双子の王子と悪役令嬢な私。そしてヒロインは男の子。

ねーさん

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番外編7

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「ロード!?」
「ライネル!久しぶり!」
 地方にある教会で、掃除をしていたライネルは、突然やって来たロードを見て驚きの声を上げた。
「コーンウェルくん」
 ロードの後ろから顔を覗かせた女性を見てライネルはまた驚く。
「バーンズさん!?」
 ロードは並んで立ったベアトリスの肩を抱く。
「ベアトリスがどうしてもライネルの教会で結婚式したいって言うから」
「え?結婚式?バーンズさんと?誰が?」
「俺」
 ロードは自分を指差して言う。
「え?バーンズさんが、ロードと?結婚?」
 どこでどうなってそうなったんだ?
 ライネルは混乱する頭を押さえながら言った。
「とりあえず、ここまでの経緯を説明してくれ」

 教会の応接室でロードとベアトリスが病院で再会した話しを聞いたライネルは「はあ」と息を吐いた。
「それで、一旦ロードは王都に戻ってバーンズさんを還俗させる手続きと結婚の手続きをして、改めてバーンズさんを迎えに来て、王都に戻る処なんだ?」
「あの、ベアトリスって、名前で呼んで?もうすぐバーンズじゃなくなるし…」
 ベアトリスが少し照れた様子で言う。
 ロードはフェアリ伯爵家を出たが、養子縁組が解消された訳ではない。一応今でも名前はロード・フェアリのままなので、結婚するとベアトリスはバーンズからフェアリに姓が変わるのだ。
「ああそうか。じゃあ俺の事もライネルと呼んで」

「王都に戻るには遠回りなんだけど、俺もライネルに会いたかったし、こんな機会でもないと病院勤めだとなかなか長い休みも取れないからね」
「そうだよなぁ」
「俺もベアトリスも色々訳ありだし、二人だけで神に誓いを立てようと話し合ってたら、司式者はライネルが良いってベアトリスが」
「それでわざわざ来てくれたんだ」
 ベアトリスは頷く。
「学園で、ライネルくんが花壇に黄色い花を植えてくれたでしょ?」
「え?そうなの?」
 ロードはライネルとベアトリスを交互に見る。
「ああ、ロードはあれから学園に来ないままで卒業したから知らないんだよね。俺は『園芸部』を作って、あの花壇にはオレンジと黄色の花を絶やさないのを伝統にする様、後輩を指導して卒業したんだ」
「へえ。それでその黄色い花にベアトリスが関係あるの?」
「そうなの。黄色は私の好きな色なのよ。それと、ライネルくんが『いつか会うかも知れないね』って言ってくれたの。それが嬉しくて…」
「いつか会うかも?」
「神官と修道女なら医療奉仕や学校奉仕の場で会う機会があってもおかしくないだろ?まあ確率は低いけど」

 んん?
 これって、俺とベアトリスが会うより前にもしもライネルとベアトリスが会ってたら、ベアトリスが結婚するのはライネルだったのかも、って事なのかな?
 そもそもベアトリスは俺との結婚は承諾してくれたけど、実は修道院から出られるなら、理由は何でも良かった…とか?

-----

「とりあえず今日はもう夕方だし、式は明日にしようか。泊まる所決めてないなら、教会併設の孤児院の空き部屋で良ければ用意するよ?」
 ライネルのその言葉に甘えて、孤児院の二人部屋に案内してもらい、二つのベッドに向かい合う様に座った。

「ええ?私がライネルさんと?」
 ロードは驚くベアトリスを上目遣いに見つめる。
「ないですよ。それは」
「…でもライネルと、いつか会いたかったんだろ?」
「あれは、私が修道院へ行ったら友達とも疎遠になるんだろうと思って学園生活に意義を見いだせなかった時に、ライネルさんは私の事を覚えてるよって言ってくれてただけですよ?」
「……」
「ロード様?」
「ライネルには平語なのに俺には敬語だし、ライネルなのにロードだし」
 ああ、我ながら子供みたいに拗ねて…情けない。
 結婚するとは言え、ベアトリスとはまだ再会してから片手で数えるほどしか会ってないんだし、仕方ない部分もあるってのに。
「それは…ライネルくんは同級生ですし…」
「もしかして、修道院から連れ出してくれるなら俺でなくても良かったんじゃないの?」
「……」
 ベアトリスは目を見開いたまま固まった。
 ロードはベアトリスから目を逸らす。
「…ロード様こそ、私と結婚なんて言い出したのは同情とか贖罪とか…そういうのなんでしょう?」
 俯いて少し低い声でベアトリスが言う。
「え?」
「私…ロード様以外なら結婚はお断りしていました」
 ロードは俯くベアトリスに視線を戻した。
「本当?」
「本当です」
「俺の事…少しは好き?」
「好きです」
「でも…修道院を出てから一週間経つけど、まだキスもしてないし」
「なっ」
 パッと上げたベアトリスの顔がみるみる真っ赤に染まった。
 なにこれ?照れてる…めっちゃかわいい…
 ロードは立ち上がってベアトリスの前に立つ。
 耳まで赤くしてベアトリスは視線を逸らして自分の手で頬を押さえた。
「……何年もそういう事柄と縁のない清い生活していたんですから…あの…お手柔らかに」
 ロードはベアトリスの手の上に自分の手を重ねると、かがみ込んでそっと唇を重ねた。



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