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やめてくれ、ロード!俺のパトリシアに手を出すな!
「俺がなびかないからって、婚約者を俺から遠ざけようとするなんて…」
怒りで震える拳を改めて握りしめて、目の前に座り込む男を睨みつける。
女の子の様にかわいらしい顔をした男は、殴られて赤くなった頬を押さえるでもなく、俺を上目遣いに見ながら切れた唇の端に滲んだ血をペロリと舐めた。
「パトリシアの方から俺に近付いて来たんだよ?アラン」
「そんな事ある訳ない」
「まあパトリシアも、婚約者に俺を近付けないために、俺に身体を差し出したんだから、健気っちゃー健気だよねぇ」
男はゆらりと立ち上がると、俺の前に立つ。
「…アランが王子の矜持なんて捨てて、俺に落ちてくれるなら、もうパトリシアとは寝ないよ」
「そんな…事しても…」
一度でも、パトリシアがこの男と…その事実は、消えない。
ハッ!
と、目が覚める。
またこの夢か。
「…もうこのシーン夢に見るのヤなんだけどなあ」
ベッドから起き上がると、カーテンの隙間から外を見る。
「まだ明けないか」
窓の向こうに暗闇。窓に写る自分の顔。
その顔は目が大きくてかわいい、夢の中で蠱惑的に唇を舐めていたのと同じ顔だった。
-----
「レスター殿下、またお目に掛かれて嬉しいです」
「ロード・フェアリ、遠くに呼び出して済まないな」
ソファに座り足を組むレスター。背後の大きなバルコニーの向こうには大きな湖が見える。
ここは王家の所領、王族が休暇に訪れる保養地だ。
「いえ、レスター殿下の休暇に呼んでいただけて嬉しいです。どうぞロードとお呼びください」
レスターの前に跪いてロードが頭を下げる。
「私はここでこれから一か月の休暇だ。ロードも好きなだけ滞在すると良い。一週間後にはフレデリックが来るし、その一週間後にはフレデリックと入れ替わりにミッチェルが来る」
「ありがとうごさいます。ただこちらに滞在させていただく間、学園の薬草畑の世話をライネル…友人に代わってもらっているのであまり長くは…」
レスターはロードに自分の向かい側のソファに座るように手で促す。
ロードは立ち上がるとソファに腰掛けた。
本当は、王都に居たかったけど…レスターに呼んでもらえたこの機会を逃す訳にはいかないし、ジュリアナ経由ではなかなかフレデリックとの接点が持てなかったし、この機にレスターをモノにして、フレデリックにも揺さぶりを掛けておきたい。
「ああ、アランが作ったと云う薬草畑か。外国から珍しい薬草の種や苗を仕入れて育てていると聞いたが」
「はい」
「どんな薬草があるんだ?」
「例えば…」
植えてある薬草の特徴を書き出した紙や、薬草の本などで説明をするロード。身を乗り出してそれを見ていたレスターは
「まどろっこしいな。ロード、こちらに来い」
と言い、自分の隣を指差す。
「…良いのですか?」
「ここは王城ではないから、不敬と咎める者もいない」
ふと周りを見ると、先程まで部屋の隅に控えていた侍従や侍女も居なくなっていた。
レスターの隣に移動し、ひとしきり薬草について語り合った後、ふと訪れた沈黙。それを破ったのはレスターだった。
「…ロード」
「はい」
「お前が側に居ると、心臓が煩い」
「…それは」
レスターはロードの手を取ると、自らの胸に押し当てた。
ドクドクと速い鼓動がレスターの手の平に伝わる。
「これが『運命』なのか?」
ロードはレスターの目を見つめながらゆっくりと頷く。
「…そうです」
そのまま顔を近付ける。
「好きです。レスター殿下…」
「この場面で『殿下』は野暮だろ」
唇を押し当てると、薄く開いた唇に舌を差し込む。
「…レスター…好きです…」
「ロード…」
キスをしながらゆっくりとレスターをソファに押し倒す。
すると、レスターが互いの顔の間に手を差し入れ、ロードの口元を押さえた。
「さすがに王太子が組み敷かれる訳にはいかないな」
ロードの胸元を押し、立ち上がると、唇をペロリと舐めるレスター。
「レスター…」
見上げるロードへ流し目を送ってレスターは扉の方へ歩き出す。
「ここに滞在する間に私をその気にさせられると良いな」
レスターは口角を上げて挑発するようにロードを見ると、部屋を出て行った。
やめてくれ、ロード!俺のパトリシアに手を出すな!
