五行の虎

fool

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何故だー

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「どけ、どけ、危ないぞー」

俺の名前は虎堂単語こどう拳士、訳あって今、学校中を逃げ回っている

「待てー、虎堂ー、いい加減、部活に帰ってこーい、お前が帰ってこないと我がボクシング部が出場出来ないだろーがー」

「分かってますよー、でも俺が居なくても問題無いでしょうがー」

「それはそうだがー、何としても今回の大会では優勝しなければならんのだー、優勝しなければ予算削減、最悪、廃部の危機、だからどうしても、虎堂、お前の〈力〉を借りたいんだー、お前のあの力でボクシング部を助けてくれ」

あの〈力〉か、俺はうっかり部長達の目の前で〈気行〉を使って俗に〈妖怪や妖魔〉と呼ばれる物を退治するところを見られてしまいそれ以来何日も追いかけ回されている

「だからー、あれは人に使っちゃダメなんですよー、先輩たちなら大丈夫ですってー」

「確かにそうかもしれんが、今回は、あの龍水単語たつみが出てくるらしい、アイツが出てきたら、俺達じゃあ相手にならねえ、頼む、 
 お前の力を貸してくれー」

「たーつーみー、あの野郎、何度も何度も対戦を申し込んだ時には受けなかったくせに、今回は大会に出てくるだとー、舐めやがってー、
 よーし分かった、いいっすよ、出ます、出てやりますよ、アイツの相手は任せてください、先輩達は泥船に乗ったつもりでドーンとしてて下さい」

「そこは大船だぞ」

 龍水流一単語たつみりゅういちこいつも俺と同じで〈力〉を持っている、名前の通り水を操ることが出来、減量なんかは朝飯前、試合前には体重をいくらか増やしたり、表面に水の
 膜を張ってダメージを軽減したりと、小狡い手も使ってくるが本人はオート発動だからと言って悪びれる事もない、ちなみに俺達はチームを組んでいて、玄武先輩 単語《くろたけ》と紅一点の朱鳥単語あけとりの四人で妖怪やら妖魔といった物を退治している

閑話休題、ここは私立五行学園、中高一貫校で大半の生徒は中学からの内進組によって占められているが虎堂は力を持つためある組織によって特別に入学させられた、現在高校二年生、この学園にはもう一人チームのリーダー的な存在で三年、玄武京一郎も通っている(ちなみに内進組)

玄武は虎堂のお目付け役として監視と力の使い方を学ばせる役目も兼任している普段は図書室に入り浸り、番人と呼ばれていて、性格は 穏和で まさに亀の用な佇まいを醸し出している

ボクシング部部室では、連れ戻された虎堂がウォーミングアップを始めていた

「さてと、あと一週間か、本格的に走り込みや減量を始めないとな、どうせあいつは又インチキで誤魔化すんだろうけど、今度こそは決着をつけてやる、引き分けなままじゃスッキリしねえ、どっちが上かはっきりさせてやるぜ」

場所は変わって此方は龍水の居る七宝大付属高等学校、幼稚舎から大学院まである完全、内進制の学校、高い知性と広い知識を求められるレベルの高い(周りからは少し嫌われている、らしい) 学校で部活動に関しても長い歴史を持っている

