未熟な最強者の逆転ゲーム

tarakomax

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笑うは勝者のみ

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食堂の熱気はどんどん高まっていて、みんなが3回戦の開始を待っている。

村人たちは各テーブルでワイワイ盛り上がり、視線は今まさに始まろうとしている試合に釘付けだった。

僕はというと、目の前に座るミアの様子を窺っていた。

彼女は2回戦で負けたばかりだけど、なぜか胸を張っている。

負けたことなんて気にしてない、みたいな雰囲気を出そうとしてるけど、正直、表情はちょっと曇っていた。

「わたくしが負けるなんて……信じられませんわ。」

ポツリと漏らした声には、悔しさがにじんでいる。そりゃそうだよな。

ミアは負けず嫌いそうだし、プライドも高い。

「相手が強かったみたいだけど、よく頑張ったと思うよ。」

僕がそう声をかけると、ミアは少し顔を上げた。

でも、まだ完全には気持ちの整理がついてないみたいだ。

「わたくしにはやっぱり……」

(さっきまで笑顔だったのに、落ち込むの早すぎじゃないか?ほんと感情のアップダウン激しいよなあ。)

「まあ、負けても次があるよ。また村においでよ。今度は勝てばいいんだからさ。」

僕がそう励ますと、ミアは一瞬驚いたように僕を見つめ、それから勢いよく答えた。

「え…ええ!次は絶対に負けませんわよ!あなたに言われなくとも、来て差し上げますわ!」

(切り替え早っ……まあ、ミアらしいか。)

そんなやり取りをしていると、遠くからカトリーヌの大声が響いた。

「おい、アーサー!アタシの勇姿は見てくれてたか?2回戦も余裕だったぞ!」

「ああ、ごめん。見てなかったよ。」

僕がさらっと答えると、カトリーヌはテーブルをバンッと叩いて吠えた。

「ふざけんな!弟子が師匠の後ろ姿見ねえでどうすんだ!お前は弟子を名乗るんじゃない!」

「いや、別に名乗ったことないから。それより、ミアが負けちゃったんだよ。こっちはそれどころじゃなかったんだ。」

僕がそう返すと、カトリーヌは一瞬驚いたような顔をした後、大声で笑った。

「そんなこととはなんだ!嬢ちゃん負けちまったのかあ?アタシに勝てるとか言ってたのは何だったんだろうなあ?」

(また人を煽って楽しんでるよ、この人は……。)