「俺がなびかないからって、婚約者を俺から遠ざけようとするなんて…」
怒りで震える拳を改めて握りしめて、目の前に座り込む男を睨みつける。
女の子の様にかわいらしい顔をした男は、殴られて赤くなった頬を押さえるでもなく、俺を上目遣いに見ながら切れた唇の端に滲んだ血をペロリと舐めた。
「パトリシアの方から俺に近付いて来たんだよ?アラン」
「そんな事ある訳ない」
「まあパトリシアも、婚約者に俺を近付けないために、俺に身体を差し出したんだから、健気っちゃー健気だよねぇ」
男はゆらりと立ち上がると、俺の前に立つ。
「…アランが王子の矜持なんて捨てて、俺に落ちてくれるなら、もうパトリシアとは寝ないよ」
「そんな…事しても…」
一度でも、パトリシアがこの男と…その事実は、消えない。
ハッ!
と、目が覚める。
またこの夢か。
「…もうこのシーン夢に見るのヤなんだけどなあ」
ベッドから起き上がると、カーテンの隙間から外を見る。
「まだ明けないか」
窓の向こうに暗闇。窓に写る自分の顔。
その顔は目が大きくてかわいい、夢の中で蠱惑的に唇を舐めていたのと同じ顔だった。
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「レスター殿下、またお目に掛かれて嬉しいです」
「ロード・フェアリ、遠くに呼び出して済まないな」
ソファに座り足を組むレスター。背後の大きなバルコニーの向こうには大きな湖が見える。
ここは王家の所領、王族が休暇に訪れる保養地だ。
「いえ、レスター殿下の休暇に呼んでいただけて嬉しいです。どうぞロードとお呼びください」
レスターの前に跪いてロードが頭を下げる。
「私はここでこれから一か月の休暇だ。ロードも好きなだけ滞在すると良い。一週間後にはフレデリックが来るし、その一週間後にはフレデリックと入れ替わりにミッチェルが来る」
「ありがとうごさいます。ただこちらに滞在させていただく間、学園の薬草畑の世話をライネル…友人に代わってもらっているのであまり長くは…」
レスターはロードに自分の向かい側のソファに座るように手で促す。
ロードは立ち上がるとソファに腰掛けた。
本当は、王都に居たかったけど…レスターに呼んでもらえたこの機会を逃す訳にはいかないし、ジュリアナ経由ではなかなかフレデリックとの接点が持てなかったし、この機にレスターをモノにして、フレデリックにも揺さぶりを掛けておきたい。
「ああ、アランが作ったと云う薬草畑か。外国から珍しい薬草の種や苗を仕入れて育てていると聞いたが」
「はい」
「どんな薬草があるんだ?」
「例えば…」
植えてある薬草の特徴を書き出した紙や、薬草の本などで説明をするロード。身を乗り出してそれを見ていたレスターは
「まどろっこしいな。ロード、こちらに来い」
と言い、自分の隣を指差す。
「…良いのですか?」
「ここは王城ではないから、不敬と咎める者もいない」
ふと周りを見ると、先程まで部屋の隅に控えていた侍従や侍女も居なくなっていた。
レスターの隣に移動し、ひとしきり薬草について語り合った後、ふと訪れた沈黙。それを破ったのはレスターだった。
「…ロード」
「はい」
「お前が側に居ると、心臓が煩い」
「…それは」
レスターはロードの手を取ると、自らの胸に押し当てた。
ドクドクと速い鼓動がレスターの手の平に伝わる。
「これが『運命』なのか?」
ロードはレスターの目を見つめながらゆっくりと頷く。
「…そうです」
そのまま顔を近付ける。
「好きです。レスター殿下…」
「この場面で『殿下』は野暮だろ」
唇を押し当てると、薄く開いた唇に舌を差し込む。
「…レスター…好きです…」
「ロード…」
キスをしながらゆっくりとレスターをソファに押し倒す。
すると、レスターが互いの顔の間に手を差し入れ、ロードの口元を押さえた。
「さすがに王太子が組み敷かれる訳にはいかないな」
ロードの胸元を押し、立ち上がると、唇をペロリと舐めるレスター。
「レスター…」
見上げるロードへ流し目を送ってレスターは扉の方へ歩き出す。
「ここに滞在する間に私をその気にさせられると良いな」
レスターは口角を上げて挑発するようにロードを見ると、部屋を出て行った。
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