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第二章 浄化の旅
金色のドラゴン
だってみんな最初から俺が神子だってわかってたのにそれを隠そうとしてくれたくらいなんだ。
逆に俺を無理矢理旅に出させたのはあの王様の方だ。
「ナフィーリア軍に情報を持っていったのはパワハルだろ!?あいつに騙されてるんだ!」
ライオンの獣人は眉をひそめ、耳をぴるる、と動かし口を開く。
「パワハル殿はお前を救うために命からがら騎士団から逃れて、助けを求めに来た、と…」
「逆だよ!!パワハルは俺を無理矢理犯そうとしたり、誘拐もした!騎士団が俺を助けてくれたんだ!あんた達は騙されてるんだ!!」
ちらり、と見た窓の側では未だ追い詰められてるレイアゼシカ達とメイディ達の姿。
みんなを助けなきゃ…!!
でも、もう一度離せと叫ぶよりも先に。
◇
「神子…神子だ…!あれは余の物…っこの国を守る…、余は、国、を…、余…、王ぞ!こ、のォォォ…っくにっ、はァァァーーーーーッ!!!よ、のものぞぉォォォォーーーーーーー!!」
バキッ、と異音が響き、テューイリングは背後にメイディを庇う。その、目の前で。
メリメリと音を響かせ、ナスダルの体が不自然に盛り上がった。
ガバリと開いた口からおよそ人間の物とは思えない牙が覗き、だらりと垂れた長い舌からは唾液が滴り落ちる。
「よ、は…王、ぞ…このくに、は、余の物…すべてはァァァァ!よのものォォォォーーーーーーー!!」
バキィ!!と音を立て血飛沫が散る。
「な、何…!?」
「わからん…!下がれメイディ!」
「さぁぁからう者はぁぁぁぁーーーーーーー死ィィィィィ!!!」
爆発音が響き渡り王宮の天井が崩れ落ちてくる。咄嗟にメイディを抱え込み落ちてくる瓦礫から庇った。腕の中で
「テューリ!テューリ!!」
と叫ぶメイディが自分を盾にテューイリングを守ろうとしていたなどお見通しだ。
この腕の中の愛しい伴侶を守って死ねるのならば、とテューイリングはますます腕に力を込めてメイディを掻き抱いたーーーが、いつまでも覚悟していた衝撃は襲ってこない。不思議に思って見てみると半透明の球体が自分達を庇うようにぼんやりと光っている。
「これは…」
「スナオ様の魔力…?」
辺りを見回せば自分達の周り以外瓦礫で埋まり、ナスダルが連れていた神殿兵の姿はない。下敷きになってしまったのかも知れない。
天井から上が崩落し空が見える事に呆然としていたけれど、ふと見れば向かいの塔で朴が手を振っている。そして上、上、と指をさす為、上?と見上げれば。
『ヨ、ハァァァァーーー!おう、ゾォォォォーーーーーーー!!』
◇
金色のドラゴンが黒い煙を吹き飛ばしながら真っ青な空を滑空してる。ナピリアートの時と同じだ。人間が化け物になった!
