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ゲームのクライマックスは、第二王子ロイドと、王太子サイモンの婚約者が卒業する年の卒業パーティーだ。
「つまり、今がゲームのオープニングね」
アレクサンドラは暦を見ながら呟く。アレクサンドラが三年生となった新学年が始まった今日、ヒロインは早速生徒会長ランドルフと出会っている筈だ。
…とにかく早くこの一年が過ぎ去ってゲームが終われば良い。
「ん。十六位相当か。まずまずね」
送られて来た中間考査の結果を見てアレクサンドラは頷く。
学園に貼り出される順位表にアレクサンドラ達の名前は載らないが、考査の回答と共に何位相当だったかを知らせてくれるのだ。父との約束で三十位より下位になれば寮に入れられる事になっている。
アレクサンドラは同じ三年生の上三十位の名前が載った紙を開く。
リザ・クロフォードは…十位か。
ゲームでのロイドの婚約者「アレクサンドラ」はそんなに成績が良かった覚えはないけど、リザはいつも十位前後に名前がある。もしかして、リザも転生者なんだろうか?
確かめる術はないけれど、どうか転生者で、ラノベや漫画のように悪役令嬢の不幸な結末を避ける展開にして欲しい。
マーク・スペンサーは?
アレクサンドラは同学年の攻略対象者の名前を探す。八位。
マークは生徒会副会長、騎士の家系で将来の近衛騎士候補という設定だ。やはり攻略対象者はスペックが高い。
「シンシアは何位?」
「…五十二」
シンシアが苦々しい顔で言う。五十ニ位はそんなに悪い順位ではないが前回より落ちたので不満なのだ。
「ウリエルは?」
シンシアの双子の兄、ウリエルはアレクサンドラに問われると、バッと椅子から立ち上がる。
「…俺は騎士になるんだから勉強はできなくても良いんだ」
シンシアによく似た緑の髪を無造作に結えたウリエルはそのまま部屋を出て行ってしまった。
「騎士だって頭が良いに越した事ないわよね?」
シンシアへ言うと、シンシアは呆れた顔で
「ウリエルはアリが成績が良いから引け目を感じてるのよ」
と言う。
「私?私の成績が良いとウリエルが引け目を感じるの?」
きょとんとするアレクサンドラに、シンシアはため息混じりに言った。
「…男としての矜持よ。アリはこういう方面鈍いから分かんないか」
-----
「ゴ…ヴァン」
アレクサンドラは秋季の中間考査の監督にやって来たゴヴァンを見て思わず呟いた。
「はじめまして。今回考査の監督を勤めます、ニューマンです」
にっこり笑うゴヴァンをしげしげ眺める。
自分以外のゲームの登場人物を生で見るのは初めてだ。画面で見たのと同じ。さすが攻略対象者なだけあって美形だった。
本当にここ「恋する生徒会」の世界なんだ…
「アリ?」
隣の席のウリエルから声を掛けられてハッとする。
「…どうした?」
「ううん。何でもない」
緩くかぶりを振るアレクサンドラをウリエルがじっと見ていた。
「はい。始めるよ。机の上筆記用具だけにして」
どうしよう。どうにかしてニューマン先生からゲームの進行具合を聞けないかしら?
回答を記入しながらアレクサンドラは考える。
「じゃあ考査はこれで終わりです」
そう言って部屋を出るゴヴァンをアレクサンドラは追い掛けた。
「ニューマン先生!」
「はい?」
廊下を歩くゴヴァンがにこやかに振り向く。
「あの、リザ…クロフォード侯爵令嬢って…」
アレクサンドラが言うと、ゴヴァンの表情はすうっと真顔になる。
「…ロイド殿下の婚約者の?」
「はい…あの、殿下がご婚約された時にお名前を聞いてて…」
「ああ」
ゴヴァンはアルカイックスマイルを浮かべる。
…先生…眼が笑っていないわ。
「いつも成績良くて凄いなって。あの…婚約者だし、リザ様はロ、ロイド殿下と仲が良いんですか?」
「…殿下が仲が良いのはローズだ」
ゴヴァンは極小さな声で呟く。
ローズ!ヒロインの名前だ!
「ローズ、さん?」
アレクサンドラはわざと初めて聞いた風に首を傾げる。
「一年生の男爵令嬢だ。殿下はきっとあの女との婚約を破棄してローズと結ばれる」
ゴヴァンは一人うんうんと頷いた。
「そ、そうなんですか」
…ニューマン先生、ローズを好きなのに、ロイドと結ばれるのを応援してる…?つまりローズはロイドのルートに入ったの?