「えっ、五行の虎が出てくるって、面倒いな、
 アイツ、手数が多くてスピードも早いし、あーやりたくない」

「そう言うな、龍水、五行の虎だってお前が出てくるから出場してくるんだろ」

「そうなんですけど、先輩、アイツやたらと絡んできて、負けず嫌いなんだかかんだか知らないけど直ぐに上下を決めたがる面倒くさい奴なんですよ」

「まあまあ、そんな事言うな、お前の実力があれば優勝は我ら七宝ボクシング部の物だ、今回もよろしく頼むぞ、龍水」

話は変わって五行学園、今日も今日とて図書室に入り浸る読書亀、図書室の番人、玄武はただならぬ気配を感じ取っていた

「おや、校庭の奥の方から妖しい気配が、何か出たようですね、もう少しで読み終わるのですが仕方ない後のお楽しみに取っておきますか」

図書室を出て携帯を取り出し「虎堂君、校庭の奥、体育館脇に何か出た様です、近くにいますね、これから向かうので生徒の避難と安全の確保をお願いします」

「分かりました先輩、丁度、部室に居たんで直ぐに向かいます、練習を予て相手してやりますよ」

「無理はしないように、大会もありますから難しいと思ったら私が行くまで時間を稼いでください、最悪の場合二人を呼んでチームで対応しましょう」

「OKです、俺一人でも何とか成りそうなあいてなら、先輩はゆっくり来てください(亀なんだから)」

「何か言いましたか?」

「いえいえ、何も!!(ふー、やっぱ、鋭いかも)」

体育館脇に着いた虎堂は巨大な蝿の用な妖魔と鉢合わせていた

「ヤッバイなー、虫型か、コイツらは小回りが聞いてスピードも早い、回りの様子を見るとどうやら腐食性のガスを出すらしい、植物が腐ってやがる、うっかり触ると気で防御してても手が遺っちまう、ここは先輩に連絡して助けてもらうしかないな」

「先輩、今、敵を確認しました、相手は虫型で腐食性のガスを出しているようです、此のままだと周りに被害が拡がりそうで早く来て結界術をお願いします」

「分かりました、もうボクシング部の部室の傍です、今から詠唱を始め合流したら直ぐに結界を張ります、もう少し押さえておいてください、あと、朱鳥さんに連絡も彼女の浄化能力が     必要になるでしょう 」

「はい、直ぐに連絡します」

朱鳥緋色単語あけとりひいろは由緒正しき神社の巫女で五行学園の中等部三年、炎の力を使い対象を焼き払い辺りの浄化する事が出来る貴重な能力の持ち主、中等部ではマドンナ的な人気者(彼女も内進組)

「朱鳥、悪いんだが、高等部の体育館脇まで来てくれないか、虫型の妖魔が出た、腐食性ガスが出てて触れない、玄武先輩の結界で捕まえたあと炎で退治して欲しいんだ」

「任せてください、所で現場はどれぐらい汚染されているか解りますか、場合によっては浄化の舞いが必要かもしれません」

「多分、それ程ではないと思う、先輩が早めに気づいて、俺が来てから三分ぐらいだ、もうじき玄武先輩も到着!って今着いた、これから結界で捕える早く来てくれ」

「分かりました、今、飛んで行きます」

 そう言うと聞こえるか聞こえないぐらいの声で呪文を唱え背中に炎の翼を生やし高く飛び上がり、高等部の体育館脇へと飛翔した

現場では虎堂が風を操りガスを散らし玄武は結界術で虫型妖魔を捕獲しようと瞬間に新たな妖魔が現れ虫型を捕食されてしまう、その見た目は正にカメレオン、ギョロギョロ動く目玉に特徴的な伸びる舌、そして厄介な擬態能力

「おいおい、聞いてないですよ、先輩こんなのが居るなんて」

「すまない、どうやらこいつはあの虫に惹かれて出てきてしまったらしい気付くのが遅かったか」

丁度その場に朱鳥が到着

「あれ、虫型だったはずですよね?、いったい何があったんです?」

「その虫に惹かれて新しいのがお出ましって訳だ」

虎堂が簡単に説明する

「なるほど、そう言うことですか、でも虎堂先輩、これなら触れますよね、丁度いい練習相手じゃないですか」

「でもなー、俺、爬虫類苦手なんだよなー、なんか、 キモッ」 

「まあまあ、そんなこと言わず、ほらほら練習練習」

「しょうがない、大会も近いし一回の戦闘は十回のシミュレーションに勝るって言葉もあるし、やってみるか」

「じゃあ、私の結界はもう少し範囲を広げて邪魔者が入らないようにしましよう」

「お願いします、玄武先輩これ以上飛び入りは勘弁ですよ」
  
カーン、虎堂の頭の中でゴングが鳴った、ここから3分間は彼の独壇場だ、正に蝶の様に舞い蜂の様に的確なパンチを当てていく、大抵の人間なら耐えることも出来ずKOすることが出来るが、相手は妖魔、一筋縄ではいかない

「ふー、やっと身体が温まって来た、これから三十秒、ドーピング(風を操り、気を巡らせて)でフルボッコにしてやるぜ」

彼の正確な体内時計は、きっちり三十秒の間ラッシュをかけ三分で仕留めることが出来た

「終わったー、いやー、いいスパーになった、久しぶりに全力で戦えた、でももう少しドーピングの時間を長く出来れば、せめて一分有れば龍水にも勝てるはずなんだけどなー」

「さあさ、退いてください、ここらは私の番です、妖魔の死骸と結界内を浄化します、玄先輩、まだ結界を解かないで下さいね」

朱鳥は神事の時に使う鈴を取り出し厳かに打ち鳴らしながら浄化の舞いを舞い始めた、鈴を打ち鳴らす度に妖魔の体が分解されて行く 、しばらく舞っていると死骸も無くなり結界内もすっかり浄化され戦いの跡以外は元通り

