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第一章 異世界に来ちゃった
タンスの角で骨が折れる
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昨日はあの後念願の騎士団食堂に行ったんだけど…正直ディカイアスの告白が衝撃的過ぎてあんまり味は覚えてないです。パンしかないのかと思ってたら普通に米的な物もあったらしく、でかいオムライス的な物を食べたことだけ覚えてます。
突然の事に一生懸命頭を使って考えて、夜遅くなって帰ってきたローゼンにお帰りを言った所まで起きてたんだけど、そこで力尽きて寝てしまった。
元々考える事はあんまり好きじゃない。どちらかと言えば直感で動いてしまう派だ。だからもう考えるのはやめた!とりあえずディカイアスを観察してどういう人か見極めたらいいって事だもんな!現状心の底から嫌いだと思うのはあのクソ眼鏡…
「痛…!」
「スナオ様?」
また頭の奥がチカッと痛む。
何だろう?偏頭痛?病気??
心配そうなメイディに声をかけられて、大丈夫、と手を横に振る。
今日はあの日失敗したタグに魔力を流すあれをもう一度やりに来たんだ。パーピュアにはまだダメダメ!と怒られる事が多いけど、タグに魔力を流す程度の制御は出来るはずだ、って。
「無理はなさらないようにしてくださいね」
にこりと笑うメイディはまるで女神様のよう…!スパルタなパーピュアみたいに間違ってもムチ持って追いかけ回して来たりしなさそう。魔法教わるならメイディが良かったな…。
「今何か失礼な事考えなかったか」
「ひぃ!?心読んだ!?」
隣で見守るパーピュアにじろりと睨まれて縮こまる。
仲良しですねぇ、とにこにこしているメイディにはこの緊張感は伝わらないのでしょうか。
「まぁいい。とりあえずやってみろ。何かあったら僕が止めてやる」
「はぁい…」
あの日のようにタグを握り込む。
頼むから今度は壊れないでくれよ…!なんて祈りながら、頭の中に蛇口と小さなコップを思い浮かべた。見知った物をイメージした方が制御しやすい、って言われたからその通りにしてる。
ゆっくり蛇口を捻り、少しだけ水を出す。チョロチョロと流れる水がコップに溜まる。
「そこまで!」
パーピュアの声が聞こえて、ふ、と目を開けると…。
「おぉ~!!」
まっさらだったタグに文字が浮かんでて、しかもぼんやり光ってる!!これって成功したんだよな!?
「タグに触れてみろ」
と言われて反対の指で突っつくと。
「おぉぉ~!!!」
パアッと扇状に伸びた光の中に、あの泉で見たようなボードが浮かび上がった。
今更だけど、神子とかそんなの載ってないよね…??とじっくり見るけど、どうやら本当にスキルや称号は出てきてない。
あ、でも神子だとバラした今なら職業農民を見せれば本当に農民だって信じて貰えたのにな。浄化の旅とやらが終わったら予定通り農民になる、と言ってるのにみんな何言ってんだこいつ的な顔してくるんだもん。逆に出てこないの残念だったな~。
なんて思ってたら、俺は他の二人が異様に静かな事に気が付いた。
「え…何か変だった…?」
無言。
え、無視ですか?突発性難聴にでもなってるんですか?あれ?時間止まってる?
不安になって二人が凝視する小さなボードを見る。
『生命力 B
力 E
物理防御 F
魔力 SSS
魔法防御 SSS
素早さ A
運 F』
うん。あの日チラッとしか見えなかったけど何かこんなんだった気がする。
ていうかじっくり見ると…物理防御と運の値低いな!!!そりゃ物理防御ぺらぺらと不運の申し子だもんな!泣くわ…。
…でも何でこんな無言…?沈黙が痛いんですけど…。
「メイディ…」
あ、良かった。時間止まってるわけじゃなかった。
「……これは…ちょっと…大変ですねぇ」
「…え、やっぱり何か変…?」
ねえ?何が?何が大変なの??俺にもわかるように教えてーーー!!!
