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第一章 異世界に来ちゃった
伝染する過保護
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朝ごはんを食べ終える頃部屋の扉がノックされた。ローゼンが扉へ向かおうと俺の近くを通りすぎようとしていて…気付いたら俺はその服の裾をがっちり捕まえていた。
…何でだろう。何か一人にされると思ったら急に怖くなったんだ。
「あっ、え、と…ご、ごめん!」
驚いて振り返るローゼンを見て慌てて手を放す。
何だっていうんだ…。子供じゃあるまいし、一人が怖いだなんて。そりゃホラー映画観たあととか一人怖い!ってなるけど、そんなもん観てないし。
ぺい!っと自分の手を叩いてたら…
「ひえぇぇぇぇ…!!」
ま、また姫抱きしてくるー!!!
「何で!?」
「来たのは団長だと思います。一緒に迎えましょう」
いや、それは構わないけど…でも姫抱きされてる姿見られちゃうんですけど!?俺が恥ずかしいんですけどー!!?
あわあわする俺をそのままにローゼンがドアを開けてしまう。
「おはようございます」
「おはようございまぁす…」
爽やかなローゼンの挨拶に続いて恥ずかしさのあまりボソボソと挨拶すると…
「ひぇ…っ」
何故かぽん、と頭を撫でられて…まるで雪解けのようなそれはそれは神々しい笑顔を向けられてまたも変な声が出ました。
目がー!目が潰れるー!!後光射してる!バラ背負ってるー!!!
「今食事を終えたところです」
「そうか」
あ、もしかしてローゼン今から仕事なのかな?だったらもう準備して行かないとだよな。
「あの、仕事?なら俺部屋で大人しくしてるから…」
「ああ…、いえ、今日は…」
「私と留守番だ」
さっきの笑顔はどこ行った?ってくらい普段通り無表情なディカイアスに言われて一瞬意味を掴み損ねて首を傾げる。
私と留守番、って…ん?ディカイアスと?留守番…!!?
俺まだこのキラキライケメンに目が慣れてないのに!というか一人で部屋にいるくらいできますよ!?
もう水道も魔力で使えるようになったし、ご飯はちゃんと食堂に食べに行くし、何気にまだ行ったことないから行ってみたい気持ちもあるし!
「俺一人で大丈夫だけど」
「駄目だ」
「何故」
「倒れたからだ」
「えぇぇぇ…」
有無を言わさぬ口調は流石騎士団長様、って感じだけど…何故こんな過保護…?ローゼンは最初から過保護な感じだったけど、ディカイアスにも伝染しちゃったのか…?過保護って伝染るのか!?
ローゼンもローゼンでまるで赤子を手渡すかのように俺を、はい、とディカイアスの腕に預けてしまうし。
「スナオ様、俺は今日遅くなるので団長と一緒にいてくださいね」
よしよし、と頭を撫でられて、確か俺は神子だとバレた時に年齢を伝えたはずだよな…?と不安になる。何かすごく子供扱いというか…甘やかされてるというか…。
「…ディカイアスは忙しいんじゃ…」
だからと言って甘やかされるまま甘えるわけにはいかない。ディカイアスは騎士団長だし、俺の面倒見てる暇なんてないんじゃないのか…?
「私の仕事は終わっている。たまには休ませてくれ」
「あ、はい」
ですよね。忙しいからって休みなく働いてたら俺みたいになっちゃいますもんね。偉い人でもお休みは必要だよね。
ん?でも…
「俺と一緒にいたら休まらないんじゃあ…?」
素朴な疑問は華麗にスルーされ、ディカイアスはスタスタと歩き出してしまう。
えぇぇぇー!めっちゃ強引ー!ローゼーン!!
思わずにこやかに手を振っているローゼンに手を伸ばそうとすると、
「私よりローゼンの方がいいのか?」
なんて訊かれて手を引っ込めた。
何だか拗ねてるみたいな口調がちょっと可愛いぞ…?