「さあ、玄先輩、結界を解いて下さい、お疲れ様でした」

「よし分かった、結界を解くぞ」

 結界を解く玄武、するとそこにはいつもと変わらない日常が戻っていた、だが世紀末の預言通りに大魔王が降臨しそれ以来妖怪や妖魔と言ったものが暗躍するようになり〈力〉を持つものたちが集められ人知れず戦っている 

「さてと、化け物退治も終わったし、どっかで何か食べて帰りませんか、亀じゃなくて玄先輩、もちろん玄先の奢りで」

「わーい、それ賛成!、良いですよね玄先輩♥️」

 と集る虎堂とはしゃぐ朱鳥

「何故、そうなる??」

 落ち込む 玄武であった

 時間は進んで大会当日、あの後虎堂は減量に励みながらチーム1防御力の高い玄武を相手にドーピングもといブーストに磨きを掛け何とか一分持つようになっていた

「よし、ブーストの時間は延びた、後は龍水と当たるだけだ」

 大会は下馬評通り、五行対七宝になり遂に二年生同士の大将戦、虎堂対龍水まで縺れていた、周りでは密かに学生達がどちらが勝つか少額な賭けが行われ、オッズは2対1で龍水優勢、ちなみに七宝側は誰も参加せず五行側は四人中三人が五行、残る一人は七宝に賭け賭けは成立し、赤コーナーに龍水、青コーナーに虎堂がレフリーに呼び込まれついに試合が始まる

「やっとここまで来たな、一勝一敗、この間の雪辱晴らしてみせる」

「言ってろ、そこの大猫、お前の猫パンチなんて当たったところで痛くも痒くないぞ」

「俺は猫じゃねー、虎だー、お前なんかミミズじゃえか、ミミズ、大ミミズ」

「ミミズじゃない、龍だ、ミミズと一緒にするな」

「あー、又やってる全く仲が良いのか悪いのかわからない二人」

 呆れる朱鳥

「確かに」

 頭を抱える玄武達を置き去りにゴングが打ち鳴らされた

「ボックス」

 序盤から激しく打ち合う二人、端から見ていると激しい試合に見えるが、お互いに体を暖めるためのウォーミングアップでしかなく、勝負は3R、2分め虎堂はブーストを繰り出す

「よし、ここからバレないようにブースト掛けるぜ 」

 ブーストを掛けた瞬間、残しておいたスタミナを吐き出すように敏捷性が跳ね上がり、気によって攻撃力も高まってゆく

「来たな、でも、持っても三十秒、一応、膜を張って防御力を上げ念のため薄霧も纏っておこう、三十秒耐えればあいつの体力は尽きる」

 龍水が術を発動すると何故か雨が振りだす事が多く会場の外は大雨が降り始めていた

「雨、使ったな、てっ事は三十秒耐えるつもりだな、なら驚く事になる、この一分に賭ける、けど、なんか当てづらいな視界がぶれて見えるもしかして新しい術か、やってくれるよ」

「なんだ、三十秒経った筈だ、まさか、時間を伸ばしたのか、薄霧を纏ったのは正解だったようだ、あれが有れば相手の視界を奪い当てにくくさせる、だがこのままでは判定で負けかねない、何とかしないと」

