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「……聞いたわ。ポーラをアシュトン様とマジョリカ様の養女にするって」
「はい」
頷くマジョリカ。
「それで、私は領地で籠居。ポーラが領地と王都を行き来するのは自由…って、私が言うのも…ですけど……軽すぎはしないかしら?」
カリステはそう言って眉を顰める。
籠居とは、謹慎して閉じこもる事。原則領地屋敷から出ない、社交も禁止だが、蟄居幽閉に比べると処分としては軽いものになる。
「そうですか?これからお義姉様はポーラの躾や教育にも結婚相手の選定にも口を出せないんですよ?例えば継母の私がポーラを虐めたりしても、ですよ?」
マジョリカが口角を上げて言うと、カリステは目を見開いた。
「手始めにポーラには私の従姉妹のロレッタと会ってもらいます。同じ歳ですし、良い友人になると思いますの。無理矢理友人を作らされるなんてポーラ、可哀想ですわね」
ホホホと笑うマジョリカ。
巷で流行りの小説に出て来る悪役令嬢のような喋り方にカリステは笑いを堪えて口元を押さえる。
「結婚相手も、容姿も人柄も良く、品位があり、かつ気取らずに、ポーラを大切にしてくださる方でないとワタクシ許しませんわ。ええ、それはもう絶対に」
「…全然虐めてないわ」
笑いを噛み殺しながらカリステが言うと、マジョリカは「あらそうかしら?」と眉を上げた。
-----
「結婚式を挙げよう」
アルヴェルの婚儀から一か月、カリステが領地へと行き、ポーラとの養子縁組の手続きが終わった頃、夫婦の寝室でマジョリカに腕枕をしながらアシュトンが言った。
こうして寝る前に二人で色々話す習慣に変わりはない。ただ、以前とは違い、腕枕やバックハグ、正面で抱き合う、など、スキンシップの内容は濃くなったが。
「結婚式、ですか?」
「ああ。実はカラム殿下から前から言われていたんだ。私が公爵位を継いだ事も、結婚した事も、騎士団を辞めた事さえも、巷ではあまり知られていないから」
難しい表情のアシュトン。
エインズワース公爵家は「女嫌い」のアシュトンのため、縁談の類は全てシャットアウトしていた。しかし女性に好まれる条件を満たすアシュトンに駄目元でも求婚したい。結果、その求婚は騎士団、更にはカラムの元へ持ち込まれていた。
そしてそれはアシュトンが騎士団を退団して二年以上経つ今でも。
もちろんアシュトンの退団も爵位継承も婚姻も官報で公示されているのだが、特に結婚については「本当にあの『女嫌い』が結婚したのか?」と訝しがられているのだ。
「つまり、お披露目ですね?」
マジョリカが人差し指を立てて言うと、アシュトンは眉を顰めながら頷く。
「『結婚したフリをしてるんじゃないか』とか『相手は本当に女か』とか言われる私の身にもなれ」
そうカラムにうんざりした様子で言われたと話すアシュトン。
「結婚式ならアシュトン様が爵位を継いだ事も私の事も一度にお披露目できますね。それにポーラを正式にエインズワース公爵令嬢だと紹介できます。夜会や舞踏会はまだポーラが出られないけど、結婚式なら出られますから」
夫人同士のお茶会や同年代の子息の集まりなどでポーラを徐々に周りに紹介しなければと思ってたけど、結婚式で一度に周知できるのは助かるわ。
私は隣国出身だからまだお茶会などに呼んだり呼ばれたりの人脈もないもの。私自身も結婚式でお披露目してもらえたら人脈作りにも役立つし。
それに、アシュトン様の妻は私だと知らしめて、アシュトン様を狙う令嬢たちに諦めてもらわなきゃ!