「やかましいですわね!あなたなんて声がでかいだけの無神経な女じゃないですか。少しは慎ましい姿をお見せになさってはどうですの!」

ミアがピシャリと言い返す。

カトリーヌは肩を揺らして笑いながら、堂々と胸を張った。

「言うねえ。嬢ちゃんにはわかんねえかもなあ。見よ!この美しいボディを!慎ましさなんてなくても、男はこれでイチコロなんだよ。」

「イチコロでも男なんていないけどね。」

僕がぼそっと言うと、カトリーヌはバシッと僕の腕を抓った。

「いって!抓らないでよ。」

「次の試合始まりまーす! テーブルに来てくださーい!」

リリーの明るい声が響く。

カトリーヌは勢いよく立ち上がり、笑いながら言った。

「ほら、始まりますわよ。遊んでないで早く行きなさいな」

「あん? もう始まんのかよ。次は見とけよ、アーサー!」

「はいはい。」

カトリーヌが去ると、ミアが小さくため息をついた。

「あなたもあの方も、おかしな人ですわね。」

僕はちらりとミアを見て、肩をすくめる。

「君も変わんないと思うけどね。」

ミアは少し顔を赤らめながら、すかさず反論した。

「わたくしは怒りませんわよ。ええ、もう怒りません。あなたに乗せられてたまりますか。」

「ふーん、そう。怒っても疲れるだけだからね。まあ、気づくの遅いけど。」

「あなたは一言余計なんですわよ! 考えてからお喋りなさい!」

僕は笑いながら軽く返す。

「ミアは喋る前に深呼吸したほうがいいかもね。」

すると、隣で話を聞いていたライラが微笑みながら声を挟んだ。

「まあまあ、お二人とも。試合が始まるみたいなので、応援いたしましょうか。」

「そうだね。ミアの相手してても疲れるだけだから、そうしようか。」

ミアは顔を赤くしながら鼻を鳴らした。

「なっ、こっちのセリフですわ。ふんっ!」

そのとき、リリーの声が再び響いた。

「それでは、三回戦始めちゃいまーす! 試合開始です!」

会場全体が静まりかえり、やがてカードを引く音や応援の声が広がる。

三回戦が動き出した。

***

試合が終わると、カトリーヌはまたも勝利を手にしていた。

観客から拍手が巻き起こる中、彼女は真ん中で自信満々に笑っている。

「おめでとう、カトリーヌ。またあっさり勝っちゃったね。」

僕が声をかけると、カトリーヌは余裕たっぷりに笑った。

「簡単すぎんだろ。骨があるやつが全くいねえよ。なんだ、みんなババ抜きのルールわかってんのか?」

周囲の村人たちは苦笑しつつも、どこか楽しそうだ。

ライラもにっこり微笑んで、頭を下げた。

「おめでとうございます、カトリーヌさん。さすがです」

一方、ミアは腕を組んで少し拗ねたような表情を浮かべる。

「なかなかやるみたいですわね。いいですこと、このままわたくしのために勝ち続けなさい」

「おっ、おう。嬢ちゃんのためかどうかは置いといて、アーサーとライラのためにも優勝してやるよ!」

カトリーヌは照れくさそうに言いながら立ち上がる。

「お前ら、アタシの勝利を見逃すんじゃねえぞ!」

腕をぶんと振って、次の試合へと向かっていった。

***

準決勝が終わり、カトリーヌは勝ち進んだ。

拍手の中、肩を揺らして笑いながらこちらに戻ってくる。

そして、いよいよ最後の決勝戦が始まろうとしていた。

「よし! 次は決勝戦だな! こりゃもう優勝したようなもんだろ! 鍵ももらって、さっさと酒飲むぞー!」

気合十分に笑うカトリーヌに、僕は苦笑いしながら返した。

「まだ、お酒飲むの? まあ、優勝したら乾杯しよっか」

すると、ミアが軽くため息をつきながら言う。

「勝利した暁には、わたくしが特別に褒めて差し上げますわ。さあ、勝ってきなさい。」

「カトリーヌ様、どうぞご健闘を。」

ライラも元気に送り出す。

「優勝したら最高の酒を用意しとけよ、伯爵令嬢様!」

カトリーヌがふざけた調子で言うと、ミアは少し眉をしかめながら答えた。

「わたくしが用意するんですの? はぁ、仕方ないですわね。お父様に頼んでおいてあげますわよ。」

すんなり断るかと思ったけど、案外優しいじゃん。

……ああ、そうか。そういえば知り合いってこともあるのか。

「決勝戦が始まりますよー! 選手の方はテーブルにお集まりくださーい!」

リリーの明るい声が会場に響き渡る。

「おっ、来たな! 待ってました!」

カトリーヌは嬉々とした様子で席を立ち、腕を大きく振りながらテーブルへと向かっていく。

「それじゃ、頑張ってね。期待してるよ」

僕が声をかけると、カトリーヌは振り返り、ウィンクをしながらニヤリと笑った。

「当然だろ。アタシが負けるわけねえっての!」

カトリーヌが席につくと、場の空気が一変した。

さっきまでの賑やかさは消え、観客の視線が一斉に彼女へと集まる。

ピリッとした緊張感が会場を包み込み、みんなが固唾を飲んで試合の開始を待っていた。

(ババ抜きってただの遊びのはずだけど……ここまでの緊張感、なんだかすごいな)

僕は思わず息をのむ。

カトリーヌも、いつもの豪快な笑みを残したまま、真剣な目つきでカードを構えていた。

試合が始まると、場内の熱気はさらに高まった。

カードを引く音、わずかな衣擦れの音、観客の小声が入り混じり、独特の雰囲気を作り出している。

誰もが目を凝らし、息を潜めてゲームの行方を見守っていた。

そして――。

「ほら見ろ! これでどうだ!」

カトリーヌが手に持ったカードをテーブルに叩きつけるように置き、勝ち誇った声を上げた。

「よっしゃ! これでアタシの勝ちだ!」

一瞬、場内が静まり返る。

次の瞬間、歓声が爆発した。

「おめでとうございます! カトリーヌ選手が優勝です!」

リリーの高らかな声が響き渡ると、会場は拍手と歓声に包まれた。

「おおーっ! さすがカトリーヌだ!」
「強すぎる! まさに女王の風格!」

カトリーヌは両手を腰に当ててふんぞり返る。

けれど、少し照れたように頬をかきながら笑った。

「えっ、あれ? アタシなんかやっちゃったかな? ハハ……」

(うん、まあこうなるよね。)

