第二王子は婚約破棄して王太子になりたいらしい。

ねーさん

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「そう言えば、今日フィオナ様に意味の判らない事を言われたんですけど」
 ノエルが一日の報告をしにレオンの元を訪れ、報告の最後にそう言い、レオンは書類から顔を上げた。
「フィオに?」
「はい。『てっきりびーえる展開だと思ってたから確認してなかったんですけど、ノエル様は同性と異性どちらが好きですか?』と」
 バサバサッとレオンが書類を取り落とす。
「普通に『異性が好きですよ』と答えましたけど、レオン殿下、『びーえる』って何ですか?」
「……」
「フィオナ様にも聞いたんですけど、教えてもらえなくて」
「……」
「その後独り言で『レオン様とノエル様だとどっちが受けかしら?やっぱりノエル様…と見せかけて実は…パターンとか?』と呟いておいででした」
「…フィオ」
 レオンは頭を抱えるように机に突っ伏す。
「その流れから、同性愛の事だとは察したんですけど『びーえる』だけ分からなくて」
 きょとんとしてレオンを見るノエル。

「そう言えば、ノエルにまだ話してない事があったな…」
 レオンは思いついたように顔を上げる。
「まだあるんですか?ちゃんと全てを話していただかないと、こちらの活動に差障るんですよ」
「済まん。俺だけなら話す必要はないと思っていたが、フィオもだと判ったから、ノエルには言っておく」

 レオンとフィオナに前世の記憶がある件と、ゲームやラノベの世界に転生したと思ったフィオナがノエルをヒロイン認定していた事、更に「びーえる」の意味を話すと、ノエルは笑いを堪えて肩を震わせる。
「それで、フィオナ様が悪役令嬢?で、私がヒロインで、レオン殿下と、こっ…恋人…同士に…」
「まあ、前世ではそういう創作物が沢山あったからな…もう素直に笑った方が良いぞ」
 レオンは書類にサインをしながら言う。
「くっ。あはははは。…ああ、やっぱりフィオナ様好きだなぁ」
 ノエルがひとしきり笑った後で息を吐きながら言うと、レオンはサインの手を止めた。
「ん?それは聞き捨てならないな」
 ノエルはレオンを見るとニコリと笑う。
「さすがにレオン殿下から奪おうとも奪えるとも思いませんが、あのまま婚約解消してくれれば良かったのにな、とは思います」
「ほう」
「まあ、フィオナ様はレオン殿下の隣で『無理~』『嫌~』と言っている時が一番かわいらしいので、これからもその様子を堪能させていただきますが」
「…良いとも悪いとも言いにくいな、それは」
 レオンはそう言いながらノエルを見る。
「まあ、無理無理イヤイヤ言いながらも俺のために頑張ろうとする処は確かにすごくかわいいな」
 俺のために、に少し力を込めて言うと、ノエルは苦笑いして肩を竦めた。

「ああ、ひとつ今の話で有益な情報がありました」
「有益な情報?あったか?」
「はい。私は今まで諜報活動でその必要がある時は、相手が男の場合は女装して近付いていましたが、男のままで男を籠絡するのもアリなのだなと認識を改めました」
 ノエルはにっこり笑った。

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「フィオ、何でノエルに同性と異性どちらが好きかって聞いたんだ?」
「レ、レオン様、近!近いです」
 フィオナを寮の部屋のソファで隣に座らせ、レオンはフィオナにぐっと顔を近付ける。
「フィオ、実は気付いてるんだろ?」
「何ですか?あ…顎を掴むのやめてください!」
「ノエルがフィオを好きな事」
「…知りません」
 フィオナはレオンから目を逸らす。
「目が泳いでる」
 レオンの言葉に、フィオナはレオンを真っ直ぐ見つめた。
「…私、そんなに鈍くないですから」
 つまり、ノエルが男女どちらが好きでも自分には影響はないよと言う消極的意思表示だ。
 少し口を尖らせながら言うフィオナに、レオンはチュッと口付けた。
「あああ、顎クイでチューとか、どこの漫画のヒーローですか!?」
 フィオナが赤くなって慌てる様子にレオンは満足気に微笑む。
「フィオみたいに面白かわいい令嬢他にいないから、ノエルは見る目があるな」
「何で私の形容詞は『面白い』なんですかね?面白くしようとしてる訳じゃないんだけどな…」
「面白くて、かわいい、だぞ」
 レオンはフィオナの顔を覗き込む。フィオナの顎を持ったままだ。
「…恥ずかしいんでそろそろ離してください」
「名残惜しいが、本気で我慢が効かなくなるから仕方ないな」
 レオンは人差し指でフィオナの頬を撫でてから手を離す。
「どうしてそうやってさり気なく恥ずかしい事するんですか…」
 撫でられた頬を押さえて赤面するフィオナ。
「こうやって赤くなるフィオがかわいいからに決まってるだろ」
 レオンは両手でフィオナの頬を包む。
「がっ…我慢はどうしたんですか!?」
「キスだけで我慢する」
 フィオナの顔を覗き込んで、じっと目を見る。
「当たり前ですよ!ここ寮ですよ!?」
「寮だから駄目?」
「そういう意味じゃなく」
 フィオナは赤くなりながらレオンを睨んだ。
「ああ…やっぱりフィオはかわいいな」
 そう言って微笑むと、顔を近付ける。
「…やっぱりレオン様は狡いです…」
 フィオナはそう言いながらそっと目を閉じた。









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