 心の中で憤慨しつつ、俺は紙になりそうな物をひとまず探す。
 しかし、ある訳がない。
 何故なら俺は、全裸だからだ。
 どこを探したってある訳がないのだ。そんな物は。

(紙の代わりに、服で拭うことも出来んッ!!)

「おいパティ、ちょっと紙、貸してくんねえ?」

 二人の姉妹から返事はない。
 思えばこの二人が先に入ってから、未だにトイレから出てないってのも妙な話だ。

「まさかお前らも、紙が無いんじゃ……」

 疑念をそのまま生で口にしてみると、両隣の個室からは絶叫らしき雄叫びがあがる。

「クソがぁあああああッ!! なんで紙がねえんだぁああああッ!!」

 ドンドンと壁を叩いて左隣のスコルがキレまくっている。
 右隣のパティからは「ハァーッ?」とか言う反論の声が聞こえてくる。

「か、紙ぐらいありますけど? ハァーッ?」

「なんで紙がねえんだぁ!!」

「ありますけど? ハァーッ?」

 二人の無念の言葉が、延々と続く。

「怖えよ!! あるのか、ねえのかハッキリしろよ!!」

 まぁ、どうせどっちもないんだろうけど……。

「どうやら俺たちは、3人揃ってこのトイレに閉じ込められたらしいな……」

 入るのにも難儀なトイレではあった。
 が、まさか出るのにも一苦労するとは。
 けど、

「確かお前ら服着てただろ? ちょっとそれ貸してくれよ」

 昔の人は、新聞紙でケツを拭いたと言うぐらいだならな。
 新聞紙で吹くか、服で拭くかなら、どう考えても後者のほうがケツに優しい。

「ーー嫌よッ!! 何でアタシの服で、アンタのケツを拭かなきゃいけないのよッ!!」

 言われてみれば、確かにその通りではある。
 自分の服で他人のケツを拭く状況とか、考えられない。

「お姉ちゃんに同感ですッ!!
 スコルは、絶対に自分の服は貸しませんからッ!!」

 キッパリと二人から断られる俺。
 とは言え、

「それだと二人とも紙が無いんだし、どうやって出るんだよ? この状況で?」

 うぐッと核心を突かれた二人の姉妹のか細い声が、虚しく両隣の個室からこぼれ出る。
 しばらくの沈黙が流れたので、俺は冷静に正面を見据える。
 そこには、十字架に貼り付けられている見知らぬバアさんの姿がある。
 アジサイ柄の着物を着ている、水商売風の格好のバアさんだ。
 気絶していたバアさんの意識はとうに戻り、黙って俺が用を足すところを嫌そうな顔で見守っていた。

「そう、嫌そうな顔をするなよ? 嫌なのは、お互い様だろ?
 あとバアさん、悪いんだけど、その服貸してくんねえ?」

「あんたは、追い剥ぎか何かかい!! せめてねだるなら、紙をねだりなよ!!」

 そう言ってバアさんは、めちゃくちゃド正論を吐き捨てる。

「言われてみりゃ、間違いねえ。俺としたことが、うっかりしてたわ。
 で、バアさんなんか紙持ってねえかい? ちり紙でもなんでも良いんだが」

 十字架にバアさんを貼り付けておいてなんだが、この距離ならバアさんから紙を投げて貰えれば、それで俺たち3人は救われるのだ。

「こんな年増のバアさんを放屁で気絶させ、あろうことか十字架にまで貼り付けておいて、その上あんたは紙まで求めるのかい?」

「あぁ、だから悪いバアさん。そのことなら、この通り謝るからさ」

 両手を顔の前で合わせ、ウインクも込みの謝罪だ。
 ゴソゴソと衣服の袖からキセルを取り出したバアさんは、勝手気ままに視線一つで炎をつけると、プカプカとキセルから青白い煙を燻らせ始める。

(あの袖の中なら、紙はありそうだな……)

 冷静に今置かれた状況から推測して、俺が今取るべき行動は、このバアさんを言葉巧みに脱がすことだ。

「バアさんって、女なんだよな?」

 女を脱がすなんて、とんでもない。
 それがバアさんであるなら、尚悪い。色んな意味で。

「あんたバアさんを何だと思ってんだい?」

「バアさんって言う、別次元の生き物だ」

「ハンッ、仮にそうだとしたら、あんたはその別次元の生き物に助けを請おうって訳なんだ。
 何かするべきことが、あるんじゃないかい?」

「チッ、仕方ねえ」

 バアさんを脱がすなんて苦手分野だが、ここは腹を括ってやるしかないようだ。
 名付けてバアさんデイブレイク。
 君は目の前で磔にされているバアさんを、口説き落とせるか?

(この好感度を100にする為に必要なのは、ひとまずこれだ)

 そうして俺は便器に座りつつ、バアさんに向かって「かめはめ波」のポーズを取る。
 こいつを喰らって興奮しない野郎はいない。

「ふんっ、あんたバカだねえ? あたしゃバアさんだよ? 亀仙人なんか腐るほど見飽きて来たさ」

(くそっ、中々に手強いなぁ、このバアさん)

 俺とバアさんの恋愛シミュレーションゲームが始まりを告げた。
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