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兄コンラートが学院の三年生、アシュトンが十一歳になったばかりのある日、コンラートが男女の友人を連れて屋敷に戻って来た。
男女は恋人同士で、男の方が兄の友人で、女の方はコンラートとはあまり話した事はなかったらしい。
後から知ったが、女の方は海運業者の娘で、女は「高い金を出して学園に入れてやったんだから在学中に何としても貴族男性を射止めろ」と厳命されていたそうだ。
男の方は裕福な宝石商の息子であったが、貴族ではなかった。女は公爵家の嫡男で見目も良いコンラートに取り入るつもりで男に付いてエインズワース公爵邸を訪れたのだ。
コンラートと友人の男がチェスで白熱している時、女が御手洗いに立ち、廊下で出会ったのが弟のアシュトンだった。
その頃のアシュトンは剣の鍛錬はしていたが、まだまだ線は細く、美麗な顔立ちが中性的にすら見える美少年。女は「兄より弟の方が与し易い」と直感的に思った。
女はアシュトンの目の前でよろけて壁にもたれる。
「大丈夫ですか?」
女に近寄ると、弱々しい表情でアシュトンの肩に触れた。
「すみません…貧血で…お兄様たちの所へ戻るので手を貸していただけますか…?」
「はい」
女はアシュトンの肩にもたれる振りをしながら、制服のポケットからハンカチを取り出すと、アシュトンの口と鼻を塞ぐように押し当てる。
「!?」
振り解こうとするが、渾身の力を込める女を引き離す事ができず、アシュトンはハンカチに染み込ませてあった「媚薬」を吸い込んでしまった──…
-----
ぼんやりとした頭に強烈な快感が走る。
「…ぅ、あっ!」
手近な部屋のソファに横たわったアシュトンの下腹部に赤黒い髪の女の頭があった。
「気持ちいいのね?ちゃんと勃ってるわよ」
女はアシュトンの固く立ち上がった屹立を握り、手を上下させながら舌で先端をチロリと舐める。
「や、やめ……ひっ!」
朦朧としながらビクンッと背中を反らせると、女はニヤリと笑った。
「うふふ。かぁわいい。ちょっと刺激が強かったかしら?」
口角の上がった唇がゆっくりと屹立を口に含んでいくのがぼんやりと見える。
身体中が痺れて、手すらまともに動かせなかった。
やめて。怖い。
そう思いながらも息が乱れる。
「んっ、はっ。はあ…あ…ああ…」
いやだ…嫌だ。
いや…なのに……気持ちいい。
…気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
頭を上下させ、刺激を加える女。
段々とアシュトンは思考を奪われていった。
「…はぁ…はぁ……も…やめ……て…」
なけなしの理性を動員し喘ぐように言う。
女は屹立から口を離し、唇をベロリと舐めた。
「何言ってるの。ここからが本番よ?」
赤い唇と舌がアシュトンの脳裏に焼き付く。
そして女は制服のスカートを捲り上げ、自らの下着を下ろした。
「責任取ってね。お坊ちゃん」
ニンマリと笑うと、屹立を持ち、秘所へと導く。
「うあっ!」
ズブズブと埋まっていくと、あまりの快感に声が漏れた。
熱い。
熱くて……溶けそう……
「…はあ…気持ちいいでしょ…?」
女はハッハッと短い息をしながら、腰を回すように動かす。
「うっ…」
「はあ……さあ…イッて…はあ…中、中で…」
アシュトンは涙を流しながら首を横に振った。
女は容赦なく前後左右に腰を振り、上下に動かす。
「う…はあ…あ…んん…はあ…あっああああ」
切羽詰まった喘ぎ声が出て、腰が溶けそうになり、何かが競り上がって来る感覚。
もう何も考える事はできなかった。
「イッて!…ああ、私も……あ、イクッ、イクッ!ああああ──!」
女が腹の上で仰け反り、屹立がギュウッと締め付けられる。
「くっ……!」
アシュトンは朦朧としながらも、嫌悪と罪悪と恍惚の入り混じる自らの汚い欲望が弾ける感覚を嫌という程味わった。
そして、暗転。
アシュトンが気を失っている間に、戻って来ない女を探しに来た兄と兄の友人の男に女は取り押さえられたらしい。
女は半裸で叫ぶ。
「私の中に公爵家の精子が蒔かれたわ!さあ責任を取って!私と我が家に便宜を図ってくれるなら、もちろん愛人でもいいのよ」
「私が公爵家の次男に襲われたと言ったらどうなると思う!?これは大変な醜聞だわ。この子の将来を閉ざすつもりかしら!?」
「十一歳だから何?この子もうちゃんと立派な男だったわよ!」
───強烈な快感とそれを上回る嫌悪感を植え付けられたアシュトンは、その日から「不能」になったのだった。
