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公爵様、ずっと黙って歩いてるけど、私をどこへ連れて行くつもりなんだろ?
「……どこの……」
「……誰……」
「……婚約者……」
ヒソヒソと、でもザワザワと周りが何かを囁き合っているが、気にしても仕方ないとニーナは敢えて耳に入れない事にした。
だって、どうせ公爵様も聞いても答えてくれないだろうし。それなら王城の大広間での舞踏会に出るなんて機会は二度とないんだから、色々見なくちゃもったいないもん。
それに、一昨日から疑問ばっかりで地味にストレス溜まってるし、来たからにはリオン殿下の舞踏会スタイルも目に焼き付けてやるわ。
そう心の中で意気込んだニーナは舞踏会の会場である大広間を観察し始める。
頭を動かしてあからさまにキョロキョロはできないから目だけで。でもそれもバレないように最低限で…見える範囲狭いなあ。仕方ないけどさ。
あーシャンデリアもキラキラ綺麗だなあ。あれガラスじゃないよね?宝石?
一番奥には階段があるんだ。舞台の大階段みたい。
壁にはバルコニー?前世でも画像でしか見た事ないけどオペラ座がこんな感じだったような。
あと広いなあ。
それに人がたくさんいる。
もちろん若い女性もいるけど、テオバルト様やジェラルド様みたいな上位貴族の若い男性も結構いるみたいね。
「さあ、ニーナ嬢。また綺麗な礼を頼むよ」
クラークが口を開き、視線だけで会場内を観察していたニーナはクラークが手で示す先を見た。
気が付けば大階段の近くまで来ていて、階段の下の広いスペースは舞台のようにニーナたちの立つフロアより高くなっている。
そのスペースには三人の人物が並んで椅子に座っていた。
「!」
三人の内、ニーナたちの方から見ると右の椅子に座っているのはリオンだ。
令嬢とその付き添いの者が舞台の前に並び、一組づつ舞台へ上がり挨拶をしている。
ドックンッ!
ニーナの心臓が大きく鳴った。
リオン殿下だわ。
という事は挨拶してる人の影でよく見えないけど、真ん中の椅子が国王陛下で、左の椅子が王妃殿下よね?
ドクンッ。
リオン殿下、白に金の装飾と刺繍の入った夜会服でカッ…カッコいい~~!
ドクンッ。
髪も後ろに流しててカッコいい!
ドクンッ。
あ…こっち向い…
パチンと視線が合う。
「!」
ドッッックンッ!!
うわ!心臓が飛び出る!
リオンはほんの少し口角を上げると、またニーナから視線を逸らして目の前の令嬢と話し始めた。
ああ~ただでもうるさかった心臓が余計にぃ~
ド、ドキドキしすぎて息が苦しくなって来た…
ニーナは自分の胸を手で押さえて俯く。
「……ふーん」
クラークがリオンを見て、それからニーナを見て、片眉を上げた。
「なるほど…」
小声で呟く。
「?」
クラークの呟きを聞き取れなかったニーナが顔を上げた。
平静を装うニーナの頬がほんのり赤いのを確認すると、クラークは自分の腕の上に置かれたニーナの手を反対の手でポンポンと軽く叩く。
「よし。では行こう」
クラークは笑顔で歩き出した。
ニーナを連れて、クラークは舞台の正面の階段前に並んでいる令嬢とその付き添いの列を横目に通り過ぎると、舞台の端にある階段の前で立ち止まる。
え?もしかしてここから舞台に上がるの?
並んでる皆さんの順番抜かして?
…まあでも公爵様は国王陛下の弟なんだから、他の貴族の後ろに並ぶっていうのも違うのか。
いや、それはいい。
それはいいけど、もしかして、私、このままだと公爵様と一緒に舞台に上がる事になるんじゃ…?
それで、国王陛下や王妃殿下やリオン殿下に挨拶を……?いやいやいや!招待された令嬢でもないのに、それはさすがにマズイでしょ!?
クラークが一歩階段の方へ足を踏み出したが、ニーナは立ち止まったままで、クラークの腕に乗せた手にストップを掛けるように力を入れた。
ニーナの方を見るクラークに、ニーナはフルフルと小さくも何度も首を横に振る。
大きく首を振ったり、声に出して「待って」と言ったりしないニーナにクラークは感心したように頷いた。
「私の対面や立場を考えてくれているんだね?」
ニーナにだけ聞こえるように言う。
それもあるけど、周りの視線も怖いし、迂闊な事言ったりしたりできないだけですよ!
クラークは、ニーナの手をさっきのようにまたポンポンと叩いた。
「ニーナ嬢、大丈夫だから私に合わせて」
ニコリと笑う。
…あ、ダメだ。これはこのまま連れて行かれるパターンだ。
仕方ない。もう開き直るしかないわ。
階段を上がると、令嬢の挨拶が終わったタイミングでクラークはニーナを連れて王妃と国王の前に立った。
リオンが心配そうにニーナを見ていたが、ニーナは緊張で倒れそうな自分を立たせておくのに必死で気付いていない。
クラークはそんなニーナの背中に手を添えて言った。
「兄上、こちらがニーナ・メンテルス公爵令嬢です」
公爵様、ずっと黙って歩いてるけど、私をどこへ連れて行くつもりなんだろ?
