75 / 98
74
しおりを挟む
74
気がつけば、ユリウス殿下を見上げていた。
ああ、私が横になっていて、ユリウス殿下がベッドの傍に、こちらに背を向けて立っているのね。
夢?なのかな?
それとも私あのまま死んじゃったの?
何かを話しているユリウス殿下の横顔。
髪が少し乱れて、無精髭も…ユリウス殿下の部屋で見たのと同じ?
やっぱり私、王子様じゃない生身のユリウス殿下の夢を見てるのかなあ。
「ロッテは嫁に出さない事にしました」
お兄様の声?
え、嫁に出さないって、私?何の事?
「…は?」
「私がマリアと結婚し、ウェイン家でずっとロッテと一緒に暮らします」
???
お兄様とマリアが結婚?
それは嬉しいけど、ずっと私と暮らすって何?
「ルーカス様!?」
あ、マリアの声。
ユリウスがベッドから離れるように足を動かし掛けた。
あ、嫌。行かないで。
「…ユリ…スでん…」
ユリウスのシャツの裾をシャーロットが掴んだ。
「ロッテ!気が付いたのか!?」
ユリウスはベッドの傍に跪くと、シャーロットの手を両手で握った。
「…ユリウス殿下…え?あれ?」
これって夢じゃ…?
困惑するシャーロット。ユリウスはハッとしてシャーロットの手を離そうとする。
「すまん」
「あ、嫌!」
シャーロットは思わず、離れようとするユリウスの手をぎゅっと握った。
「ロッテ?」
見開いた眼、紫の瞳。乱れた髪。薄っすらと髭。
夢なら、もう少し見ていたい。
シャーロットはユリウスの手を握ったまま、反対側の手でユリウスの顎を撫でた。
「ふふ。ショリショリ」
「ロ、ロッテ?」
微笑むシャーロットに、少し赤面するユリウス。
ユリウス殿下のこんな表情、夢でしか見られないわ。
「ユリウス殿下…好きです」
なんて、言ってみちゃったりなんかしてみちゃったりして。
「は…?」
眼を限界まで見開いたユリウスの顔がみるみる赤くなる。
「…どういう事だ?」
お兄様の声。
「夢だと思ってるんじゃないですか?」
マリアの声。
「そうではない。ロッテがユリウス殿下を、好き?」
お兄様の声。
「そうです」
マリアの声…
「は?本当に?」
…お兄様の声…驚いてる。
「です」
マリアの声……
…え?これ、夢、だよね?
パチンッ。
と弾けたようにシャーロットの意識が覚醒する。
目の前に真っ赤になって片手で口元を覆うユリウス。
もう片方の手は、シャーロットが握っている。
「夢…じゃ…」
シャーロットが呆然と言うと、ユリウスは口元を覆ったまま
「ないな」
と言った。
-----
「な!な…%☆*@℃$!!!」
狼狽しながらシャーロットが起き上がると、ルーカスとマリアが慌てて
「駄目だ!」
「起きないで!ロッテ」
と言う。
「だっ!あの!でも」
「脳震盪起こしたんだ。暫く大人しく寝てろ」
ルーカスがシャーロットの肩を押して横にならせる。
「あの、でも…」
寝かされたシャーロットが、ユリウスの方をチラッと見ると、ユリウスは口元を覆ったまま、眼を閉じていた。顔は赤いままだ。
どどどどーしよう!?
図らずも告白してしまった!
ユリウス殿下を困らせちゃった!
「ユリウス殿下、固まってますよ」
ルーカスがユリウスの肩に手を置く。
「…どうしたら良いんだルーカス」
絞り出すように言う。
ああ、やっぱり困らせてる!
「俺など、ロッテに相応しくない。なのに…嬉しくて堪らない」
う、れ、しくて?
…え?
ユリウスが伏せていた眼を開けてシャーロットを見る。パチンッと目が合う。
「ロッテ、俺もロッテが好きだ」
真っ直ぐにシャーロットを見て言うユリウス。
オレモロッテガスキダ。
オレモロッテガスキダ。
オレモロッテガ…
…俺もロッテが好きだ。って言われたの!?今!?ユリウス殿下が!?
「!??????」
「大分混乱してますね」
マリアが冷静に言う。
「マリアは殿下がロッテを好きな事、気付いていたのか?」
ルーカスがマリアに言うと、マリアは頷いた。
「はい。ついさっき。殿下にロッテを保護したって伝えに行った時、そうなのかな~と」
え?そう言うって事は、お兄様は知ってたの?ユユユユリウス殿下が私を…すすす好きだって事。
それにマリアも気付いてたの!?
「ロッテ…」
ユリウスの手を握ったままだったシャーロットの手に、ユリウスがもう一方の手を重ねて来る。
「……」
あうあうと口をパクパクさせるシャーロットを見つめて、ユリウスは微笑んだ。
「ロッテ…ごめんな」
あ、また淋しそうな笑顔。何で?
「俺のような何もない男はロッテに相応しくない。でも好きなんだ…ごめん」
ユリウスは俯いて握った手に額をつける。シャーロットの指にユリウスの額が触れた。
…何で?
相応しくないって、それは私の方でしょ?
