Your Voice 〜君の声に僕は恋をした〜

Matcha

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第一章 「君と僕」

Your Voice #2 「君の表と裏」

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僕はあの後、校門で小森に手を振りながら別れを告げ、帰路についた。

(それにしても、小森の声ってあんな綺麗だったんだな…。)

無意識に歌声のもとへ身体が動いてしまった。あんな感覚は初めてだ。

僕はその日、夜眠るまでずっと頭の中で小森の歌声をリピートしていた…。

次の日も、僕は小森の歌声ばかり考えていた。

「颯人、聞いてるか?」

叶斗が心配そうな顔をして僕に問う。

「あ、あぁ。ごめん何の話だっけ?」

「聞いてないじゃん!もういいや。」

叶斗は諦めた顔をしてそう言った。そして続けて、

「何かあったのか?颯人。」

叶斗はそう僕に訊いた。

僕は悩む。

(どうする、叶斗になら言っても…)

悩んだ末、僕は…

「何もないよ、大丈夫。」

僕は小森との約束を優先した。

そうしてなんとかピンチを切り抜けた僕は学校の校門まで歩みを進めた。

そして校門を通ろうとした時、

「あっ」「えっ?」

出会ってしまった。小森と。

「お、おはよう。」

とりあえず、挨拶だけはしておこうと思い、僕はそう話す。だが、

「は、話しかけないで!」

小森はその一言だけ僕に言い放って、教室へ逃げて行った。

(いやなんかしたか!?僕!?)

そのままもやもやを抱え、僕も教室へ向かった…。

授業中。

(どうしよ…!なんで怒ってるんだ小森は…!?わかんないけど…とりあえずあれをするか…!)

僕は決意を固めた。

そして昼休み…僕は席に座っている小森のもとへ向かい…、

「あのさ…、」

「…なに。」

小森はまだ怒っているようだ。

「さっきは急に話しかけてごめん。あとさ、何で怒ってるか教えてほしい。」

そう、謝罪である。

すると…

「…別にあんたが謝る必要はないけど、「他のクラスメイトが居る時」には話しかけないで。」

小森は僕にしか聞こえないような囁き(ささやき)声で少し恥ずかしそうに言った。

「わ、わかった。」

僕は小森にそれだけ言って、その場を去った。

小森がささやいた時、僕は何故かそんな小森の姿が「可愛く」見えた。

この日、それ以降小森と学校で話すことはなかった。



僕は家に帰り、自分の部屋に入ってほっとすると、ふと、小森が昼休みの時、僕に対して言った言葉を思い出す。

(なんで「他のクラスメイトが居る時」は話しかけたらダメなんだろう…?恥ずかしいから?本当にそれだけか…?)

僕は気になり、小森に聞いてみることにした。

「さて、「どう聞くか」だな。」

そう、訊くタイミングがわからないのである。

僕は悩んだ末、一つの答えを見つけた。それは…、



次の日の「放課後」…。

僕は初めて歌っていた小森と出会った、あの時間に教室へ向かった。

すると、

「やっぱり、このタイミングよな。」

もう、この伸びがあり、透明感のある歌声は彼女にしか歌い表せないだろう。そう、僕は確信できた。

だが、教室の扉を開ける寸前のことだった。

「嫌っ、やめて!」

彼女の綺麗な歌声が一瞬にして、怯えた声に変わった。

「あんたの声、もう聞きたくないんだよ!人と話すことも上手く「出来なくなった」くせに!」

(「出来なくなった」…ってどういうことだ…?昔はそうじゃなかったってことか…?)

僕は頭の中で考えていた。だが、そんな時のことだった…、

「ダメ…!それは…!」

小森が今にも泣きそうな震えた声で叫ぶ。

「こんな楽譜、破れてしまえばいい——」

思考するよりも先に、僕の身体は無意識に動き出していた。

「やめろ!」

この言葉と共に僕は勢いよく教室の扉を開ける。

「は?誰?」

小森に嫌がらせをしていた見知らぬ女子は僕を見て怪訝そうな顔を浮かべる。

また、

「え、桜田くん!?」

と、小森はまさかと驚いている。

「関係ないなら出て行って——」

見知らぬ女子の最後の文字を待たずして僕は言う。

(頼む小森…、どうか勘違いしないでくれ…!)

「関係ある。だって僕は小森の「彼氏」だからな。彼女に嫌がらせしないでもらっていいか?」

言ってしまった。でも「小森のため」なら…。って考えたら自然と怖さが消えたんだ。

「は、はあ?だからって私があいつに嫌がらせした証拠なんてないでしょ!」

「ある。だってこの「スマホ」に全て映ってるからな。」

「ちっ。」

見知らぬ女子は返す言葉が見つからなくなったのか、そそくさと逃げていった。

「…。」「…。」

(いや気まずっ!んまぁそりゃ急に彼氏ヅラされたら怖いしキモいよな!?うわぁどーしよ…!?)

「あ、あのさ…、」

「は、はい!」

やばい僕殺される!!と小森の訝しんだ顔を見て焦る。でもそれは僕の考えすぎだった。

なぜなら、小森が口にした言葉は「意外」だったからだ。

「なんで、助けてくれたの?」

「なんでって…、」

「私、君に朝から冷たく接してたし、嫌な思いさせちゃってたはずなのに…、なんで…?」

僕の心の中の答えは一つだった。

「君の…苦しんでる「声」を聴いてたら、無意識に身体が動き出してたんだ。「君を守りたい」って思ったんだ。」

ん?僕、最後の一言エグいこと言っていないか!?と焦燥する。

「何それw告白?」

小森は笑いながら僕をからかってくる。

「いや、さっきのは…その…」

僕は答えが見つからず黙り込んでしまう。

「んまぁ、でも——」

そう言うと、小森は僕のもとへ近づいてきて、僕の耳元でささやくようにこう呟いた。

その言葉を聴いて、僕は確信した。

「——ありがとう、「颯人」くん」

君の「声」が好きだと。
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