Your Voice 〜君の声に僕は恋をした〜

Matcha

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第一章 「君と僕」

Your Voice #1

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「君の声を、僕はずっと君の一番傍(特等席)で聴いていたい」
僕が誰かに、こうやって願ったのなんていつぶりだろう——。

——これは、ある一人の少女の「声」に恋をした僕の物語だ。

いつも通り朝ご飯を済ませ、登校の準備をし、玄関のドアを開ける。

僕は桜田颯人さくらだはやと。普通の高校二年生だ。

今日は静かに登校できる、なんておもっていると…。

「おっはよー!颯人!」

物凄い勢いで彼は僕のもとへやってくる。

「いつもいつも、朝から騒がしいぞ。叶斗。」

僕はやれやれとため息をつく。

こいつは同じクラスメイトの|岩野叶斗いわのかなと。僕の幼馴染でもある。

「ため息つくのはひどいだろー、てか颯人もおはよう言えよ~」

「はいはい。おはよう、叶斗。」

「なんかめんどくさそうに言うなぁ。」

そう、叶斗は不満そうにして言う。

「だってめんどくさいんだもん。」

「おい!笑」

「ははっ、冗談だって笑」

こんな風に僕の朝は騒がしく過ぎていく。

そして学校へ着き、教室に入り、普段と変わらず眠たくなるような授業を受け、時間は過ぎていった。

いつも通り、叶斗と昼ご飯を買いに行こうとしていると、教室で一人の女子を見かけた。

(また一人ぼっちなのか…、「小森」…。)

隅っこの席で一人寂しく昼食をとる、同じクラスメイトの女子、「小森奏花こもりそうか」の姿が見えた。

僕は少し心配しつつも、叶斗に急かされ、コンビニへ向かった…。

そして時は過ぎ、放課後の委員会の仕事が終わり、家に帰ろうとしたその時。

「あれ、宿題の問題集ないな…、教室に忘れたのかな…?」

疲れたので一刻も早く家に帰りたいが、宿題はやらないと後々めんどくさいので、渋々僕は教室に向かう。

すると。

教室の方から、美声が聴こえてきた。

伸びがあり、透き通った…まさに美しい声色だった。

(誰かいるのか…?)

僕はその美声に誘われるかの如く、恐る恐る教室の扉を開けた。するとそこには、

藍色のフードが付いた上着を制服の上から着ているとある1人の少女がいた。

「小森…!?」

僕はあまりの衝撃に声に出してしまった。

そうその少女の正体は、いつもならあまり人と関わらず、声もあまり出さない小森の姿であった。

「え?誰!?」

小森は急に聴こえてきた僕の声に怯えている。

「ご、ごめん!声が綺麗でつい、盗み聴きしてしまってたんだ…。」

僕は早急に謝罪した。しかし、盗み聴きは流石にキモすぎるだろう。謝罪したところで許してくれるはずがない、そう思っていると、

「あ、ありがと…。」

小森は少し恥ずかしそうに言った。

「う、うん…。」

まさか感謝の言葉が返ってくるとは思わず、僕は肯定することしかできなかった。

良かった…。このまま平和に話を済ませられる、そう思いかけたが。

「んまぁ、盗み聴きしてたことには変わりないけど。」

悪魔のようにニヤけながら小森は言う。

やっぱり許されてなかったー!!と僕は少しでも安心した自分を叱った。

「ゆ、許してくれ!  「何でもするから!」  あっ…。」

勢いでとんでもないことを言ってしまった。

「なんでもかぁ~。じゃあ…、」

颯人は恐怖した。明日から学校に行けなくなるような屈辱を喰らってしまうのでは、と。

しかし、小森の言葉は予想だにしない言葉だった。

「このこと、他の人には話さないで。それが私からのお願い。」

「恥ずかしいのか?」

僕は無意識にそう口にした。

「んまぁそんなところ。とりあえず、ここに何か取りに来たんでしょ。」

「そ、そうだった!宿題忘れちゃってさ~、はははー。」

少しずつ気まずくなっていく2人だけの空気に耐えきれず、僕が教室を出ようとしたその時。

「ま、待って!」

焦りながら小森はそう言ってきた。

「私の歌声で、君は「幸せな気持ち」になれた…?」

心配そうな目で小森は僕を見つめてくる。

「少なくとも、僕は心が温かくなったよ。」

そう僕が言うと、

「それならよかった。」

その日で一番の笑顔を零した、小森であった。
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