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日差しを遮る大きな傘を持ち、手漕ぎボートに乗るニーナ。向かいでオールを持っているのはテオバルトだ。
王家の避暑地の湖でボート遊びしてるなんて、一年前…半年前の私には想像すらできなかったな。
更に前世を思い出すとか、莉音が同じ世界に転生してるとか、シンデレラと友達になるとか……あーコレって全部話したら確かに「頭おかしい」と思われるだろうなあ…
ニーナはキラキラした湖面を見つめた。
特別って…転生者としてって…
気を抜けばリオンが言った言葉が頭に浮かぶ。
…いくら考えたってリオン殿下の真意なんてわからないんだから、わからない事は考えない!
自分の心にそう言って、ニーナは首を横に振った。
「ニーナちゃんはリオンを好きなの?」
ガタンッ。
テオバルトの台詞にニーナはボートの椅子から落ちかけ、傘を湖に落としそうになり、慌てて柄を握り直す。
「なんっ!?」
「非常にわかりやすく動揺したね」
クスクス笑いながらオールを動かすテオバルト。
「好きって言うか、リオン殿下は私の『推し』なんです」
座り直しながらニーナは言った。
「おし?」
「そうです。特別に応援してる相手の事です」
特別。
私にとってリオン殿下…莉音は特別に応援してる相手で間違いない。
リオン殿下にとっての「特別」も、深い意味はなくて、同じ転生者だからってだけなのかも…
「それは恋愛感情とは違うという解釈で良いのかな?」
手を止めて、ニーナをじっと見るテオバルト。
「…はい」
莉音を推す気持ちと、リオン殿下を推す気持ち、全く同じじゃないから、もしかしてリオン殿下への気持ちはガチ恋に近いのかも。
でも…恋愛感情とは言い切れないから…
そう思いながら頷くニーナ。
「だったらもちろんニーナちゃんとしては『特別に応援しているリオン殿下』に立派な王になって欲しいよね?」
「はい」
うん。それは間違いない。
ニーナの返事を聞いて、テオバルトはにっこりと笑う。
「じゃあニーナちゃん、やっぱり俺の恋人になって」
「…?リオン殿下が立派な王様になるのと、私がテオバルト様の恋人になるの、どう関係があるんですか?」
首を傾げるニーナにテオバルトは手を差し出した。
「ニーナちゃんが言った通り、俺はニーナちゃんをリオンに近付けたくない。リオンがニーナちゃんを好きになればリオンは王子の立場を捨ててしまうかも知れないからね。俺としては叔父のためにもそういう事態を予防したいんだよ」
テオバルトは笑顔のまま、ニーナの手を取ると指先に口付ける。
「手にキスなんて初めてされました。…令嬢になった気分」
キスされた指先をじいっと見ながらニーナが言うと、テオバルトは「ははっ」と笑った。
「ニーナちゃん、男爵令嬢だよね?」
「そうでした」
元々親を亡くして孤児院にいたんだし、前世はド庶民の中流階級一般家庭の子だし、男爵家の養女になって一応貴族としてのマナーとかは習ったけど「令嬢」になった自覚ってあんまりないんだよね。
テオバルトは面白そうにクスクスと笑っている。
「あの…テオバルト様の叔父様って、王弟殿下ですよね?」
「そうだよ。俺の父の妹の夫、クラーク・ルーセント王弟殿下。今はクラーク・ホーツマン公爵閣下だね」
頷いてテオバルトが言った。
「その公爵閣下が、リオン殿下が王子の立場を捨てないように?テオバルト様に私を恋人にしろって言ったんですか?」
「叔父上はそんな事言わないよ。叔父上はただ『自分は王になどなりたくない』と常日頃言っているだけ」
ニコリと笑うテオバルト。
王になどなりたくない、か。だから「王子と男爵令嬢の恋」を未然に阻止しようとテオバルト様が考えての「恋人になって」って事なのね。
「…王位に近い方たちって皆んな王になりたいんだと思ってました」
ニーナが小声で言うと、テオバルトは笑う。
「ははは。まあそういう話も多いけど、叔父上は違う。心底『そんな面倒な立場になりたくない』と思ってるんだ。根っからの自由人だから」
「そうなんですか…まあでもテオバルト様が私を恋人にしたいほど好きだとは思えなかったので、むしろその理由には納得しました」
「ニーナちゃん、最初から信じてなかったよね。だからもう本当の理由を言った方が良いかと思って」
テオバルトが苦笑いをしながら肩を竦めて言った。
日差しを遮る大きな傘を持ち、手漕ぎボートに乗るニーナ。向かいでオールを持っているのはテオバルトだ。
王家の避暑地の湖でボート遊びしてるなんて、一年前…半年前の私には想像すらできなかったな。
更に前世を思い出すとか、莉音が同じ世界に転生してるとか、シンデレラと友達になるとか……あーコレって全部話したら確かに「頭おかしい」と思われるだろうなあ…
ニーナはキラキラした湖面を見つめた。
特別って…転生者としてって…
気を抜けばリオンが言った言葉が頭に浮かぶ。
…いくら考えたってリオン殿下の真意なんてわからないんだから、わからない事は考えない!