「ディカイアスは偉い人だから緊張する」
「別にお前の上司ではないだろう」
「そうだけどさぁ…こう、オーラが偉い人なんだもん」
「ふむ…?」
パワハラ上司とか威圧的なだけでこんな偉い人のオーラなんて出てなかったもんな。ディカイアスの口調もどちらかと言えば威圧的だけど、素直に従おうと思えるだけのオーラがあるし。それはきっとディカイアス自身が人の上に立つ者として努力をしているからなんだろう。
あのクソ上司共に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだぜ…。
それにしても、ローゼンは見た目からしてマッチョ兄さんだから俺を軽々抱えられるのはわかるけど、ディカイアスは見た目そんなにがっちりした雰囲気じゃないのにほとんど片手で俺を抱えてる。これは姫抱きというかもうほぼ縦抱きだな。
ちゃんと掴まっていろ、と言われたから首にしがみついてみたけど…
(んん…??ディカイアスも何か香水つけてる?)
スンスン嗅いでみると、何だろう。バニラみたいな甘ーい感じの匂いがしてる。意外だな。甘いもの好きなのかな?ハッ!?まさかスイーツ好きで自分で作るとか!?バニラエッセンスみたいな匂いだもんな!バニラエッセンスは舐めるとクソ苦いけどな!苦いって知らない人はあの匂いにつられて1回は舐めてみちゃうよね。
「ディカイアスは何か香水つけてる?」
「香水…?騎士は敵に居場所を悟られないように特定できそうな物はつけないぞ」
「え、そうなの?」
ならこれは…ローゼンと同じく石鹸か…??
訊いてみようと思ったらどうやら目的地であるディカイアスの私室についてしまったようだ。
ガチャリと鍵を開けて中に入って、ローゼンとの部屋の違いにびっくり。
ローゼンと一緒で物は多くないんだけど…どうみても高級そうな家具達が。いやこれそこら辺から執事とかが
「お帰りなさいませ、ぼっちゃま」
なんて言いながら出てきちゃうんじゃないの…?
…何でだろう。何か一人にされると思ったら急に怖くなったんだ。
「あっ、え、と…ご、ごめん!」
驚いて振り返るローゼンを見て慌てて手を放す。
何だっていうんだ…。子供じゃあるまいし、一人が怖いだなんて。そりゃホラー映画観たあととか一人怖い!ってなるけど、そんなもん観てないし。
ぺい!っと自分の手を叩いてたら…
「ひえぇぇぇぇ…!!」
ま、また姫抱きしてくるー!!!
「何で!?」
「来たのは団長だと思います。一緒に迎えましょう」
いや、それは構わないけど…でも姫抱きされてる姿見られちゃうんですけど!?俺が恥ずかしいんですけどー!!?
あわあわする俺をそのままにローゼンがドアを開けてしまう。
「おはようございます」
「おはようございまぁす…」
爽やかなローゼンの挨拶に続いて恥ずかしさのあまりボソボソと挨拶すると…
「ひぇ…っ」
何故かぽん、と頭を撫でられて…まるで雪解けのようなそれはそれは神々しい笑顔を向けられてまたも変な声が出ました。
目がー!目が潰れるー!!後光射してる!バラ背負ってるー!!!
「今食事を終えたところです」
「そうか」
あ、もしかしてローゼン今から仕事なのかな?だったらもう準備して行かないとだよな。
「あの、仕事?なら俺部屋で大人しくしてるから…」
「ああ…、いえ、今日は…」
「私と留守番だ」
さっきの笑顔はどこ行った?ってくらい普段通り無表情なディカイアスに言われて一瞬意味を掴み損ねて首を傾げる。
私と留守番、って…ん?ディカイアスと?留守番…!!?
俺まだこのキラキライケメンに目が慣れてないのに!というか一人で部屋にいるくらいできますよ!?
