勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜

エレン

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第一章 冒険者登録編

16話 南の森の調査

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 依頼を受けて数時間後、私達は街を出発し、森の近くまでやって来ていた。

「そろそろ森に入るわよ。良いアルテナ? 私は実戦初めてなんだから、ちゃんと守ってよ?」
「そんな怖がるんじゃないわよエレン。私が負けるなんてあり得ないんだから」
「私は自分の心配をしてるのよ」

 いくらアルテナが強くても、私に攻撃が来たらアウトだ。
 ゴブリン一匹にだって勝てない自信がある。

「あんたには立派な武器があるじゃないの」
「昨日何発か撃っただけよ? いきなり実戦は心細いわ」
「情けないわねぇ。だったらここで練習してみたら?どうせ誰もいないし」
「そうね……それじゃあ……」

 腰から魔導銃を抜き、木の枝に照準を構える。

 バァン!!

 撃った弾丸は、寸分の狂いもなく命中し、枝を貫いた。
 魔導銃はそれほど重くも無く、むしろ軽い。
 おまけに弾切れはしなく、反動も少ない。
 これ程私にとって役に立つ武器は無かった。

「やるじゃないの。これなら問題ないでしょ」
「問題は魔物を相手にした時よ。後、銃声がうるさいわね……森で使っても大丈夫かしら?」

 森で大きな音を立てれば、何かを引き寄せてしまうかもしれない。
 あと、相手が魔物なら、不意を突いてくる可能性もある。
 そうならないための対策が必要だった。
 

 「そうね、ちょっと試してみましょう」
 「何をする気?」
 「“目”と“イメージ”を応用するのよ」

 私は再び魔導銃を構えた。
 今度はイメージを追加する。
 音が出ないようにするイメージだ。
 更に私は、昨日宿屋で行ったように、魔力を目で意識する。

「……見つけた!」

 バンッ

 私は茂みに向かって引き金を引いた。
 すると、隠れていたウサギが、撃たれた衝撃で飛び出し絶命する。

「上手く行ったわね。音も殆ど出なくなったわ」
「エレン、なんでウサギがいるって分かったのよ?」
「生き物の魔力を見たのよ。空気中のマナと違って生き物は濃く見えるからわかるの。魔力に置き換えたサーモグラフィーみたいなものね」
「え? サーモンがどうしたって?」
「……探知魔法みたいな物と言えばわかる?」
「なるほど! 分かりやすいわね!」

 説明するのも面倒だ、そういう事にしておこう。
 それより、狩った獲物は無駄にしてはならない。
 私は仕留めたウサギに近づいた。

「早速役に立つとは思わなかったわ」

 私は大きめの袋から、解体用ナイフと革手袋を取り出す。
 実は街を出る少し前、雑貨屋に寄り、『新人冒険者セット』というのを購入したのだ。
 ナイフと手袋だけでなく携帯食料、水筒、ロープ、ポーションなどが入っており、即決した。
 ポーションは安物みたいだが、それでも軽い傷なら回復するらしい。
 
 私は、昔ネットで見た知識をもとに解体を始めた。
 まず、首にナイフを当て血抜きをする。
 その後、内臓を取り出し皮を剥ぎ、最後は部位ごとに分けて行く。
 水筒の水で洗浄することも忘れない。
 これもスキルの力だろう。
 初めての作業だったが、信じられないほどスムーズに進み、すぐに解体作業は終わった。

「こんなものね」
「エレン、本当に普通の女子高生なの?」
「スキルのおかげに決まってるでしょう?」
「いや、そっちじゃなくてね……」
「そろそろ行きましょう? それとも帰る? 私は一向に構わないけど」
「帰るわけないでしょう! よし行くわよ!」

 そのまま私達は森に入った。
 アルテナが前を歩き、私は後ろで周りを警戒しながら進む。
 一時間ほど歩いただろうか? 
 アルテナが暇になったのか、声を掛けてくる。

「何も出てこないわね。エレン、探知魔法で場所が分かったりしないの?」
「レーダーじゃないんだから、そんなはっきりわからないわよ。ていうか魔法じゃないわよこれ」
「良いじゃないの、そっちの方がわかりやすいじゃない」
「まああなたが良いなら良いけど……」

