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◇
「あっ、雪!」
目の前のプリンを頬張っていた子供が、窓の外を見て嬉しそうに叫んだ。
タイミングよろしく、ちょうどその時、サンタクロースの格好をした大野がレストランの入口に現れた。お決まりの赤い装束に白い口髭をつけて、肩には大きな白い袋を担いでいる。
合図と共に、奈津はピアノで『赤鼻のトナカイ』を弾いた。
「みなさーん! サンタさんが来てくれましたー!」
女性スタッフが大きな声を掛けると、店内からは一斉に拍手と歓声が上がった。
「わぁっ! サンタさんだ!」
子供たちは大喜びで身を乗り出し、目を輝かせて大野サンタに注目した。
「ほっ、ほっ、ほぉっ! みんないい子にしてたかな? ご褒美のプレゼントをあげようね!」
「わぁっ!!」
大野サンタはテーブルを1つずつ回りながら、袋の中からプレゼントの箱を取り出し、皆に配っていった。
(あ、あのプレゼント……)
それは、クリスマスツリーの下に積んであった、例のプレゼントの箱だった。さすがに大きい箱は外しているらしかったが、どれも見覚えのある包みだ。奈津は、成瀬に中身を教えてもらえなかったことを思い出した。
全てのテーブルに配り終えた頃を見計らって演奏を止めた奈津に、大野サンタが近付いて来た。
「はい! これは、相川さんに。メリークリスマス!」
「えっ、僕にも? ありがとうございます」
受け取った包みには、何やら目印の付箋が付いている。
「はーい、それでは皆さん、一斉に開けてください。どうぞー」
掛け声と共に、大人も子供も皆一斉にがさがさと包みを開け始めた。奈津は気になって、皆が開けているその手元をじっと見る。
箱の中にはひと回り小さな箱が入っていて、取り出すと、それは様々な植物の栽培キットになっていた。
(あ。……種?)
箱ごとに種類が違うらしく、花の種やらハーブにプチトマト、中にはサボテンと書かれているものもある。栽培用の小さなプラスチックの鉢には土も付いていて、それで育てられるようになっているようだった。
「あっ、雪!」
目の前のプリンを頬張っていた子供が、窓の外を見て嬉しそうに叫んだ。
タイミングよろしく、ちょうどその時、サンタクロースの格好をした大野がレストランの入口に現れた。お決まりの赤い装束に白い口髭をつけて、肩には大きな白い袋を担いでいる。
合図と共に、奈津はピアノで『赤鼻のトナカイ』を弾いた。
「みなさーん! サンタさんが来てくれましたー!」
女性スタッフが大きな声を掛けると、店内からは一斉に拍手と歓声が上がった。
「わぁっ! サンタさんだ!」
子供たちは大喜びで身を乗り出し、目を輝かせて大野サンタに注目した。
「ほっ、ほっ、ほぉっ! みんないい子にしてたかな? ご褒美のプレゼントをあげようね!」
「わぁっ!!」
大野サンタはテーブルを1つずつ回りながら、袋の中からプレゼントの箱を取り出し、皆に配っていった。
(あ、あのプレゼント……)
それは、クリスマスツリーの下に積んであった、例のプレゼントの箱だった。さすがに大きい箱は外しているらしかったが、どれも見覚えのある包みだ。奈津は、成瀬に中身を教えてもらえなかったことを思い出した。
全てのテーブルに配り終えた頃を見計らって演奏を止めた奈津に、大野サンタが近付いて来た。
「はい! これは、相川さんに。メリークリスマス!」
「えっ、僕にも? ありがとうございます」
受け取った包みには、何やら目印の付箋が付いている。
「はーい、それでは皆さん、一斉に開けてください。どうぞー」
掛け声と共に、大人も子供も皆一斉にがさがさと包みを開け始めた。奈津は気になって、皆が開けているその手元をじっと見る。
箱の中にはひと回り小さな箱が入っていて、取り出すと、それは様々な植物の栽培キットになっていた。
(あ。……種?)
箱ごとに種類が違うらしく、花の種やらハーブにプチトマト、中にはサボテンと書かれているものもある。栽培用の小さなプラスチックの鉢には土も付いていて、それで育てられるようになっているようだった。
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