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アランとロードが薬草畑のあった花壇に近付くと、そこに植えられた花の中にライネルが立っていた。
「ライネル…」
ロードが呟くと、ライネルが二人に気が付いた。
「ロード、アラン殿下も」
「…この花はライネルが?」
ロードが聞くとライネルは頷く。
「はい。ビビアンはオレンジ色が好きだったので、オレンジの花が年中咲く様にしています」
「……ごめん」
ロードはそう言うと、地面に膝をついた。
「ロード」
「俺…俺のせいでライネルにもアラン殿下にも一生の十字架を背負わせてしまった」
「いや、それは違う。な、ライネル」
アランはロードの肩に手を置く。
「はい、そうです。ねえロード、俺はロードのせいだなんて思ってないよ?」
「……」
地面に手をついて項垂れるロード。
「あ、そうだ。俺、将来神官になろうと思っているんです」
「神官?」
「はい。ビビアンのために祈り続けたい気持ちと、俺たちの様に罪を犯した人に寄り添いたい気持ちがあって…学園を卒業して刑に服し終わったら神学校へ行こうかと」
「そうか…」
「……」
「もちろん、もう恋愛しないなんて思ってはいませんよ?神官だって妻帯できるんですしね」
ロードは顔を上げてライネルを見る。
「今はまだ考えられないけど、俺だって幸せになりたいもん。ロードやアラン殿下にも幸せになって欲しいんだ」
ライネルはそう言って穏やかに微笑んだ。
-----
「え?婚約?」
父であるデンゼル侯爵の執務室に呼ばれたパトリシアは、父から渡された書簡を見て思わず声を上げた。
そこには「第二王子アレン・ルーセントの正妃として、デンゼル侯爵家長女パトリシアを召し上げる」と書かれている。つまりアレンとパトリシアの婚約を告げる文書だ。
「…まだ卒業パーティーでアレンとエリザベス様の婚約破棄を宣言してから二週間しか経っていないのに?」
目を丸くして文書を眺めるパトリシアに、父は苦笑いを浮かべた。
「パットは先週アレン殿下が議会の役員会議に呼ばれた事は知っているのか?」
「え?」
「知らないのか。その会議でアレン殿下がエリザベス・ボイル公爵令嬢との婚約破棄とパットとの婚約について説明をされたそうだ。私は役員でないからその会議には出ていないが、そこで『いかに昔からパトリシアを愛しているか』を熱弁されたと聞いたぞ」
父はニヤリと笑ってパトリシアを見た。
「……え?ええ!?」
熱弁!?いかに私をあ、愛してるか!?
「まあ説得のために大袈裟に話された部分はあるんだろうがな」
そう言えば、レスター殿下が「アレンとパトリシアは『不貞ではなく初恋で純愛だ』と国王陛下と議会にどこまで示せるかだ」って仰っていたわ。だからアレンはそれを示したって事で…
でも恥ずかしすぎる!
「レスター殿下の婚儀はこの秋に決まっているが、アレン殿下が早く結婚しないとアラン殿下もできないからな。アラン殿下は何も仰りはしないが、そこも考慮されて早くにパットとの婚約が決まったと言う事だ。まあこの決定も議会を通っただけで、教会の許可についてはボイル公爵令嬢との婚約解消にも、パットとの婚約や婚姻にもまだまだ時間が掛かるだろう。いわば内定と言う処だな」
コンコンとノックの音がして、デンゼル家の執事が入って来るとアレンが訪れたと告げた。
父は執務机から立ち上がると机の前へと移動する。
執務室に入って来たアレンはパトリシアを見て破顔した。
「アレン」
パトリシアはうるうるとした瞳をアレンに向ける。アレンはパトリシアの肩を抱くと、父の前に立つ。
「デンゼル侯爵、書簡を見て頂けましたか?」
「ええ。今その事についてパットと話していた処です」
「では改めて、パトリシアを私の妃とする事が決まりましたのでご挨拶に参りました」
アレンは頭を下げる。パトリシアも一緒に頭を下げた。
「ええ。こちらこそよろしくお願い致します。アレンくん、パットを頼むよ」
父はそう言って笑うと、アレンと握手を交わした。
パトリシアの部屋へ入るとアレンはパトリシアを抱きしめた。
「アレン…」
パトリシアもぎゅっとアレンに抱きつく。
「これからは堂々とパティをこうして抱きしめられると思ったら居ても立っても居られなくて、挨拶に託けて会いに来てしまった…」
アレンは愛おしそうにパトリシアの真っ直ぐな髪を撫でる。
「アレン、そう言えば議会で私の事…どれだけ誇張して話したの?」
「俺はありのままの気持ちを包み隠さず話しただけだぞ?」
パトリシアは顔を上げてアレンを見上げる。
「…誇張してないの?」
「一切」
アレンはにっこりと笑った。
ああもう!
