双子の王子と悪役令嬢な私。そしてヒロインは男の子。

ねーさん

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 乙女ゲーム『生徒会シリーズ』は、中世ヨーロッパのような王制、貴族社会、舞踏会、ドレス、などのヒストリカルな世界で繰り広げられる恋愛シミュレーションゲームで、似たようで少し違う登場人物で、似たようで少し違う世界をプレイするパラレルワールド的世界観のシリーズが三作リリースされていた。
「恋する生徒会」は乙ゲー初心者向けで主人公ヒロインはローズ。
「愛しの生徒会」は「恋する」より少し上級者向けで主人公はローゼ。
「溺愛生徒会」の主人公ロードは男子生徒で、攻略対象者が男女混合。お色気シーンあり、B Lありバージョンだ。

「アレン殿下は転生者で、生まれ変わる前の世界で乙女ゲームというのをしていて、そのゲームの世界が今私たちが居る世界?」
 パトリシアは首を傾げながら言う。
 …わからない。正直わからないけど、アレン殿下がわざわざ私を呼び止めてまで話してくれてるんだもの。できるだけ理解したい。
 アレンは「ああ」と頷いた。
「主人公を操って攻略対象者と恋をするゲーム?でしたっけ?」
「そうだ。スマホやPCで…と言ってもわからないな。そうだな…小説などの主人公になって、攻略対象者の中から恋愛相手を選んで、仲を深めて行き、最終的にはその攻略対象者の婚約者や恋人を退けて結ばれるまでの擬似体験をして楽しむゲームだ」
「自分で恋愛相手を選ぶ?」
「七人の攻略対象者から一人を選ぶ」
「七人?」
「生徒会役員五人、生徒会顧問の教師、王太子の七人だ」
「王太子殿下も?…と、言うか…主人公は男子なんですよね?」
「ああ」
「なのに王太子殿下が攻略対象者になるんですか?…ううん。レスター殿下だけじゃなくて、生徒会長のアレン殿下も副会長のアランもだし、会計の人も男性ですよね?」
 ますます首を大きく傾げるパトリシア。
「もう一人の副会長はパトリシアの兄フレデリックの婚約者で、もちろん女性。後は書記と顧問が女性だな。つまり攻略対象者七人中、男性四人、女性三人と言う、とてもBL色の強いゲームなんだ」
「びーえる?」
「男同士の恋愛の事だ」
 事もなげに言うアレンに、パトリシアは目を見開く。
「…な、何でアレン殿下は前世でこのゲームを…?」
 まさか、前世のアレン殿下は男色家だったとか?
「前世で彼女がこのゲームにハマっていて、主人公が男性で、攻略対象者の中に前世の俺と同じ名前の者が居るから、感情移入しやすいだろうと勧められたからだが…パトリシア、俺は前世も今も同性愛者ではないぞ」
 憮然とした表情で言うアレン。
 パトリシアはアレンの言葉の違う部分に反応を示す。
「…彼女」
 彼女って、恋人の事よね?
「ああ。高校生…こちらで言えば学園生の頃付き合っていた女性がいて、その子がこのゲームが好きで…パトリシア?」
「……」
 前世の話よ。
 でも、恋人…
「…前世はこちらの世界のように男女交際に厳しくはなかったからな。政略結婚などもないし。自由恋愛だ」
「自由恋愛…」
 男女が二人きりになるとあらぬ噂を立てられたり、親から決められた相手と結婚するのが当たり前だったりするのとは違って、好きな相手と好きに交際できる世界?
 ここがもしもそんな世界だったら…
 って、そんな事考えたって仕方ないないわね。

「その、主人公…ロード?さんが学園に編入して来て、生徒会役員方と恋愛をするんですよね?」
「ああ…ただ、ゲームと違ってヒロインを操れる訳ではないから、ロード・フェアリが誰を選ぶのかはわからない」
「じゃあ、ロードさんが同性を選ぶ可能性もある…?」
「可能性はある」
 じゃあもし、アレン殿下やアランが選ばれたら?

「俺は十四の誕生日に…前世を思い出した」
 アレンは俯いて言う。
「誕生日に?」
「…ある事がきっかけで、記憶が一気に甦って…ここがゲームの世界だと気付いたんだ」
「きっかけ?」
「……」
 アレンは黙って俯いている。
 きっかけについては話さないって事かな?
 パトリシアはそう悟って話を変える事にする。
「何故私にその前世のゲームの話をされたのですか?」
「…それは」
 アレンが顔を上げて真っ直ぐにパトリシアを見た。
「そのゲームが、R18のゲームだからだ」
「…あーるじゅうはち?」
 これ、何の呪文?
 アレン殿下の真剣な表情は、一体何?
「十八歳未満の者はそのゲームを出来ないと言う年齢制限があるんだ」
「年齢制限?」
「つまり…若年層に悪影響を与える表現が用いられている」
「悪影響?」
「…所謂…性的な表現が、ある」
 ……それは、ヒロインと攻略対象者たちが、そっ…そう言う触れ合いをすると、言う、事?
 目を見開くパトリシアに、アレンは言った。
「主人公と攻略対象者だけではない。悪役令嬢たちも、例外ではないんだ」

 ……それは、つまり。

「パトリシア!?」
 パトリシアの耳に届くアレンの声が、段々と遠くなって行った。


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