もう水道も魔力で使えるようになったし、ご飯はちゃんと食堂に食べに行くし、何気にまだ行ったことないから行ってみたい気持ちもあるし!
「俺一人で大丈夫だけど」
「駄目だ」
「何故」
「倒れたからだ」
「えぇぇぇ…」
有無を言わさぬ口調は流石騎士団長様、って感じだけど…何故こんな過保護…?ローゼンは最初から過保護な感じだったけど、ディカイアスにも伝染しちゃったのか…?過保護って伝染るのか!?
ローゼンもローゼンでまるで赤子を手渡すかのように俺を、はい、とディカイアスの腕に預けてしまうし。
「スナオ様、俺は今日遅くなるので団長と一緒にいてくださいね」
よしよし、と頭を撫でられて、確か俺は神子だとバレた時に年齢を伝えたはずだよな…?と不安になる。何かすごく子供扱いというか…甘やかされてるというか…。
「…ディカイアスは忙しいんじゃ…」
だからと言って甘やかされるまま甘えるわけにはいかない。ディカイアスは騎士団長だし、俺の面倒見てる暇なんてないんじゃないのか…?
「私の仕事は終わっている。たまには休ませてくれ」
「あ、はい」
ですよね。忙しいからって休みなく働いてたら俺みたいになっちゃいますもんね。偉い人でもお休みは必要だよね。
ん?でも…
「俺と一緒にいたら休まらないんじゃあ…?」
素朴な疑問は華麗にスルーされ、ディカイアスはスタスタと歩き出してしまう。
えぇぇぇー!めっちゃ強引ー!ローゼーン!!
思わずにこやかに手を振っているローゼンに手を伸ばそうとすると、
「私よりローゼンの方がいいのか?」
なんて訊かれて手を引っ込めた。
何だか拗ねてるみたいな口調がちょっと可愛いぞ…?
「ディカイアスは偉い人だから緊張する」
「別にお前の上司ではないだろう」
「そうだけどさぁ…こう、オーラが偉い人なんだもん」
「ふむ…?」
パワハラ上司とか威圧的なだけでこんな偉い人のオーラなんて出てなかったもんな。ディカイアスの口調もどちらかと言えば威圧的だけど、素直に従おうと思えるだけのオーラがあるし。それはきっとディカイアス自身が人の上に立つ者として努力をしているからなんだろう。
あのクソ上司共に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだぜ…。
それにしても、ローゼンは見た目からしてマッチョ兄さんだから俺を軽々抱えられるのはわかるけど、ディカイアスは見た目そんなにがっちりした雰囲気じゃないのにほとんど片手で俺を抱えてる。これは姫抱きというかもうほぼ縦抱きだな。
ちゃんと掴まっていろ、と言われたから首にしがみついてみたけど…
(んん…??ディカイアスも何か香水つけてる?)
スンスン嗅いでみると、何だろう。バニラみたいな甘ーい感じの匂いがしてる。意外だな。甘いもの好きなのかな?ハッ!?まさかスイーツ好きで自分で作るとか!?バニラエッセンスみたいな匂いだもんな!バニラエッセンスは舐めるとクソ苦いけどな!苦いって知らない人はあの匂いにつられて1回は舐めてみちゃうよね。
「ディカイアスは何か香水つけてる?」
「香水…?騎士は敵に居場所を悟られないように特定できそうな物はつけないぞ」
「え、そうなの?」
ならこれは…ローゼンと同じく石鹸か…??
訊いてみようと思ったらどうやら目的地であるディカイアスの私室についてしまったようだ。
ガチャリと鍵を開けて中に入って、ローゼンとの部屋の違いにびっくり。
ローゼンと一緒で物は多くないんだけど…どうみても高級そうな家具達が。いやこれそこら辺から執事とかが
「お帰りなさいませ、ぼっちゃま」
なんて言いながら出てきちゃうんじゃないの…?
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