パトリシアはアレンの背中に回した手にぎゅうっと力を入れて額を胸元に押し付ける。
「ん~~~」
グリグリと額を押し付ける。
「パティ?」
「アレンが大好き過ぎて上手く言葉にならないの」
「俺もパティが大好きだ」
アレンもパトリシアの頭に頬をグリグリと押し付けた。
アランとロードが薬草畑のあった花壇に近付くと、そこに植えられた花の中にライネルが立っていた。
「ライネル…」
ロードが呟くと、ライネルが二人に気が付いた。
「ロード、アラン殿下も」
「…この花はライネルが?」
ロードが聞くとライネルは頷く。
「はい。ビビアンはオレンジ色が好きだったので、オレンジの花が年中咲く様にしています」
「……ごめん」
ロードはそう言うと、地面に膝をついた。
「ロード」
「俺…俺のせいでライネルにもアラン殿下にも一生の十字架を背負わせてしまった」
「いや、それは違う。な、ライネル」
アランはロードの肩に手を置く。
「はい、そうです。ねえロード、俺はロードのせいだなんて思ってないよ?」
「……」
地面に手をついて項垂れるロード。
「あ、そうだ。俺、将来神官になろうと思っているんです」
「神官?」
「はい。ビビアンのために祈り続けたい気持ちと、俺たちの様に罪を犯した人に寄り添いたい気持ちがあって…学園を卒業して刑に服し終わったら神学校へ行こうかと」
「そうか…」
「……」
「もちろん、もう恋愛しないなんて思ってはいませんよ?神官だって妻帯できるんですしね」
ロードは顔を上げてライネルを見る。
「今はまだ考えられないけど、俺だって幸せになりたいもん。ロードやアラン殿下にも幸せになって欲しいんだ」
ライネルはそう言って穏やかに微笑んだ。
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「え?婚約?」
父であるデンゼル侯爵の執務室に呼ばれたパトリシアは、父から渡された書簡を見て思わず声を上げた。
そこには「第二王子アレン・ルーセントの正妃として、デンゼル侯爵家長女パトリシアを召し上げる」と書かれている。つまりアレンとパトリシアの婚約を告げる文書だ。
「…まだ卒業パーティーでアレンとエリザベス様の婚約破棄を宣言してから二週間しか経っていないのに?」
目を丸くして文書を眺めるパトリシアに、父は苦笑いを浮かべた。
「パットは先週アレン殿下が議会の役員会議に呼ばれた事は知っているのか?」
「え?」
「知らないのか。その会議でアレン殿下がエリザベス・ボイル公爵令嬢との婚約破棄とパットとの婚約について説明をされたそうだ。私は役員でないからその会議には出ていないが、そこで『いかに昔からパトリシアを愛しているか』を熱弁されたと聞いたぞ」
父はニヤリと笑ってパトリシアを見た。
「……え?ええ!?」
熱弁!?いかに私をあ、愛してるか!?
「まあ説得のために大袈裟に話された部分はあるんだろうがな」
そう言えば、レスター殿下が「アレンとパトリシアは『不貞ではなく初恋で純愛だ』と国王陛下と議会にどこまで示せるかだ」って仰っていたわ。だからアレンはそれを示したって事で…
でも恥ずかしすぎる!
「レスター殿下の婚儀はこの秋に決まっているが、アレン殿下が早く結婚しないとアラン殿下もできないからな。アラン殿下は何も仰りはしないが、そこも考慮されて早くにパットとの婚約が決まったと言う事だ。まあこの決定も議会を通っただけで、教会の許可についてはボイル公爵令嬢との婚約解消にも、パットとの婚約や婚姻にもまだまだ時間が掛かるだろう。いわば内定と言う処だな」
コンコンとノックの音がして、デンゼル家の執事が入って来るとアレンが訪れたと告げた。
父は執務机から立ち上がると机の前へと移動する。
執務室に入って来たアレンはパトリシアを見て破顔した。
「アレン」
パトリシアはうるうるとした瞳をアレンに向ける。アレンはパトリシアの肩を抱くと、父の前に立つ。
「デンゼル侯爵、書簡を見て頂けましたか?」
「ええ。今その事についてパットと話していた処です」
「では改めて、パトリシアを私の妃とする事が決まりましたのでご挨拶に参りました」
アレンは頭を下げる。パトリシアも一緒に頭を下げた。
「ええ。こちらこそよろしくお願い致します。アレンくん、パットを頼むよ」
父はそう言って笑うと、アレンと握手を交わした。
パトリシアの部屋へ入るとアレンはパトリシアを抱きしめた。
「アレン…」
パトリシアもぎゅっとアレンに抱きつく。
「これからは堂々とパティをこうして抱きしめられると思ったら居ても立っても居られなくて、挨拶に託けて会いに来てしまった…」
アレンは愛おしそうにパトリシアの真っ直ぐな髪を撫でる。
「アレン、そう言えば議会で私の事…どれだけ誇張して話したの?」
「俺はありのままの気持ちを包み隠さず話しただけだぞ?」
パトリシアは顔を上げてアレンを見上げる。
「…誇張してないの?」
「一切」
アレンはにっこりと笑った。
ああもう!
パトリシアはアレンの背中に回した手にぎゅうっと力を入れて額を胸元に押し付ける。
「ん~~~」
グリグリと額を押し付ける。
「パティ?」
「アレンが大好き過ぎて上手く言葉にならないの」
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