「虎先ー負けるなー、龍先も負けるなー」

「朱鳥君、どっちも応援してどうするんです」

「良いじゃないですか、どっちも〈仲間〉なんですから、ね、玄先輩」

「まあ、そういうことにしておきましょう」

「残り十秒、次の一発で終わりだ、なんとか当ててみせる」

「後十秒、恐らくここで決めに来る、なら、そこに合わせてカウンターを決める、薄霧、解除!」

「なんだ、急に視界が晴れた、不味い拳が止まらない、カウンターがく」

 視界が晴れた事で一瞬、躊躇した虎堂は龍水のカウンターを食らいKO負けしてしまう

「やったー、龍水が勝ったー、でも大してつかないー」

 喜ぶ者

「負けたー、糞ー、虎堂に賭けなきゃ良かったー、今月の小遣いがー」

 嘆く者、悲喜こもごもな会場の中で玄武だけは頭を抱えていた

五行学園ロッカールーム

「くそー、あの野郎あそこで新術来るか、何だったんだあの視界がぶれる術は」

七宝大付属高 等学校ロッカールーム

「フー、あいつ、時間延ばしてきたか、確かにあれなら実戦でも役に立つ、足りない頭でよく考えたもんだ」

「強かったですね、龍先、虎先も、もう少しだったのに」

「そうですね、龍水君は相手の視界を奪う新しい術を、虎堂君は今まで持っていた術を磨きお互い成長してくれてとても嬉しいことです」

一週間後、五行学園

「そういえば、玄先輩、図書室以外で何処か行きましたか最近いろんな所で先輩を見たって話がありまして体育館のトレーニング室や食堂は良いとして一番わからないのが屋上での昼寝、という目撃談なんですけど」

「そうですね、トレーニング室、食堂は勿論ですが屋上で昼寝は〈私〉ではありません」

「やっぱり、違いますか、そうですよね、屋上で昼寝なんて(甲羅干しじゃないのか)」

「〈私〉は、屋上で甲羅干し、なんて事はしませんよ」

 さらりと言い切る玄武、慌てる虎堂

「そ、そ、そうですよね、屋上で昼寝なんて(アブねー、やっぱ鋭い)」

 そこへ朱鳥がやって来て

「あれ、玄先輩、さっき食堂でお昼食べてませんでした?、二、三分前だからまだ食堂に居る筈なのに」

「さあ、なぜでしょう」

涼しい顔の玄武 、頭の上に?を浮かべた二人を差し置いて

「じゃあ、〈私〉も食堂に向かいますか」


そう言うと食堂へ向かう玄武、ポカーンとした顔で見送る二人

「はっ、こんなことしてる場合じゃない、追っかけなきゃ、追っかけないと 」

走り出す虎堂、続いて追いかける朱鳥
 
「待ってくださいよー、虎先ー」

 五行学園食堂、ここでは今、衝撃的な出来事が起きていた 

「おや、珍しいですねこんな所で会うなんて」

「そうですね、学園で会うのは久し振りです」

 食堂に二匹の読書亀、もとい二人の玄武が存在していた、ざわめく生徒達、一人は食堂に入ろうとしもう一人は食器を片付け出て行こうとした所はちあわせしたのだ

「兄さん、一寸、道を開けてもらえますか」

 まわりの生徒達は固唾を飲んでその状況を見守っているところに、虎堂と朱鳥が到着

「なんだ?この人だかりは、何かあったのか」

「えー、なーにー、何これー、見えーないー、見えないよー」

 朱鳥の身長は156cm、跳ねてみたところで人垣が邪魔で何も見えない、この食堂は中高共用のため600人程入るスペースになっている

「すまない、今開ける」

まるで天岩戸の岩戸が開くように玄武がその巨体を動かすと他の生徒達も道を開け、中からもう一人の玄武、玄武京二郎が現れた

「えー、玄先輩がふたりー、なんでーなんでー」

驚く朱鳥

「もしかして、玄先輩双子ですか!」

同じく驚く虎堂

「おや、虎堂君、朱鳥さん、いつも兄がお世話になっています、双子の弟で京二郎です、初めまして」

それに気づき振り返る元祖読書亀

「ああ、虎堂君、朱鳥さん、話していませんでしたか、これは私の弟で、最近話題になった、屋上で昼寝をしていたと言うのは、京二郎の事でしょう」

「兄さん〈これ〉は無いでしょう〈これ〉は、仲が悪い分けじゃ無いんだから」

「そうですね、さあ早く出てくれませんか、昼休みが終わってしまいます」

 京二郎が体を少し屈めて出てくると正に巨大な壁が二枚、朱鳥の前に立ちはだかった

「やっぱり、大きい」

玄武兄弟は身長2m体重160㎏大抵の人間は萎縮しまう程の威圧感を持っている(性格は穏やかで滅多なことでは怒らない)

「朱鳥さん、ちょっとよろしいですか」

「あっ、すいません、今退きますね」

「有り難うございます、ぶつかったら大変ですから」

京二郎が出ていくと京一朗と虎堂、朱鳥達をふくめた他の生徒達も入って食堂で玄武兄弟の話で盛り上がり、暫く学園で話題となった

何日か後、食堂にて玄武と朱鳥がお茶をしている

「それにしても、先輩が双子だったなんて知りませんでしたよ」

「本当、本当、玄先輩に弟さんがいたなんて」

「話してませんでしたか、〈あれ〉は私とほぼ同じ〈力〉を持ち、出来ることもほぼ同じ言わば私の分身、うちの家系は力の都合から双子で生まれてくるのです、片方が亡くなっても力を受け継ぎ家を残すことが出来る、というわけです」