ねえねえ、とグイグイパーピュアの袖を引っ張る。
「やめろ。引っ張るな。今教えてやるから!」
ひとまず薬を飲め!と口にあの紫の錠剤を突っ込まれた。すかさず水を差し出してくれるメイディ。流石王族の嫁と未来の嫁コンビ…連携が素晴らしい…。
そして水がうまい。
俺が水を飲み干してテーブルにコップを置くと、ふぅ、とパーピュアがため息を一つ。それから重々しく口を開く。
「…物理と魔力は対義関係だ。物理攻撃力が高ければ魔法防御力は弱くなるし、魔法攻撃力が高ければ物理防御力は弱くなる」
「んー…うん」
「だから総じて魔術師は物理防御力が低い」
「うん」
俺の物理防御も多分最下層のFランクだもんな。物理防御ぺらぺらだしな。
「だが、低いと言ってもFランクの低さは今まで見たことがない!」
「…うん?」
「というかむしろ魔力が3Sになってるのも見たことがない!!!」
「…うん???」
おお…また人差し指が目の前でくるくるしてる…。やめろ目が回る!寄り目になるー!
「これが神子の魔力、という事ですね…。しかしここまで防御力が低いと…」
え、何?何ですかメイディさん。そこで黙らないでもらえますか…!?
「低いと…?」
「…タンスの角に小指ぶつけただけでも足の甲まで骨が折れますね」
「何だって…!?」
そこまで!?え、俺良く今まで無事だったね!?そういや最近擦り傷良く出来るなぁ、とか思ってたんだけどもしかしてそれも物理防御ぺらぺらと関係があったの…!!?
「…第一騎士団みたいな脳き…物理重視の騎士達は魔法防御が低いがその代わりそれを補う装備で身を固めている」
今脳筋って言おうとしなかった?
「だが物理防御の低さは…どうにもならん!装飾品で多少の底上げは出来るかも知れんが、国宝級の装飾具でもせいぜいEランクに上がるくらいだろう」
「タンスの角に小指ぶつけて怪我して悶絶するくらいですね」
わかりやすい例えをありがとう、メイディ。
突然の事に一生懸命頭を使って考えて、夜遅くなって帰ってきたローゼンにお帰りを言った所まで起きてたんだけど、そこで力尽きて寝てしまった。
元々考える事はあんまり好きじゃない。どちらかと言えば直感で動いてしまう派だ。だからもう考えるのはやめた!とりあえずディカイアスを観察してどういう人か見極めたらいいって事だもんな!現状心の底から嫌いだと思うのはあのクソ眼鏡…
「痛…!」
「スナオ様?」
また頭の奥がチカッと痛む。
何だろう?偏頭痛?病気??
心配そうなメイディに声をかけられて、大丈夫、と手を横に振る。
今日はあの日失敗したタグに魔力を流すあれをもう一度やりに来たんだ。パーピュアにはまだダメダメ!と怒られる事が多いけど、タグに魔力を流す程度の制御は出来るはずだ、って。
「無理はなさらないようにしてくださいね」
にこりと笑うメイディはまるで女神様のよう…!スパルタなパーピュアみたいに間違ってもムチ持って追いかけ回して来たりしなさそう。魔法教わるならメイディが良かったな…。
「今何か失礼な事考えなかったか」
「ひぃ!?心読んだ!?」
隣で見守るパーピュアにじろりと睨まれて縮こまる。
仲良しですねぇ、とにこにこしているメイディにはこの緊張感は伝わらないのでしょうか。
「まぁいい。とりあえずやってみろ。何かあったら僕が止めてやる」
「はぁい…」
あの日のようにタグを握り込む。
頼むから今度は壊れないでくれよ…!なんて祈りながら、頭の中に蛇口と小さなコップを思い浮かべた。見知った物をイメージした方が制御しやすい、って言われたからその通りにしてる。
ゆっくり蛇口を捻り、少しだけ水を出す。チョロチョロと流れる水がコップに溜まる。
「そこまで!」
パーピュアの声が聞こえて、ふ、と目を開けると…。
「おぉ~!!」
まっさらだったタグに文字が浮かんでて、しかもぼんやり光ってる!!これって成功したんだよな!?