「……どこの……」
「……誰……」
「……婚約者……」
ヒソヒソと、でもザワザワと周りが何かを囁き合っているが、気にしても仕方ないとニーナは敢えて耳に入れない事にした。
だって、どうせ公爵様も聞いても答えてくれないだろうし。それなら王城の大広間での舞踏会に出るなんて機会は二度とないんだから、色々見なくちゃもったいないもん。
それに、一昨日から疑問ばっかりで地味にストレス溜まってるし、来たからにはリオン殿下の舞踏会スタイルも目に焼き付けてやるわ。
そう心の中で意気込んだニーナは舞踏会の会場である大広間を観察し始める。
頭を動かしてあからさまにキョロキョロはできないから目だけで。でもそれもバレないように最低限で…見える範囲狭いなあ。仕方ないけどさ。
あーシャンデリアもキラキラ綺麗だなあ。あれガラスじゃないよね?宝石?
一番奥には階段があるんだ。舞台の大階段みたい。
壁にはバルコニー?前世でも画像でしか見た事ないけどオペラ座がこんな感じだったような。
あと広いなあ。
それに人がたくさんいる。
もちろん若い女性もいるけど、テオバルト様やジェラルド様みたいな上位貴族の若い男性も結構いるみたいね。
「さあ、ニーナ嬢。また綺麗な礼を頼むよ」
クラークが口を開き、視線だけで会場内を観察していたニーナはクラークが手で示す先を見た。
気が付けば大階段の近くまで来ていて、階段の下の広いスペースは舞台のようにニーナたちの立つフロアより高くなっている。
そのスペースには三人の人物が並んで椅子に座っていた。
「!」
三人の内、ニーナたちの方から見ると右の椅子に座っているのはリオンだ。
令嬢とその付き添いの者が舞台の前に並び、一組づつ舞台へ上がり挨拶をしている。
ドックンッ!
ニーナの心臓が大きく鳴った。
リオン殿下だわ。
という事は挨拶してる人の影でよく見えないけど、真ん中の椅子が国王陛下で、左の椅子が王妃殿下よね?
ドクンッ。
リオン殿下、白に金の装飾と刺繍の入った夜会服でカッ…カッコいい~~!
ドクンッ。
髪も後ろに流しててカッコいい!
ドクンッ。
あ…こっち向い…
パチンと視線が合う。
「!」
ドッッックンッ!!
うわ!心臓が飛び出る!
リオンはほんの少し口角を上げると、またニーナから視線を逸らして目の前の令嬢と話し始めた。
ああ~ただでもうるさかった心臓が余計にぃ~
ド、ドキドキしすぎて息が苦しくなって来た…
ニーナは自分の胸を手で押さえて俯く。
「……ふーん」
クラークがリオンを見て、それからニーナを見て、片眉を上げた。
「なるほど…」
小声で呟く。
「?」
クラークの呟きを聞き取れなかったニーナが顔を上げた。
平静を装うニーナの頬がほんのり赤いのを確認すると、クラークは自分の腕の上に置かれたニーナの手を反対の手でポンポンと軽く叩く。
「よし。では行こう」
クラークは笑顔で歩き出した。
ニーナを連れて、クラークは舞台の正面の階段前に並んでいる令嬢とその付き添いの列を横目に通り過ぎると、舞台の端にある階段の前で立ち止まる。
え?もしかしてここから舞台に上がるの?
並んでる皆さんの順番抜かして?
…まあでも公爵様は国王陛下の弟なんだから、他の貴族の後ろに並ぶっていうのも違うのか。
いや、それはいい。
それはいいけど、もしかして、私、このままだと公爵様と一緒に舞台に上がる事になるんじゃ…?
それで、国王陛下や王妃殿下やリオン殿下に挨拶を……?いやいやいや!招待された令嬢でもないのに、それはさすがにマズイでしょ!?
クラークが一歩階段の方へ足を踏み出したが、ニーナは立ち止まったままで、クラークの腕に乗せた手にストップを掛けるように力を入れた。
ニーナの方を見るクラークに、ニーナはフルフルと小さくも何度も首を横に振る。
大きく首を振ったり、声に出して「待って」と言ったりしないニーナにクラークは感心したように頷いた。
「私の対面や立場を考えてくれているんだね?」
ニーナにだけ聞こえるように言う。
それもあるけど、周りの視線も怖いし、迂闊な事言ったりしたりできないだけですよ!
クラークは、ニーナの手をさっきのようにまたポンポンと叩いた。
「ニーナ嬢、大丈夫だから私に合わせて」
ニコリと笑う。
…あ、ダメだ。これはこのまま連れて行かれるパターンだ。
仕方ない。もう開き直るしかないわ。
階段を上がると、令嬢の挨拶が終わったタイミングでクラークはニーナを連れて王妃と国王の前に立った。
リオンが心配そうにニーナを見ていたが、ニーナは緊張で倒れそうな自分を立たせておくのに必死で気付いていない。
クラークはそんなニーナの背中に手を添えて言った。
「兄上、こちらがニーナ・メンテルス公爵令嬢です」
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