入替令嬢と最果ての恋人

ねーさん

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 アレクサンドラは考査の監督に来た学園の教師に、リザへ宛てた手紙を託けていた。
 去年の卒業パーティーの日、ランドルフの姿のゲーム管理人がアレクサンドラの前に現れ大体の状況説明をされた事、アレクサンドラも実は学園に所属していたので卒業パーティーに出る事、そしてそのパーティーの後リザと、できればロイドにも会って話をしたいと書いた手紙。

 その返事が考査の結果と共に届いたのが今日の夕方だ。
 考査の結果は父ハンクが皆のを先に見るので、リザからの手紙だけを抜いた。

【アレクサンドラ様

 お手紙ありがとうございます。先生がすぐに考査の結果を送ると言われるので、取り急ぎ用件だけ書きます。
 アレクサンドラ様が学園に所属しておられたのを初めて知りましたので、とても驚きました。

 パーティーの後、ロイド殿下と共にゆっくりお話できる場を用意しますので、王宮へお越しください。

 卒業パーティーでお会いできるのを楽しみにしております。

         リザ・クロフォード】

 マークはリザとロイドに会う事を躊躇していた。
 リザにとってマークは「自分を殺そうとした男」だ。あの事件の後は直接リザに会う機会はなかった。
 ロイドは何度か面会に来たがほとんど何も喋ってはいない。
 卒業パーティーまでは、ロイドと結ばれてローズが幸せになると良いと思っていたし、卒業パーティー後ローズが国外追放されたと知ってからは無気力で虚無な状態だったのだ。

 もし会う気になったら馬で追い掛けて来て、と言い残してアレクサンドラたちは王都に向かうために出発した。

-----

 王都に向かう馬車の中で考査の結果を確認する。
 馬車は二台連なって走っている。一台にはアレクサンドラとシンシアと侍女が、もう一台には男性陣が乗っていた。
「十二位。良かった。最後に自己最高が出せたわ」
「ふっふっふっ」
 アレクサンドラの隣で同じく考査の結果を見ていたシンシアが笑う。
「どうしたの?」
「アリ、ほら見て!」
 シンシアが相当順位を書いた紙を掲げる。
「三十位!すごい上がったわね!」
「でしょう?アントニーが『頭の良い子が好み』って言うから頑張ったわ!」
「え?」
 アントニーとは、アレクサンドラやシンシアと一緒に学園の通信教育を受けた男子三人の内の一人だ。
 卒業パーティーでは緑の衣装を着る。
「衣装を試着した日に告白されたのよね」
 シンシアは少し照れながら言う。
「あ…アントニーが緑の衣装が良いって言ってたの…シンシアの髪の色だから?」
「え、アントニーが緑が良いって言ったの?偶然かと思ってた」
「ううん。一応好きな色を聞いたのよ」
「そうなんだ」
 シンシアの頬が赤く染まる。
「…私ね、この間までマークを好きだったじゃない?」
「う、うん」
 アレクサンドラはどう返事をしようか一瞬戸惑う。
「アントニーに告白された時は、まったく思ってもみなかったから『ちょっと考えさせて』って保留にしたの。断ったら気まずくなるかな、とも思ったし。でもあれからアントニーが気になって…この間まで他の人を好きだったのに、何かそういうのお手軽って言うか、気が多いみたいで嫌でしょ?」
「そうかしら?」
「うん。でも卒業パーティーで、ダンスに誘って欲しいな…って。そこで返事をしようかな…って。ほらダンスも練習したじゃない?折角だから踊ってみたいし…学園で場慣れしてる人たちよりは下手だから隅っこでね」
 シンシアは照れながらも笑顔だ。
「あ、シンシア、学園の舞踏会やパーティーで、同じ相手と二曲ダンスしたらその二人は恋人同士と周りから認められるって設定…暗黙の了解があるのよ」
「そうなの?」
「この話、ウリエルからアントニーにさり気なく伝えてもらえばどうかしら」
「そうしたら二曲目にも誘ってくれるかしら?」
「そりゃあ絶対よ」
 アレクサンドラはそう言うと拳を握った。
「ただ…」
 シンシアは心配そうな表情で俯く。
「どうしたの?」
「ウリエルに『さり気なく』は無理じゃないかなと…」
「…あ」
 アレクサンドラとシンシアは顔を見合わせて、同時に吹き出した。


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