長身令嬢ですが、王太子妃の選考大会の招待状が届きました。

ねーさん

文字の大きさ
13 / 98

12

しおりを挟む
12

「一次から上がった令嬢が十人、公爵、侯爵令嬢が三十六人、計四十六人で三次選考なのね。公爵、侯爵令嬢って意外と少ないのね」
 マリアが三次選考の案内書を見ながら言う。
「高位だからもう婚約者が決まっている方が多いんじゃない?」
 シャーロットが手に持った針を動かしながら言うと、マリアは
「ああ、それもそうね」
 と言った。

「できたわ」
 針を針山に刺して糸を鋏で切ると、マリアがシャーロットの手の中を覗き込む。
「わあ、かわいい!」
 レース編みの小さな花を集めて作った花束の様なブローチ。
「私のは青で、マリアのはピンクよ」
「この緑のは?」
「明日クラリスに会ったらあげようと思って…手作りって微妙かな?」
「そんな事ないわ。ロッテの作るアクセサリー、人気あるじゃない。クラリスだって喜ぶわ」
 マリアは早速自分のお仕着せの襟元にブローチを着けた。

「一日目に晩餐会、二日目に夜会だっけ?三次選考」
「そうね。ドレスに靴に宝飾品に…荷物多いわねぇ」
 マリアはうんざりした表情で言う。
「夜会はまたダンス踊るのかしら?」
「夜会だもの。きっとね」
 一次の時はグリフ様が踊ってくださったけど、今度は違う方だろうし、少しでも背の高い方と当たれば良いけど。

-----

「ロッテさんと同じ部屋で嬉しいです」
 王城の来賓棟で再会したクラリスはニコニコとして言う。
「私もクラリスと同じ部屋で嬉しいわ」
 シャーロットもニコニコとして言った。
 公爵令嬢、侯爵令嬢たちは一人部屋だが、二次通過者は二人部屋なのだ。
「マリアさんとお揃いのブローチなんですね」
 クラリスがシャーロットの胸元の青い花のブローチを示して言う。
「そうなの。それでね…」
 シャーロットはスカートのポケットから緑の花のブローチを取り出す。
「これ、良かったら、もらって?」
「私に?良いんですか?」
「クラリスにと思って作ったの」
「ロッテさんが作ったんですか?すごい綺麗…あ、私の瞳が緑だから?」
 嬉しそうに自分のボックスカラーのブラウスの襟にブローチを着けるクラリス。
「うん。私の青とマリアのピンクはそれぞれ好きな色なの。クラリスの好きな色がわからなかったから…」
「緑、好きです。似合いますか?」
「良かった。すごく似合うわ」
「うれしいです。ありがとうございます」
 ニコニコと笑うクラリス。
 本当にかわいいわ。

 クラリスが「ヒロイン」だとして、この王太子選びがゲームの舞台だとしたら、もう攻略対象者には出会ったのかしら?
 それとも、ゲームじゃなくて、小説とか漫画でクラリスが王太子妃になるまでのシンデレラストーリーなのかも。
 だとしたら私もモブじゃなくて名前が出て来る登場人物の一人ではあるのかな。
 
 午後から来賓棟に集まった令嬢たちの部屋に侍女がやって来て晩餐会に向けての身支度を手伝ってくれる。
 クラリスは応接室で、シャーロットは続き間の寝室で、それぞれ侍女がついて身支度をする。侍女から「互いに階級などの先入観を持たないよう、姓ではなく名で呼び合うように」と説明を受けたシャーロットは
「あの、名前って愛称でも良いんですか?」
 と尋ねた。
「そうですね。本名とかけ離れた偽名の様なものはいけませんけど…」
「『シャーロット』で『ロッテ』なんですけど」
「ああ、それなら。愛称としては一般的なので大丈夫ですよ」
「良かった」
 ドレスを着付けてくれている侍女と目が合って微笑み合う。

「ロッテ様がユリウス殿下と並ばれたらきっととてもゴージャスですわ」
 侍女は紺のイブニングドレスを纏ったシャーロットにそう言うと満足気に頷いた。
 ゴージャス…物は言いようね。
「でも、ハイヒールだと私、殿下より大きくなっちゃいませんか?」
「うーん…ヒールだと同じ位か…少し殿下の方が高いかと」
 そうなんだ。ユリウス殿下ってそんなに高いのね。
「そうなんですね。私、殿下を遠目でしか見た事がなくて」
「今日の晩餐会に殿下も出られますよ。お席によっては遠いかも知れませんが」
「え?王太子殿下が出席されるんですか?」
「個人的な会話はなさいなせんけどね。ちなみにお嬢様方のお席の並び順はくじ引きで決めます」
「…くじ引き」
 あ、ここでクラリスが王太子殿下の近くの席を引き当てる、とか?
 ありそうじゃないかしら?







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい

瑞原唯子
恋愛
だから、きっと、恋を知らないままでよかった。 伯爵令嬢のシャーロットはもうすぐ顔も知らないおじさまと結婚する。だから最後にひとつだけわがままを叶えようと屋敷をこっそり抜け出した。そこで知り合ったのは王都の騎士団に所属するという青年で——。 --- 本編完結しました。番外編も書きたかったエピソードはひとまず書き終わりましたが、気が向いたらまた何か書くかもしれません。リクエストなどありましたらお聞かせください。参考にさせていただきます。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

処理中です...