自分の心にそう言って、ニーナは首を横に振った。
「ニーナちゃんはリオンを好きなの?」
ガタンッ。
テオバルトの台詞にニーナはボートの椅子から落ちかけ、傘を湖に落としそうになり、慌てて柄を握り直す。
「なんっ!?」
「非常にわかりやすく動揺したね」
クスクス笑いながらオールを動かすテオバルト。
「好きって言うか、リオン殿下は私の『推し』なんです」
座り直しながらニーナは言った。
「おし?」
「そうです。特別に応援してる相手の事です」
特別。
私にとってリオン殿下…莉音は特別に応援してる相手で間違いない。
リオン殿下にとっての「特別」も、深い意味はなくて、同じ転生者だからってだけなのかも…
「それは恋愛感情とは違うという解釈で良いのかな?」
手を止めて、ニーナをじっと見るテオバルト。
「…はい」
莉音を推す気持ちと、リオン殿下を推す気持ち、全く同じじゃないから、もしかしてリオン殿下への気持ちはガチ恋に近いのかも。
でも…恋愛感情とは言い切れないから…
そう思いながら頷くニーナ。
「だったらもちろんニーナちゃんとしては『特別に応援しているリオン殿下』に立派な王になって欲しいよね?」
「はい」
うん。それは間違いない。
ニーナの返事を聞いて、テオバルトはにっこりと笑う。
「じゃあニーナちゃん、やっぱり俺の恋人になって」
「…?リオン殿下が立派な王様になるのと、私がテオバルト様の恋人になるの、どう関係があるんですか?」
首を傾げるニーナにテオバルトは手を差し出した。
「ニーナちゃんが言った通り、俺はニーナちゃんをリオンに近付けたくない。リオンがニーナちゃんを好きになればリオンは王子の立場を捨ててしまうかも知れないからね。俺としては叔父のためにもそういう事態を予防したいんだよ」
テオバルトは笑顔のまま、ニーナの手を取ると指先に口付ける。
「手にキスなんて初めてされました。…令嬢になった気分」
キスされた指先をじいっと見ながらニーナが言うと、テオバルトは「ははっ」と笑った。
「ニーナちゃん、男爵令嬢だよね?」
「そうでした」
元々親を亡くして孤児院にいたんだし、前世はド庶民の中流階級一般家庭の子だし、男爵家の養女になって一応貴族としてのマナーとかは習ったけど「令嬢」になった自覚ってあんまりないんだよね。
テオバルトは面白そうにクスクスと笑っている。
「あの…テオバルト様の叔父様って、王弟殿下ですよね?」
「そうだよ。俺の父の妹の夫、クラーク・ルーセント王弟殿下。今はクラーク・ホーツマン公爵閣下だね」
頷いてテオバルトが言った。
「その公爵閣下が、リオン殿下が王子の立場を捨てないように?テオバルト様に私を恋人にしろって言ったんですか?」
「叔父上はそんな事言わないよ。叔父上はただ『自分は王になどなりたくない』と常日頃言っているだけ」
ニコリと笑うテオバルト。
王になどなりたくない、か。だから「王子と男爵令嬢の恋」を未然に阻止しようとテオバルト様が考えての「恋人になって」って事なのね。
「…王位に近い方たちって皆んな王になりたいんだと思ってました」
ニーナが小声で言うと、テオバルトは笑う。
「ははは。まあそういう話も多いけど、叔父上は違う。心底『そんな面倒な立場になりたくない』と思ってるんだ。根っからの自由人だから」
「そうなんですか…まあでもテオバルト様が私を恋人にしたいほど好きだとは思えなかったので、むしろその理由には納得しました」
「ニーナちゃん、最初から信じてなかったよね。だからもう本当の理由を言った方が良いかと思って」
テオバルトが苦笑いをしながら肩を竦めて言った。
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