それに、何?「俺のような何もない男」って…
シャーロットはユリウスの手を振り払ってガバッと起き上がった。
気がつけば、ユリウス殿下を見上げていた。
ああ、私が横になっていて、ユリウス殿下がベッドの傍に、こちらに背を向けて立っているのね。
夢?なのかな?
それとも私あのまま死んじゃったの?
何かを話しているユリウス殿下の横顔。
髪が少し乱れて、無精髭も…ユリウス殿下の部屋で見たのと同じ?
やっぱり私、王子様じゃない生身のユリウス殿下の夢を見てるのかなあ。
「ロッテは嫁に出さない事にしました」
お兄様の声?
え、嫁に出さないって、私?何の事?
「…は?」
「私がマリアと結婚し、ウェイン家でずっとロッテと一緒に暮らします」
???
お兄様とマリアが結婚?
それは嬉しいけど、ずっと私と暮らすって何?
「ルーカス様!?」
あ、マリアの声。
ユリウスがベッドから離れるように足を動かし掛けた。
あ、嫌。行かないで。
「…ユリ…スでん…」
ユリウスのシャツの裾をシャーロットが掴んだ。
「ロッテ!気が付いたのか!?」
ユリウスはベッドの傍に跪くと、シャーロットの手を両手で握った。
「…ユリウス殿下…え?あれ?」
これって夢じゃ…?
困惑するシャーロット。ユリウスはハッとしてシャーロットの手を離そうとする。
「すまん」
「あ、嫌!」
シャーロットは思わず、離れようとするユリウスの手をぎゅっと握った。
「ロッテ?」
見開いた眼、紫の瞳。乱れた髪。薄っすらと髭。
夢なら、もう少し見ていたい。
シャーロットはユリウスの手を握ったまま、反対側の手でユリウスの顎を撫でた。
「ふふ。ショリショリ」
「ロ、ロッテ?」
微笑むシャーロットに、少し赤面するユリウス。
ユリウス殿下のこんな表情、夢でしか見られないわ。
「ユリウス殿下…好きです」
なんて、言ってみちゃったりなんかしてみちゃったりして。
「は…?」
眼を限界まで見開いたユリウスの顔がみるみる赤くなる。
「…どういう事だ?」
お兄様の声。
「夢だと思ってるんじゃないですか?」
マリアの声。
「そうではない。ロッテがユリウス殿下を、好き?」
お兄様の声。
「そうです」
マリアの声…
「は?本当に?」
…お兄様の声…驚いてる。
「です」
マリアの声……
…え?これ、夢、だよね?
パチンッ。
と弾けたようにシャーロットの意識が覚醒する。
目の前に真っ赤になって片手で口元を覆うユリウス。
もう片方の手は、シャーロットが握っている。
「夢…じゃ…」
シャーロットが呆然と言うと、ユリウスは口元を覆ったまま
「ないな」
と言った。
-----
「な!な…%☆*@℃$!!!」
狼狽しながらシャーロットが起き上がると、ルーカスとマリアが慌てて
「駄目だ!」
「起きないで!ロッテ」
と言う。
「だっ!あの!でも」
「脳震盪起こしたんだ。暫く大人しく寝てろ」
ルーカスがシャーロットの肩を押して横にならせる。
「あの、でも…」
寝かされたシャーロットが、ユリウスの方をチラッと見ると、ユリウスは口元を覆ったまま、眼を閉じていた。顔は赤いままだ。
どどどどーしよう!?
図らずも告白してしまった!
ユリウス殿下を困らせちゃった!
「ユリウス殿下、固まってますよ」
ルーカスがユリウスの肩に手を置く。
「…どうしたら良いんだルーカス」
絞り出すように言う。
ああ、やっぱり困らせてる!
「俺など、ロッテに相応しくない。なのに…嬉しくて堪らない」
う、れ、しくて?
…え?
ユリウスが伏せていた眼を開けてシャーロットを見る。パチンッと目が合う。
「ロッテ、俺もロッテが好きだ」
真っ直ぐにシャーロットを見て言うユリウス。
オレモロッテガスキダ。
オレモロッテガスキダ。
オレモロッテガ…
…俺もロッテが好きだ。って言われたの!?今!?ユリウス殿下が!?
「!??????」
「大分混乱してますね」
マリアが冷静に言う。
「マリアは殿下がロッテを好きな事、気付いていたのか?」
ルーカスがマリアに言うと、マリアは頷いた。
「はい。ついさっき。殿下にロッテを保護したって伝えに行った時、そうなのかな~と」
え?そう言うって事は、お兄様は知ってたの?ユユユユリウス殿下が私を…すすす好きだって事。
それにマリアも気付いてたの!?
「ロッテ…」
ユリウスの手を握ったままだったシャーロットの手に、ユリウスがもう一方の手を重ねて来る。
「……」
あうあうと口をパクパクさせるシャーロットを見つめて、ユリウスは微笑んだ。
「ロッテ…ごめんな」
あ、また淋しそうな笑顔。何で?
「俺のような何もない男はロッテに相応しくない。でも好きなんだ…ごめん」
ユリウスは俯いて握った手に額をつける。シャーロットの指にユリウスの額が触れた。
…何で?
相応しくないって、それは私の方でしょ?
それに、何?「俺のような何もない男」って…
シャーロットはユリウスの手を振り払ってガバッと起き上がった。
10
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