マジョリカが心の中で拳を握っていると、アシュトンは申し訳なさそうな表情をしていた。
「アシュトン様?」
「結婚式とは、女性にとっては憧れで、とても大切なものなんだとフーリア妃殿下から聞いた。私はマジョリカから一生に一度の大切な機会を奪ってしまう処だったんだ。本当にすまない」
頭を下げる仕草をすると、腕枕をしているマジョリカの額と、アシュトンの額とがコツンとぶつかる。
マジョリカはクスクスと笑うと、眉を下げるアシュトンの頬へと手を当てた。
「私はこうして互いに想い合って結婚生活が送れるなら、式なんてしてもしなくても良いんです。でも憧れがあるのも本当なので、結婚式を挙げられるのは嬉しいです」
顔を寄せてチュッとキスをする。
「マジョリカ…」
感極まったアシュトンからの、深くて甘い口付けが落ちて来た。
「……聞いたわ。ポーラをアシュトン様とマジョリカ様の養女にするって」
「はい」
頷くマジョリカ。
「それで、私は領地で籠居。ポーラが領地と王都を行き来するのは自由…って、私が言うのも…ですけど……軽すぎはしないかしら?」
カリステはそう言って眉を顰める。
籠居とは、謹慎して閉じこもる事。原則領地屋敷から出ない、社交も禁止だが、蟄居幽閉に比べると処分としては軽いものになる。
「そうですか?これからお義姉様はポーラの躾や教育にも結婚相手の選定にも口を出せないんですよ?例えば継母の私がポーラを虐めたりしても、ですよ?」
マジョリカが口角を上げて言うと、カリステは目を見開いた。
「手始めにポーラには私の従姉妹のロレッタと会ってもらいます。同じ歳ですし、良い友人になると思いますの。無理矢理友人を作らされるなんてポーラ、可哀想ですわね」
ホホホと笑うマジョリカ。
巷で流行りの小説に出て来る悪役令嬢のような喋り方にカリステは笑いを堪えて口元を押さえる。
「結婚相手も、容姿も人柄も良く、品位があり、かつ気取らずに、ポーラを大切にしてくださる方でないとワタクシ許しませんわ。ええ、それはもう絶対に」
「…全然虐めてないわ」
笑いを噛み殺しながらカリステが言うと、マジョリカは「あらそうかしら?」と眉を上げた。
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「結婚式を挙げよう」
アルヴェルの婚儀から一か月、カリステが領地へと行き、ポーラとの養子縁組の手続きが終わった頃、夫婦の寝室でマジョリカに腕枕をしながらアシュトンが言った。
こうして寝る前に二人で色々話す習慣に変わりはない。ただ、以前とは違い、腕枕やバックハグ、正面で抱き合う、など、スキンシップの内容は濃くなったが。
「結婚式、ですか?」
「ああ。実はカラム殿下から前から言われていたんだ。私が公爵位を継いだ事も、結婚した事も、騎士団を辞めた事さえも、巷ではあまり知られていないから」
難しい表情のアシュトン。
エインズワース公爵家は「女嫌い」のアシュトンのため、縁談の類は全てシャットアウトしていた。しかし女性に好まれる条件を満たすアシュトンに駄目元でも求婚したい。結果、その求婚は騎士団、更にはカラムの元へ持ち込まれていた。
そしてそれはアシュトンが騎士団を退団して二年以上経つ今でも。
もちろんアシュトンの退団も爵位継承も婚姻も官報で公示されているのだが、特に結婚については「本当にあの『女嫌い』が結婚したのか?」と訝しがられているのだ。
「つまり、お披露目ですね?」
マジョリカが人差し指を立てて言うと、アシュトンは眉を顰めながら頷く。
「『結婚したフリをしてるんじゃないか』とか『相手は本当に女か』とか言われる私の身にもなれ」
そうカラムにうんざりした様子で言われたと話すアシュトン。
「結婚式ならアシュトン様が爵位を継いだ事も私の事も一度にお披露目できますね。それにポーラを正式にエインズワース公爵令嬢だと紹介できます。夜会や舞踏会はまだポーラが出られないけど、結婚式なら出られますから」
夫人同士のお茶会や同年代の子息の集まりなどでポーラを徐々に周りに紹介しなければと思ってたけど、結婚式で一度に周知できるのは助かるわ。
私は隣国出身だからまだお茶会などに呼んだり呼ばれたりの人脈もないもの。私自身も結婚式でお披露目してもらえたら人脈作りにも役立つし。
それに、アシュトン様の妻は私だと知らしめて、アシュトン様を狙う令嬢たちに諦めてもらわなきゃ!
マジョリカが心の中で拳を握っていると、アシュトンは申し訳なさそうな表情をしていた。
「アシュトン様?」
「結婚式とは、女性にとっては憧れで、とても大切なものなんだとフーリア妃殿下から聞いた。私はマジョリカから一生に一度の大切な機会を奪ってしまう処だったんだ。本当にすまない」
頭を下げる仕草をすると、腕枕をしているマジョリカの額と、アシュトンの額とがコツンとぶつかる。
マジョリカはクスクスと笑うと、眉を下げるアシュトンの頬へと手を当てた。
「私はこうして互いに想い合って結婚生活が送れるなら、式なんてしてもしなくても良いんです。でも憧れがあるのも本当なので、結婚式を挙げられるのは嬉しいです」
顔を寄せてチュッとキスをする。
「マジョリカ…」
感極まったアシュトンからの、深くて甘い口付けが落ちて来た。
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