コントレイルとちぎれ雲

葉月凛

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 背後の男は、ショックを受けている薫の体を起こすと、いそいそと自身の前を寛げた。
 呆然としている薫のはだけたシャツを手首まで下ろし、器用に後ろ手に両手首を固定する。

 薫の体の向きを変え俯せにすると、あぐらの上にその顔を落とした。既に滾り切っている男の怒張が、薫の頬に擦りつけられる。

「ほら、咥えろ」
「っ、」

 むわっと雄の匂いがした。薫は歯を食いしばって、顔を背ける。男の怒張は、その体に見合って凶器のようにでかくそそり立ち、浅黒く浮いた血管がどくどくと脈打っていた。

「突っ込まれたいのか? 俺のはでかいからな、間違いなく裂けるぞ。口で我慢してやるって言ってんだよ」

 先走りのぬめる先端を、唇に突きつけられる。
 その時、後孔に冷たい液体がいきなりかけられた。

「あっ」

 思わず口を開いたところに、怒張を突っ込まれる。

「んんっ、んぅっ」
「おう……いいぜ。歯ぁ立てんなよ? もし立てたら突っ込んでやるからな。分かったか?」
「っ、っ、」
「分かったかって、聞いてんだよ」

 鼻をつままれ息ができず、恐怖が走る。
 薫がこくこくと頷くと、すぐに指は離れていった。

「うーん。じゃ、これで」

 佐々木の間延びした声が聞こえる。
 俯せているせいで天井を向いている尻を、更に持ち上げられる。ローションと思われる液体が後孔に流れると、ぐい、と何かを押し込まれそうになり、体が跳ねた。

「おっと。ここ、持ってて」
「了解」

 男の手が薫の尻を掴み、割り開く。無機質な固い物が、薫の後孔をぐりぐりと撫でた。

「本城君、バイブ入れるからね。ちょっとじっとして」
「っ、っ、……」

 めりめりと、無機質な塊が入ってくる。

「んーっ、んー!」

 逃げを打つ尻を男ががっちりと掴む。
 佐々木が、小刻みに揺らしながらゆっくりとバイブを差し込んでゆく。鼻から熱い息が荒く漏れると、口の中の怒張が更に大きくなった。

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