勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜

エレン

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三章 ダンジョンの町ヴェイン編

38話 異世界らしくない旅立ち

 今日はダンジョンへ出立する日。
 早朝に私はベットから起き上がると寝巻きを着替え、髪をいつものポニーテールに纏め冒険者用の装備に着替える。
 上は丈夫で軽い皮の鎧、その上から前開きの服を着て、下は動きやすい短パンで色は緑で統一。
 魔導銃が入ったホルスターを腰に付け準備完了だ。

「さて、行くとしましょうか」

 私はまずリビングに行って昨日用意して置いた軽食を食べる。アルテナの分は既に無くなっており、おそらく既に食べ終えたのだろう。探知魔法で探すと家の外にいたの見つけた。
 
「おはよう、遅かったじゃない」

 玄関から出るとアルテナを見つける。
服装はいつもの白いシャツと赤いスカート、そして上から黒いローブを羽織っている。
 マテツさんに作ってもらった双剣を腰につけ、腕を組み、家に寄りかかる感じで立っていた。
 無駄に格好つけて待っていた様だ。

「遅かったってあなたが勝手に待ってただけでしょう? どれだけ楽しみにしてたのよ?」
「そんな事より準備は出来たわねエレン? 忘れ物は無い? 一度出発したら戻って来られないわよ」
「あなたこそ荷物はちゃんと持ったんでしょうね?」
「ほら、これでしょ」

 アルテナはそばに置いてあった大きな袋を背負うように持つ。
 この袋は、今回の旅のため購入した比較的安価のアイテム袋だ。
 安物とは言え見た目の倍は入る性能をしており、中には食料や、その他旅に必要な物が入っている。

「じゃあ荷物は任せたからね」
「あんたは重くて持てないからしょうがないわね。それじゃあ出発よ!」
「はいはい」

 私は最後に振り返って家を見ると、アルテナと共に出発した。因みに今回は自転車じゃなく歩きである。街の北門から出発するのだが、家から割と近い場所にある事と、アルテナに雰囲気が壊れるからと言われ、使わない事になったのだ。
 全く観光に行くんじゃないんだから……いや、こいつはそんな気分なのだろう。呑気な物である。
 歩き出して十数分後、北門についた私達はこれからの事について話す。

「エレン、ダンジョンへは乗合馬車に乗って行くのよね? どの馬車に乗るの?」

 旅の計画はアルテナに任せると不安しかないので全て私が考えてある。
 北門には他の街へ行くための乗合馬車が複数停まっていて、通常ここでヴェイン行きの乗合馬車に乗り、途中宿場町を経由しながら半月の旅路となっている。
 だが私は少し違う計画をアルテナに内緒で立てていた。

「乗合馬車になんて乗らないわよ」
「え?」

 アルテナがキョトンとした顔で私を見る。

「安心しなさい、ちゃんと“代わり”を用意してるから」
「代わり?」
「ええ、とりあえずついて来て。場所まで案内するから」

 アルテナにそう言うと、私は北門を通過して街の外に出る。その後街道から外れ、人目がつかないところまで移動した。

「ちょっと、こんな所に来てどうするのよ?」
「どうするって、これから代わりを“作る”のよ。これなら馬車代もかからないしいい案でしょ?」
「なるほど、魔法で馬車を作るってわけね。ん? まさかまたあたしのゴーレムを作って引っ張らせるんじゃないでしょうね?」
「それが良いならそうするけど?」
「ダメに決まってるでしょう!」
「冗談よ。後勘違いしてる様だけど、私が作るのは馬車じゃないわよ」
「え?」
「まあ見てなさい、『創造クリエイト』」

 私は魔法でゴーレムを作り始める。それが形作られて行くとともに、アルテナの顔色が悪くなっていく。まあそうだろう、私が作ったのは……。

「よし、完成よ」
「こ、これって……“自動車”!?」
「違うわ、“魔動車”よ」

 そう、私が作ったのは自動車……いや、魔法で動かす“魔動車”である。荒地でも進めるよう車高を高くした、灰色のオフロード車だ。
 因みに四人乗り、ちゃんと後ろにトランクのスペースもついている。

「じゃあ乗りましょうか。あ、荷物は後ろの席に置いといてね」
「ええわか……ってちょっと待ちなさい! あんた、なんで車なんて作るのよ!?」
「馬車よりもずっと速くて快適じゃないの。何か問題でも?」
「大有りよ! せっかく異世界の旅って雰囲気出てたのに台無しじゃないの!」

 アルテナが文句を言ってくる。まあこうなる事は分かっていた。
 だからこそアルテナに秘密で、夜に練習していたのだ。

「そもそも私が計画を立てた時点で少しは疑いなさいよ。因みにヴェイン行きの馬車、調べたけど今日はないわよ。」
「謀ったわねあんた! せめて異世界らしい物作りなさいよ!」
「これガソリンじゃなくて魔法で動くのよ? 十分異世界らしいじゃない」
「いや、そうだけど……あんたにロマンは無いわけ?」
「無い」
「キッパリ言うなぁ!」
「ウダウダ言ってないで、さっさと乗りなさい」

 私はアルテナを放って置いてさっさと運転席に乗り込む。アルテナも観念したのか助手席の方に乗り込んだ。

「因みにこれどうやって動かすの? エンジンでも付いてんの?」
「そんなわけないでしょ。車っていうのはね、タイヤが動けばいいのよ」

 私はハンドルを握り、タイヤに魔力を流し始めた。
 するとタイヤは徐々に回転し始め、車が動き出す。

「ちゃんとハンドルは付いてるのね」
「ええ、実際は私の意思で動かしてるから要らないんだけど、こっちの方が気分出るでしょ?」
「あんた、あたしの気分をぶち壊しといてよくそんなこと言えるわね?」
「それよりも、今からスピード出すから気を付けなさい」
「え? うわ!?」

 私はタイヤに流す魔力を増やしスピードを上げる。まあ上げたと言っても速度的には時速30kmと言ったところだ。意思で動かしてるとはいえ、車の運転は初めてだし、整備された道では無いのでそんなに速度を上げる事はできない。ただ、それでも乗合馬車に比べればずっと速いスピードであった。

「このまま街道に沿って北に進むわよ。アルテナ、地図をちゃんと見といてね」
「ええ、分かったけど……あたしが思ってた旅となんか違う……空飛ぶ魔法の絨毯とか出来なかったの?」
「私をランプの魔人か何かと勘違いしてない? そんなの無理よ。欲しかったらマテツさんに作ってもらいなさい。いや、武器専門だったわね……」
「仮に出来たとしても欠陥親父のなんてゴメンだから! はぁ……もういいや……」

 アルテナが遠い目をし始めた。どうやら色々諦めたらしい。
 こうして異世界初の旅が始まった。
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