兄コンラートが学院の三年生、アシュトンが十一歳になったばかりのある日、コンラートが男女の友人を連れて屋敷に戻って来た。
男女は恋人同士で、男の方が兄の友人で、女の方はコンラートとはあまり話した事はなかったらしい。
後から知ったが、女の方は海運業者の娘で、女は「高い金を出して学園に入れてやったんだから在学中に何としても貴族男性を射止めろ」と厳命されていたそうだ。
男の方は裕福な宝石商の息子であったが、貴族ではなかった。女は公爵家の嫡男で見目も良いコンラートに取り入るつもりで男に付いてエインズワース公爵邸を訪れたのだ。
コンラートと友人の男がチェスで白熱している時、女が御手洗いに立ち、廊下で出会ったのが弟のアシュトンだった。
その頃のアシュトンは剣の鍛錬はしていたが、まだまだ線は細く、美麗な顔立ちが中性的にすら見える美少年。女は「兄より弟の方が与し易い」と直感的に思った。
女はアシュトンの目の前でよろけて壁にもたれる。
「大丈夫ですか?」
女に近寄ると、弱々しい表情でアシュトンの肩に触れた。
「すみません…貧血で…お兄様たちの所へ戻るので手を貸していただけますか…?」
「はい」
女はアシュトンの肩にもたれる振りをしながら、制服のポケットからハンカチを取り出すと、アシュトンの口と鼻を塞ぐように押し当てる。
「!?」
振り解こうとするが、渾身の力を込める女を引き離す事ができず、アシュトンはハンカチに染み込ませてあった「媚薬」を吸い込んでしまった──…
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ぼんやりとした頭に強烈な快感が走る。
「…ぅ、あっ!」
手近な部屋のソファに横たわったアシュトンの下腹部に赤黒い髪の女の頭があった。
「気持ちいいのね?ちゃんと勃ってるわよ」
女はアシュトンの固く立ち上がった屹立を握り、手を上下させながら舌で先端をチロリと舐める。
「や、やめ……ひっ!」
朦朧としながらビクンッと背中を反らせると、女はニヤリと笑った。
「うふふ。かぁわいい。ちょっと刺激が強かったかしら?」
口角の上がった唇がゆっくりと屹立を口に含んでいくのがぼんやりと見える。
身体中が痺れて、手すらまともに動かせなかった。
やめて。怖い。
そう思いながらも息が乱れる。
「んっ、はっ。はあ…あ…ああ…」
いやだ…嫌だ。
いや…なのに……気持ちいい。
…気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
頭を上下させ、刺激を加える女。
段々とアシュトンは思考を奪われていった。
「…はぁ…はぁ……も…やめ……て…」
なけなしの理性を動員し喘ぐように言う。
女は屹立から口を離し、唇をベロリと舐めた。
「何言ってるの。ここからが本番よ?」
赤い唇と舌がアシュトンの脳裏に焼き付く。
そして女は制服のスカートを捲り上げ、自らの下着を下ろした。
「責任取ってね。お坊ちゃん」
ニンマリと笑うと、屹立を持ち、秘所へと導く。
「うあっ!」
ズブズブと埋まっていくと、あまりの快感に声が漏れた。
熱い。
熱くて……溶けそう……
「…はあ…気持ちいいでしょ…?」
女はハッハッと短い息をしながら、腰を回すように動かす。
「うっ…」
「はあ……さあ…イッて…はあ…中、中で…」
アシュトンは涙を流しながら首を横に振った。
女は容赦なく前後左右に腰を振り、上下に動かす。
「う…はあ…あ…んん…はあ…あっああああ」
切羽詰まった喘ぎ声が出て、腰が溶けそうになり、何かが競り上がって来る感覚。
もう何も考える事はできなかった。
「イッて!…ああ、私も……あ、イクッ、イクッ!ああああ──!」
女が腹の上で仰け反り、屹立がギュウッと締め付けられる。
「くっ……!」
アシュトンは朦朧としながらも、嫌悪と罪悪と恍惚の入り混じる自らの汚い欲望が弾ける感覚を嫌という程味わった。
そして、暗転。
アシュトンが気を失っている間に、戻って来ない女を探しに来た兄と兄の友人の男に女は取り押さえられたらしい。
女は半裸で叫ぶ。
「私の中に公爵家の精子が蒔かれたわ!さあ責任を取って!私と我が家に便宜を図ってくれるなら、もちろん愛人でもいいのよ」
「私が公爵家の次男に襲われたと言ったらどうなると思う!?これは大変な醜聞だわ。この子の将来を閉ざすつもりかしら!?」
「十一歳だから何?この子もうちゃんと立派な男だったわよ!」
───強烈な快感とそれを上回る嫌悪感を植え付けられたアシュトンは、その日から「不能」になったのだった。
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