僕は微妙な気持ちでカトリーヌの勝利を見届ける。

もちろん彼女の実力は確かだし、盛り上がるのもわかる。だけど――

(最初に上がれば勝ちっていうルールだと、決勝戦の盛り上がりに欠けるな……ルール見直したほうがいいかも。)

そんなことを考えながら、カトリーヌの満足げな笑顔を横目で見た。

リリーが壇上に上がり、手には優勝賞品らしきものがあった。

「それでは優勝賞品の贈呈です! こちらは、私が骨董品屋で見つけた古い鍵! だけど、どこを開けるのかは誰も知らない! そのロマンのためだけに買った鍵です!」

「おー、理由はよくわかんねえが、ありがたく頂戴するぜ!」

カトリーヌは鍵を受け取り、豪快に笑う。

「それではみなさん、優勝者のカトリーヌさんに盛大な拍手をお願いします!」

一瞬の静寂の後、観客たちが歓声を上げた。

食堂全体が熱気に包まれ、勝者を称える拍手が鳴り響く。

(よーやく終わったか……参加してないのに、なんか疲れちゃったな。)

僕は椅子にもたれかかりながら、余韻に浸る会場のざわめきを聞いていた。

「さて、もう帰ろうかな。眠くなってきたし。」

立ち上がると、隣のミアがゆっくりと髪を整えながら同意する。

「そうですわね。眠くはありませんが、目的は果たしましたし、カトリーヌさんとの約束もありますから、そろそろお暇いたしましょう。」

「では、馬車の準備を整えますので、少々お待ちくださいませ。」

ライラが軽く会釈して、食堂の外へと向かっていった。

「なんだ? アーサー、もう帰んのか?」

カトリーヌが少し不満げに振り返る。

「アタシが優勝したのに、もう帰るなんてそりゃねえだろ! もっと褒めてくれよ、それからアタシの武勇伝も聞け!」

僕は苦笑しながら軽く手を振る。

「すごかったよ、カトリーヌ! 師匠が優勝するなんて、僕、感動して涙が溢れちゃったよ!」

わざとオーバーに言ってみせると、カトリーヌは照れくさそうに笑った。

「えへへ……そうだろ? ……ん? それにしちゃ、涙の跡なんてなさそうだが?」

(さすがに鋭いな……気づくの早すぎでしょ。)

ちょうどその時、外から馬車の音が聞こえてきた。

(ナイスタイミング、さすがライラ。)

「馬車が来たみたいだね。さあ、行こうミア。」

僕が荷物を手早くまとめると、ミアがわずかに眉をひそめる。

「勝手に決めないでくださいな。わたくしまで巻き込む気ですの?」

「何言ってんの。早くしないと馬車に乗り遅れちゃうよ。」

「はぁ……分かりましたわ。行きますから、急かさないでくださいまし。」

渋々といった様子で立ち上がるミア。

すると、カトリーヌが大きく腕を振りながら声を上げた。

「アーサーが何をそんなに焦ってんのか分かんねえが……嬢ちゃん、頼んだぞ! アタシはもうちょっと村人と飲んでから帰る!」

ミアが振り返り、肩越しに答える。

「カトリーヌさんも早く帰ってきてくださいまし。お酒は頼んでおきますから」

カトリーヌは「おう!」と威勢よく返事をして、村人たちの元へ戻っていった。

食堂を出ようとしたその時、外からの騒がしい声が耳に入ってきた。

(なんだ?妙にざわついてるな……何かあったのか?)

僕は食堂のドアの方へ向かった。

気になってドアに近づいた。そして、ドンッ――!

突然、ドアが乱暴に開け放たれた。

「なっ……なんだよ、急に!」

思わず身を引きつつ、視線を向けると――。
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