「分身って、そんな、玄先はそんな考えなんですか」

朱鳥が問いただす

「いえ、私はそんなふうには 考えていません、大切な弟です」

「良かったです、でもなんで双子なんですか」

「私の家は玄武単語げんぶの末裔なのは知っていますね、玄武は二つの頭を持つ四神、一つは亀、もう一つは尾のように見える場所それこそが蛇、つまり弟、京二郎なのです」

「なるほどー、そう言うことだったんですね、じゃあ、お二人が揃うと何か特別な事が出来るんですよね?」

「さあ、それは解りません、大昔に一度だけ使われたらしいのですが古すぎて口伝程度しか残っていませんから」

「そうなんだー、私も弟欲しかったな」

朱鳥が納得していると玄武の携帯が鳴った

「どうした」

「兄さん、とんでもないのが現れました、龍水君にも連絡をしてあるから、早く〈麒麟神社〉まで来て下さい、封印が解けた様です」

「〈麒麟神社〉?!まさか、あの封印が!」

「そうです、どうやら今年が封印が解ける年だったみたいです、朱鳥さんと虎堂君にも連絡を」

「分かりました、朱鳥さんは目の前に居るので虎堂君に連絡して直ぐに向かいます、結界を張って誰も入れないように、出来ますね?」

「勿論です、任せてください兄さん」

「任せます」

携帯を切り改めて虎堂に連絡し、食堂から飛び出していく玄武と朱鳥、〈麒麟神社〉は五行と七宝の中間にありどちらからも走れば五分程の距離、京二郎は一人で耐えていた

「くっ、もう少し、もう少し耐えれば」

「どうした、玄武の者、二千年前の様に我を封印してみろ、それとも〈あの〉封印術は使えないのか?」

身動きの出来ない玄武に妖魔が攻撃を仕掛けた瞬間

「京二郎さん、間に合いましたか」

「助かりました龍水君、もうじき兄さん達が来ます、それまでお願いします」

「分かりました、まずは薄霧で視界を奪います、どれだけ持つか分かりませんが攻撃は当たりにくくなるはずです」

「なんだ、これは、こんな術二千年前には無かった、だがこの程度ものの数ではない」

「お待たせしました、京二郎さん」

「虎堂君、朱鳥さん、兄さんは」
                                                                           
「玄先輩は霊符で更に結界を補強してから来ます、だから戦闘に参加してくださいとのことです」

「分かりました、じゃあまず皆さんに身体強化を」

三人は玄武の身体強化を受け更に自分達の力で強化し、戦いに加わった

「オラ、行くぞミミズ、遅れるな」

「五月蝿い、大猫」

「まあまあ、落ち着いて、お二人さん、仲良く、仲良く」

「ふん、四神か、あの時は封印しか出来なかった奴らに何が出来る」

「それはどうでしょう」

「兄さん」

「遅くなりましたね、京二郎、結界はもう大丈夫です、私達も参戦しますよ」

戦場は封印されていた妖魔と四神の末裔達による大乱戦となった、狛犬は壊され手水場も粉砕、社務所まで半壊してしまう

「不味いですね、このままでは神社自体を破壊しかねません、京二郎、一か八か口伝の術を使いますよ」

「分かりました兄さん、でもあの術では先延ばしにするだけになりませんか」

「大丈夫です今回は、全員居るのだから、お三人さん、これから特殊な結界で動きを止めます、朱鳥さんは結界の中に浄化の炎を、虎堂君、龍水君達は最大火力で結界の外から攻撃を、結界ごと相手を叩き潰すつもりで」

「分かりました」

三人は返事を返すと同時に自分達の持つ最大火力の準備を始めた、虎堂はブーストをかけ内念で〈気〉を膨らませ圧縮させ始め、龍水は大気中の水分を集め巨大な水球を準備し、朱鳥は真の力を使うために化粧を、彼女の力は〈魔粧〉自分の呪力を込めた化粧品でメイクし四神の力を呼び覚ます
 