リザの名前を出した時の真顔。そして「あの女」呼ばわり。ニューマン先生はリザを嫌っているのね。
あんな風に悪役令嬢は攻略対象者から嫌われるのか…
リザはロイドからもあんな風に嫌われているのかしら。
…つまり、本当なら私があんな風に攻略対象者から嫌われていた訳で…
「私が悪いんじゃないけど申し訳ない気持ちになるな…」
ゴヴァンが去った廊下に一人佇み、ポツリと呟いた。
ゲームのクライマックスは、第二王子ロイドと、王太子サイモンの婚約者が卒業する年の卒業パーティーだ。
「つまり、今がゲームのオープニングね」
アレクサンドラは暦を見ながら呟く。アレクサンドラが三年生となった新学年が始まった今日、ヒロインは早速生徒会長ランドルフと出会っている筈だ。
…とにかく早くこの一年が過ぎ去ってゲームが終われば良い。
「ん。十六位相当か。まずまずね」
送られて来た中間考査の結果を見てアレクサンドラは頷く。
学園に貼り出される順位表にアレクサンドラ達の名前は載らないが、考査の回答と共に何位相当だったかを知らせてくれるのだ。父との約束で三十位より下位になれば寮に入れられる事になっている。
アレクサンドラは同じ三年生の上三十位の名前が載った紙を開く。
リザ・クロフォードは…十位か。
ゲームでのロイドの婚約者「アレクサンドラ」はそんなに成績が良かった覚えはないけど、リザはいつも十位前後に名前がある。もしかして、リザも転生者なんだろうか?
確かめる術はないけれど、どうか転生者で、ラノベや漫画のように悪役令嬢の不幸な結末を避ける展開にして欲しい。
マーク・スペンサーは?
アレクサンドラは同学年の攻略対象者の名前を探す。八位。
マークは生徒会副会長、騎士の家系で将来の近衛騎士候補という設定だ。やはり攻略対象者はスペックが高い。
「シンシアは何位?」
「…五十二」
シンシアが苦々しい顔で言う。五十ニ位はそんなに悪い順位ではないが前回より落ちたので不満なのだ。
「ウリエルは?」
シンシアの双子の兄、ウリエルはアレクサンドラに問われると、バッと椅子から立ち上がる。
「…俺は騎士になるんだから勉強はできなくても良いんだ」
シンシアによく似た緑の髪を無造作に結えたウリエルはそのまま部屋を出て行ってしまった。
「騎士だって頭が良いに越した事ないわよね?」
シンシアへ言うと、シンシアは呆れた顔で
「ウリエルはアリが成績が良いから引け目を感じてるのよ」
と言う。
「私?私の成績が良いとウリエルが引け目を感じるの?」
きょとんとするアレクサンドラに、シンシアはため息混じりに言った。
「…男としての矜持よ。アリはこういう方面鈍いから分かんないか」
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「ゴ…ヴァン」
アレクサンドラは秋季の中間考査の監督にやって来たゴヴァンを見て思わず呟いた。
「はじめまして。今回考査の監督を勤めます、ニューマンです」
にっこり笑うゴヴァンをしげしげ眺める。
自分以外のゲームの登場人物を生で見るのは初めてだ。画面で見たのと同じ。さすが攻略対象者なだけあって美形だった。
本当にここ「恋する生徒会」の世界なんだ…
「アリ?」
隣の席のウリエルから声を掛けられてハッとする。
「…どうした?」
「ううん。何でもない」
緩くかぶりを振るアレクサンドラをウリエルがじっと見ていた。
「はい。始めるよ。机の上筆記用具だけにして」
どうしよう。どうにかしてニューマン先生からゲームの進行具合を聞けないかしら?
回答を記入しながらアレクサンドラは考える。
「じゃあ考査はこれで終わりです」
そう言って部屋を出るゴヴァンをアレクサンドラは追い掛けた。
「ニューマン先生!」
「はい?」
廊下を歩くゴヴァンがにこやかに振り向く。
「あの、リザ…クロフォード侯爵令嬢って…」
アレクサンドラが言うと、ゴヴァンの表情はすうっと真顔になる。
「…ロイド殿下の婚約者の?」
「はい…あの、殿下がご婚約された時にお名前を聞いてて…」
「ああ」
ゴヴァンはアルカイックスマイルを浮かべる。
…先生…眼が笑っていないわ。
「いつも成績良くて凄いなって。あの…婚約者だし、リザ様はロ、ロイド殿下と仲が良いんですか?」
「…殿下が仲が良いのはローズだ」
ゴヴァンは極小さな声で呟く。
ローズ!ヒロインの名前だ!
「ローズ、さん?」
アレクサンドラはわざと初めて聞いた風に首を傾げる。
「一年生の男爵令嬢だ。殿下はきっとあの女との婚約を破棄してローズと結ばれる」
ゴヴァンは一人うんうんと頷いた。
「そ、そうなんですか」
…ニューマン先生、ローズを好きなのに、ロイドと結ばれるのを応援してる…?つまりローズはロイドのルートに入ったの?
リザの名前を出した時の真顔。そして「あの女」呼ばわり。ニューマン先生はリザを嫌っているのね。
あんな風に悪役令嬢は攻略対象者から嫌われるのか…
リザはロイドからもあんな風に嫌われているのかしら。
…つまり、本当なら私があんな風に攻略対象者から嫌われていた訳で…
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ゴヴァンが去った廊下に一人佇み、ポツリと呟いた。
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