 そもそも魔法の定義がよくわからない。
 ここは単純思考でいいだろう。
 言い方も見えるじゃなくて反応にしておこう。

「反応が無いからって油断するんじゃないわよ……え?」
「どうしたの?」
「アルテナ、気をつけて。何かが近づいてくるわ」

 前方から近づいてくる魔力が見える。
 形からして一つは人間、他に自分より二回り小さいものが複数。
 先日の経験から、ゴブリンかもしれないと私は思った。
 
「うわーー!! 助けてくれーー!!」

 悲鳴を上げながら、若い冒険者の男が姿を現す。
 どうやらゴブリンから逃げて来たようだ。
 向こうがこちら側に気づく。

「お前達冒険者か!? へへ、助かった! ここは任せたぜ!」

 そう言って、冒険者の男は走り去って行く。
 そして逃げて来た方面からゴブリンが五匹、いや六匹現れた。

 「どうやらなすりつけられたようね」
 「ふ、問題ないわ。一瞬で消してあげる!」

 アルテナがデスサイズを出現させ、更に片目を隠すポーズを取る。

「眼前の敵よ、我が力の前に無力と化せ。『麻痺の邪眼パラライズゲイザー!』」

『『『ギィ!?』』』

 アルテナの目が黄色く光るとゴブリン達の動きが止まる。
 おそらく『邪眼』のスキルだろう。
 更にアルテナの攻撃は続く。

「邪悪なる者よ、己の罪に貫かれ堕ちるがいい。『シャドウ・ジャベリン!』」

 動きが止まったゴブリン達の足元から黒い槍が出現し貫いて行く。
 アルテナの言った通りゴブリン”五匹“はあっけなく倒された。

「ふ、たわいもないわね」
「ええ、でも詰めが甘いわよ」

 バンッ

『ギヤァ!』

 私は、隠れて戦闘に参加せず逃げようとしていたゴブリンを撃ち抜く。

「え、もう一匹いたの!?」
「多分伝令役だったんだと思うわ。仲間に知らせるためのね」
「ゴブリンの癖に頭が回るわねぇ。ま、それでもあたしには敵わないけどね」

 アルテナはドヤ顔で前を歩いて行く。

 ずぼっ

「え、わーーーーーーー!?」

 アルテナの足元が崩れ落ちて行く。
 どうやらゴブリンが仕掛けた落とし穴のようだ。

「爪が甘いだけじゃなく、締まらないわね……。大丈夫アルテナ?」

 穴を覗き込むと、底には棘があり、アルテナは刺さる一歩手前で、両手両足を使い踏ん張っていた。

「大丈夫に見える……? 早く助けなさい……」
「分かったわ、ちょっと待ってなさい」

 穴はの深さは軽く三メートルはある。
 私は持っていたロープを下ろそうとするが、ここで一つ問題がある事に気づく。
 (私一人でアルテナを引っ張り上げるのは無理よね……。木に結ぶ? でも解けないほどキツく結ぶ自信もないし……どうしよう?)

 私は少し考えた後、アイデアを思いつき、ロープをしまう。

「ねぇ……まだなの?」
「アルテナ、ごめんなさい。私じゃあなたを助けるのは無理だわ」
「何ですって!?」
「だから……」

 私はアルテナに銃口を向ける。

「え、ちょっと!? 何する気!?」
「せめて……私の手で殺してあげるわ」
「は!? いや、流石に冗談よね? そうよねエレ……」

 バンッ

 弾丸がアルテナの頬を掠める。

「ギャ、ギャァァァァァァ!!!!」

 私が本気だと確信すると、アルテナは壁を蹴り上げ、必死でもがく様に穴を登ってくる。
 そして、遂にアルテナは穴から脱出した。

「ハァ、ハァ、ハァ……」
「脱出成功ね」
「脱出成功ね、じゃないわよ! あんた私を殺す気だったでしょ!?」
「作戦よ作戦。死ぬ気になれば大抵何とかなるものよ。名付けて“火事場の馬鹿力”作戦ね」
「そんなので納得すると思うわけ……!?」
「アルテナがここで終わるわけがない、絶対登ってきてくれるって信じてたから……でも私の独りよがりだったみたいね。ごめんなさい」
「そ、そういう事なら……私を信じてたのならしょうがないわね!」
「ありがとう、アルテナ」

 相変わらずチョロい物である。
 こうして、無事ゴブリンの襲撃を撃退した私達は、引き続き森の中を進むのだった。
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