「京二郎、例の結界術を、準備」

「はい、兄さん、口伝の術ですね」

「声を合わせろ、あの術は詠唱者二人が息を合わせ同時詠唱しなければ成功しない」

「どうした、手が止まっているぞ、お前達が何をしようがまた封印して先伸ばしにする事しか出来まい、二千年前のようにな」

「それは、どうかしら」

朱鳥は〈魔粧〉を終え自慢の黒髪は蒼焔に変わり、その目には神々しさが宿る、朱雀の末裔たる美しさを纏って立ち塞がった

「出た、朱鳥の本気、あれが出たらあいつの魂すら残らないな、怖い怖い」

〈気〉を練りながら虎堂は少し焦りを感じていた玄武も龍水も朱鳥でさえも四神の〈力〉を使いこなしているのにと 

「良いか、虎堂、朱鳥さんの準備が整った、玄武先輩達の詠唱が終わったら、同時攻撃だ」

「分かった、やるぞ」

龍水が声をかけ虎堂が返す

「カン」

玄武兄弟が声を合わせ詠唱の終わる間際、朱鳥が浄焔を放つ 浄焔は結界の中、妖魔 は身動きがとれない

「グオオー、何だコレはこんな術、前にはなかった、この蒼焔は何なんだー」

そこへ龍水と虎堂の渾身の一撃が左右から撃ち込まれる

「龍吼波」

「虎風印」

巨大な水球と極限まで圧縮した〈気〉を拳に乗せて結界を攻撃する、結界は妖魔を閉じ込めたまま破壊され残された妖魔の死骸も浄焔によって浄められていった

「何故だー、なぜこんなことにー」

「やっと、終わりましたね、皆さんお疲れ様で  した、京二郎もお疲れ様です」

「いえ、兄さんもお疲れ様でした」

「助かりました、玄武先輩、先輩達が居なかったら大変なことに成ってましたよ」

「そうですよ、玄先輩達のお陰で倒せました有り難う御座います」

「本当、本当、玄先輩達、頼りに成ります」
         
「そんなに誉められると照れてしまいますね」

「あの~この状況どうしましょう」

冷静になった虎堂が疑問を口にする

「そうですね、でも今日はこのまま帰りましょう、我々の力ではどうにもなりませんから、公の力を頼りましょう」

「じゃあ、じゃあ、玄先輩、ファミレスで祝勝会しましょうよ」

はしゃぐ朱鳥に釘を刺す玄武

「止めておきましょう、私たちはまだ制服のままでファミレスに行けば補導される可能性があります、それにもう疲れました帰って休みましょう」

「はーい」

「朱鳥さんは相変わらず自由ですね」

呆れる龍水

「まあ、それが朱鳥だからな」

虎堂が同意する

「結界を解きますよ外は大雨です覚悟はよろしいですね」

玄武が一つ手をたたくと結界が解かれ、雨が神社を濡らし始めた

「ひゃ、冷たーい」

「やっぱ、こうなるよな」

「すいません、朱鳥さん、大猫お前は文句を言うな」

「やれやれ、そう言えば京二郎、迎えの手配は」

「はい、もうじき来るはずです」

「もうじき迎えの車が来ます、ご自宅までお送りするのでお乗りください、言っている傍から到着したようです」

神社の前に黒塗りの高級車が四台並ぶ

「さすが、玄武家、この街一番の大地主」

虎堂は目を丸くして驚いている

「さあ、朱鳥さんから中に、バスタオルも有るのでお使いください」

「有り難う、玄先輩、じゃあ、お先でーす」

「さ、虎堂君、龍水君も遠慮なくどうぞ」

「じゃあ、お世話になります玄武先輩」

「同じくお世話になります玄先輩」

朱鳥達を乗せた次々発車していく最後に玄武兄弟が乗り家路についた

翌日、〈麒麟神社〉謎の大崩壊とニュースになり神社の修復は玄武家とクラウドファンディングで行われる事となった

翌日、五行食堂

「流石、玄武家、クラファンまで使うとは」           

「元々、神社は地域の人達がお金を出し合い建てる物です」

「なるほど、そういう物なんですね」

「でもでも、バチ当たりませんか、あんなにしちゃって」

「大丈夫でしょう多分、さあ、午後の授業が始まります、教室へ戻りましょう」

「はーい」

「じゃ、お先です」

虎堂は真っ先に席を立ち食器を返却口に運び朱鳥、玄武も続いた、食堂を出ると五分前の予鈴がなり始め、午後の授業が始まろうとしていた
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