しかもドラゴンは騎士団だけじゃなく、ナフィーリア軍にも攻撃を始めて茫然と空を見上げてた獣人さん達もあたふたと逃げ惑っている。
なのに神殿兵の一部はまだ今のうちに、とばかりに騎士団を攻撃してるから俺は頭に来てしまった。
「離して」
今度はライオンさんも何も言わないで離してくれて、何をする気だと訝しげな顔をしている。
風に乗せたら声って遠くまで届くんだよな。拡声器みたいなイメージで…
「双方戦いをやめろ!!!あの化け物が見えないのか!!?俺達の敵は目の前の兵士なのか!?違うだろ!!!!」
思いの外声が大きかったのかシン、と静まった戦場にドラゴンになった王様の狂った叫びが木霊する。
「あいつがこのまま何もせず飛んでるだけだと思うか!?この国を滅ぼしたら大人しくなると思うのか!!ここが終われば次の国を襲いに行くぞ!!自分達の国が滅ぼされても良いのか!!!」
低空飛行してきたドラゴンに何人かが吹っ飛ばされた。
「聖王国騎士団!ナフィーリア軍!俺に手を貸してくれ!!!本物の逆賊ナスダルを今ここで止めるんだ!!!」
俺は元の王様は知らない。今こうやって狂ってる姿しか見たことないから。でもメイディの所に行く前にテューイリングは言ったんだ。賢王だった父を尊敬していた。これ以上狂って逆賊になった父を見ていたくないから刺し違えてでも止める、って。
最初に声をあげたのは騎士団のみんなだった。疲弊して、ボロボロだけどやる気に満ち溢れた顔でわらわらと砦から出てくる。その間もナスダルの攻撃で建物はぶっ飛ぶし、獣人さん達もこのまま騎士団を相手にしてても仕方ないって納得したらしい。
あっという間に騎士団と協力体制を取ってナスダルを迎え撃つ。
「俺達も行かなきゃ」
「…なるほど。本当に俺達は騙されていたのだな?」
「俺をずっと守ってきてくれたのは騎士団だよ」
「わかった。お前を信じよう。ーーー全軍、わかっていると思うが…敵は騎士団、および王子達ではない。我々を騙した者共に鉄槌を食らわしてやろうぞ!!」
下の方から「おぉぉぉ!!!」って野太い声が上がる。今の声下のみんなに届いてたの?
俺は余程キョトン顔をしていたのか、ブハッと吹き出したライオンさんが腕にはめた魔道具を見せてくれる。
「通信機だ。ここから皆が耳につけている受信機に指令を送っていた」
『ミコォォォォォーーーー!!ヨノモノゾォォォォ!』
うわぁ、もうホントに気持ち悪いし何でこんなに執着されてるんだか意味わからんし!!
「後からそれ見せて!」
「良かろう。ひとまずあの煩いトカゲを黙らせてからだ」
「俺は先にあっちのみんな助けてくるから。ーーーねぇ、あんた名前は?」
「レオニス。レオニス・ナフィーリアだ」
おっとー?何か王族っぽい人だったわー。でも今は俺の知る王族さん達を助けに行かないとな!
逆に俺を無理矢理旅に出させたのはあの王様の方だ。
「ナフィーリア軍に情報を持っていったのはパワハルだろ!?あいつに騙されてるんだ!」
ライオンの獣人は眉をひそめ、耳をぴるる、と動かし口を開く。
「パワハル殿はお前を救うために命からがら騎士団から逃れて、助けを求めに来た、と…」
「逆だよ!!パワハルは俺を無理矢理犯そうとしたり、誘拐もした!騎士団が俺を助けてくれたんだ!あんた達は騙されてるんだ!!」
ちらり、と見た窓の側では未だ追い詰められてるレイアゼシカ達とメイディ達の姿。
みんなを助けなきゃ…!!
でも、もう一度離せと叫ぶよりも先に。
◇
「神子…神子だ…!あれは余の物…っこの国を守る…、余は、国、を…、余…、王ぞ!こ、のォォォ…っくにっ、はァァァーーーーーッ!!!よ、のものぞぉォォォォーーーーーーー!!」
バキッ、と異音が響き、テューイリングは背後にメイディを庇う。その、目の前で。
メリメリと音を響かせ、ナスダルの体が不自然に盛り上がった。
ガバリと開いた口からおよそ人間の物とは思えない牙が覗き、だらりと垂れた長い舌からは唾液が滴り落ちる。
「よ、は…王、ぞ…このくに、は、余の物…すべてはァァァァ!よのものォォォォーーーーーーー!!」
バキィ!!と音を立て血飛沫が散る。
「な、何…!?」
「わからん…!下がれメイディ!」
「さぁぁからう者はぁぁぁぁーーーーーーー死ィィィィィ!!!」
爆発音が響き渡り王宮の天井が崩れ落ちてくる。咄嗟にメイディを抱え込み落ちてくる瓦礫から庇った。腕の中で
「テューリ!テューリ!!」
と叫ぶメイディが自分を盾にテューイリングを守ろうとしていたなどお見通しだ。
この腕の中の愛しい伴侶を守って死ねるのならば、とテューイリングはますます腕に力を込めてメイディを掻き抱いたーーーが、いつまでも覚悟していた衝撃は襲ってこない。不思議に思って見てみると半透明の球体が自分達を庇うようにぼんやりと光っている。
「これは…」
「スナオ様の魔力…?」
辺りを見回せば自分達の周り以外瓦礫で埋まり、ナスダルが連れていた神殿兵の姿はない。下敷きになってしまったのかも知れない。
天井から上が崩落し空が見える事に呆然としていたけれど、ふと見れば向かいの塔で朴が手を振っている。そして上、上、と指をさす為、上?と見上げれば。
『ヨ、ハァァァァーーー!おう、ゾォォォォーーーーーーー!!』
◇
金色のドラゴンが黒い煙を吹き飛ばしながら真っ青な空を滑空してる。ナピリアートの時と同じだ。人間が化け物になった!