「タグに触れてみろ」
と言われて反対の指で突っつくと。
「おぉぉ~!!!」
パアッと扇状に伸びた光の中に、あの泉で見たようなボードが浮かび上がった。
今更だけど、神子とかそんなの載ってないよね…??とじっくり見るけど、どうやら本当にスキルや称号は出てきてない。
あ、でも神子だとバラした今なら職業農民を見せれば本当に農民だって信じて貰えたのにな。浄化の旅とやらが終わったら予定通り農民になる、と言ってるのにみんな何言ってんだこいつ的な顔してくるんだもん。逆に出てこないの残念だったな~。
なんて思ってたら、俺は他の二人が異様に静かな事に気が付いた。
「え…何か変だった…?」
無言。
え、無視ですか?突発性難聴にでもなってるんですか?あれ?時間止まってる?
不安になって二人が凝視する小さなボードを見る。
『生命力 B
力 E
物理防御 F
魔力 SSS
魔法防御 SSS
素早さ A
運 F』
うん。あの日チラッとしか見えなかったけど何かこんなんだった気がする。
ていうかじっくり見ると…物理防御と運の値低いな!!!そりゃ物理防御ぺらぺらと不運の申し子だもんな!泣くわ…。
…でも何でこんな無言…?沈黙が痛いんですけど…。
「メイディ…」
あ、良かった。時間止まってるわけじゃなかった。
「……これは…ちょっと…大変ですねぇ」
「…え、やっぱり何か変…?」
ねえ?何が?何が大変なの??俺にもわかるように教えてーーー!!!
ねえねえ、とグイグイパーピュアの袖を引っ張る。
「やめろ。引っ張るな。今教えてやるから!」
ひとまず薬を飲め!と口にあの紫の錠剤を突っ込まれた。すかさず水を差し出してくれるメイディ。流石王族の嫁と未来の嫁コンビ…連携が素晴らしい…。
そして水がうまい。
俺が水を飲み干してテーブルにコップを置くと、ふぅ、とパーピュアがため息を一つ。それから重々しく口を開く。
「…物理と魔力は対義関係だ。物理攻撃力が高ければ魔法防御力は弱くなるし、魔法攻撃力が高ければ物理防御力は弱くなる」
「んー…うん」
「だから総じて魔術師は物理防御力が低い」
「うん」
俺の物理防御も多分最下層のFランクだもんな。物理防御ぺらぺらだしな。
「だが、低いと言ってもFランクの低さは今まで見たことがない!」
「…うん?」
「というかむしろ魔力が3Sになってるのも見たことがない!!!」
「…うん???」
おお…また人差し指が目の前でくるくるしてる…。やめろ目が回る!寄り目になるー!
「これが神子の魔力、という事ですね…。しかしここまで防御力が低いと…」
え、何?何ですかメイディさん。そこで黙らないでもらえますか…!?
「低いと…?」
「…タンスの角に小指ぶつけただけでも足の甲まで骨が折れますね」
「何だって…!?」
そこまで!?え、俺良く今まで無事だったね!?そういや最近擦り傷良く出来るなぁ、とか思ってたんだけどもしかしてそれも物理防御ぺらぺらと関係があったの…!!?
「…第一騎士団みたいな脳き…物理重視の騎士達は魔法防御が低いがその代わりそれを補う装備で身を固めている」
今脳筋って言おうとしなかった?
「だが物理防御の低さは…どうにもならん!装飾品で多少の底上げは出来るかも知れんが、国宝級の装飾具でもせいぜいEランクに上がるくらいだろう」
「タンスの角に小指ぶつけて怪我して悶絶するくらいですね」
わかりやすい例えをありがとう、メイディ。
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