双子の王子と悪役令嬢な私。そしてヒロインは男の子。

ねーさん

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「いやっ!」
 身を捩るエリザベスの手首を掴むと耳の横のソファの座面に押し付ける。
「…ベスちゃん、さっき『汚されてアレン殿下に顔向けできなくなれば良い』って言ってたけど、それってパティだけじゃなくて、ベスちゃんにも当て嵌まるよね?」
 エリザベスの身体に馬乗りになって、口角を上げて言うロード。
「え?」
「ベスちゃんが汚されたら、アレン殿下に顔向けできなくなって直ぐに婚約解消してくれる?それともアレン殿下の方から婚約破棄されちゃうかな?」
 ロードの言葉にエリザベスは青褪めた。
「婚約破棄なんて…いや!」
 アレンからの婚約解消の申出を受け入れる時間が与えられている今、エリザベスが婚約解消に同意すれば、エリザベスは王子妃には劣るが相応の身分の相手とエリザベス優位な関係で婚姻を結ぶ事ができるだろう。
 しかしアレンからの婚約破棄となると、一気にエリザベスの立場は不利になる。更に理由がエリザベスの「不貞」となれば、アレンや王家がエリザベスの結婚相手を択る必要もなくなり、いかにボイル公爵家であってもまともな縁談が持ち込まれる可能性は低くなってしまうのだ。

「ロード様…どうして…?」
 手首を押さえられ、青い顔でロードを見つめるエリザベスにロードは笑顔から一転真剣な表情になった。
「さっき言った通りだよ。俺はパティが幸せになるのを、見たいんだ」
 その言葉に、エリザベスの顔が歪んで、眼に涙が浮かんだ。
「ベスちゃん?」
「……どうして…パティ、パティって皆…」
 顔だけを横に向けて、涙がポロポロと耳の方へと流れる。
 うわあ。ゾクゾクする。
 こんなの、刺激されるわ。俺のS心が。
「ベスちゃんパティが羨ましいの?」
「…っ!…そんな事!」
 顔を上に向けたエリザベスの唇に噛み付く様にキスをする。
「…やっ。んんっ」
 手首を片方離して、エリザベスの顎を掴むと、舌を差し入れた。
「ん、あ…いやぁ…」
 逃げようとする舌を舌で追いかけて絡ませる。
「…ん、や。…う…いゃ…」
 自由になった手で腕をポカポカと殴られる。痛くもないパンチ。震える手。かっわいい。
 
 歯列の裏から上顎まで舐めて、口を離す。
 はあはあと息をするベスちゃん。涙目で青い顔なのに頬が赤い。いやこれマジでかわいいぞ。
「キス下手だね。ベスちゃん。アレン殿下とはした事ないの?」
 それともアレンが下手なの?だとしたらパティがちょっと気の毒…まあそれはそれで二人で上達すれば良いのか。
「……なっ…」
 途端に赤くなるエリザベス。
 あ、何だ。した事ない方か。
「王子様はさすがに婚前交渉はしないだろうけど、婚約者なのにキスもしてないんだ?」
「……」
 わざと嫌味っぽく言うと、またエリザベスの眼に涙が浮かび上がる。
「よっぽどパティが好きだったのか、それともベスちゃんに魅力がなかったのかな?」
 自分の唇を舐めながら口角を上げる。
「!」
 エリザベスは涙が浮かぶ瞳でロードを睨み付けると、自由な方の手を振り上げた。
 パシンッ
 と音がして、エリザベスの掌がロードの頬に当たる。
「…ああ、ベスちゃんに殴ってもらえるなんて嬉しいなあ。もっと強くても良かったよ?」
 ロードはニヤリと笑う。
「へ…変態!」
 エリザベスは狼狽しながら言う。
「褒め言葉だ。それ」
 ロードはもう一度自分の唇を舐める。
「頑張って抵抗してね?その方が萌えるから」
 笑って言うと、またエリザベスの顎を掴んだ。
「やめて!大声出しますわよ!?」
「いいよ。多少の声じゃ誰も来ないし。人払いしてるって言ったでしょ?」
 恐怖に揺れる瞳。
「…嫌…」
 チュッと軽く唇を重ねる。
「やめて…」
「自分がされると、そんなに嫌な事、俺にパティへしろなんて、なかなかに酷いよね?ベスちゃんも」
「……」
「人を陥れようとする人は、同じ目に遭っても文句言っちゃいけないと思うな」
 赤い髪を避けて首筋をペロリと舐める。
 エリザベスのたわわな胸を服の上から掴んだ。
「ひっ」
 引き攣った声が漏れて、エリザベスは真っ青な顔で、自由な手を握りぶるぶると震えていた。

 あー俺を引っ叩くベスちゃんも、怯えた眼をしたベスちゃんも、マジでかわいい。
 …扉閉めて鍵掛けちゃおうかなあ。が入らない様に。

「エリザベス!」

 部屋に男の声が響く。
 ああ、来ちゃったか。
 息を切らせて開けたままの部屋の扉の前に立つ、紫の髪と瞳の男。
 …パティの時を思い出すなあ。



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