しかもドラゴンは騎士団だけじゃなく、ナフィーリア軍にも攻撃を始めて茫然と空を見上げてた獣人さん達もあたふたと逃げ惑っている。
なのに神殿兵の一部はまだ今のうちに、とばかりに騎士団を攻撃してるから俺は頭に来てしまった。
「離して」
今度はライオンさんも何も言わないで離してくれて、何をする気だと訝しげな顔をしている。
風に乗せたら声って遠くまで届くんだよな。拡声器みたいなイメージで…
「双方戦いをやめろ!!!あの化け物が見えないのか!!?俺達の敵は目の前の兵士なのか!?違うだろ!!!!」
思いの外声が大きかったのかシン、と静まった戦場にドラゴンになった王様の狂った叫びが木霊する。
「あいつがこのまま何もせず飛んでるだけだと思うか!?この国を滅ぼしたら大人しくなると思うのか!!ここが終われば次の国を襲いに行くぞ!!自分達の国が滅ぼされても良いのか!!!」
低空飛行してきたドラゴンに何人かが吹っ飛ばされた。
「聖王国騎士団!ナフィーリア軍!俺に手を貸してくれ!!!本物の逆賊ナスダルを今ここで止めるんだ!!!」
俺は元の王様は知らない。今こうやって狂ってる姿しか見たことないから。でもメイディの所に行く前にテューイリングは言ったんだ。賢王だった父を尊敬していた。これ以上狂って逆賊になった父を見ていたくないから刺し違えてでも止める、って。
最初に声をあげたのは騎士団のみんなだった。疲弊して、ボロボロだけどやる気に満ち溢れた顔でわらわらと砦から出てくる。その間もナスダルの攻撃で建物はぶっ飛ぶし、獣人さん達もこのまま騎士団を相手にしてても仕方ないって納得したらしい。
あっという間に騎士団と協力体制を取ってナスダルを迎え撃つ。
「俺達も行かなきゃ」
「…なるほど。本当に俺達は騙されていたのだな?」
「俺をずっと守ってきてくれたのは騎士団だよ」
「わかった。お前を信じよう。ーーー全軍、わかっていると思うが…敵は騎士団、および王子達ではない。我々を騙した者共に鉄槌を食らわしてやろうぞ!!」
下の方から「おぉぉぉ!!!」って野太い声が上がる。今の声下のみんなに届いてたの?
俺は余程キョトン顔をしていたのか、ブハッと吹き出したライオンさんが腕にはめた魔道具を見せてくれる。
「通信機だ。ここから皆が耳につけている受信機に指令を送っていた」
『ミコォォォォォーーーー!!ヨノモノゾォォォォ!』
うわぁ、もうホントに気持ち悪いし何でこんなに執着されてるんだか意味わからんし!!
「後からそれ見せて!」
「良かろう。ひとまずあの煩いトカゲを黙らせてからだ」
「俺は先にあっちのみんな助けてくるから。ーーーねぇ、あんた名前は?」
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