【本編完結】農民と浄化の神子を並べてはいけない

ナナメ(新作についてお知らせ)

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第三章 神子

新スキル

「オーマイア…スナオはまだ正式に婚姻をしたわけではない」

あ、やっぱりディアの所の執事さんだよね。最初の頃初めてディアの部屋に行ったとき執事出てきそう、とか思った事を思い出す。
…いや、多分ローゼンやティエの家にも執事いるんだろうけど、なんていうか生粋のお坊ちゃま、って感じがするのはディアだもんな。

何て現実逃避しつつ、ディアの言葉に頷く。実は俺達つがいだからって一緒にいるけど何気に婚約とか結婚とかそんなのまだだったんだよね。パーピュアの結婚式の後で自分達もするか訊かれたけど、旅も終わってないのにどうなんだろう、と思って延期してたんだ。やる事やってるくせに、と言われたら言い訳出来ないですが。

「しかしいずれは正式に婚姻なさるのでしょう?」

呼び方は変えませんよ、とでも言いたげな笑顔にディアはため息をつく。

「こういう顔をする時は何を言っても無駄だから覚えておけよ、スナオ」

なるほど…。ディアはきっとオーマイアさんに頭が上がらないんだな?いつもなら騎士団長らしく毅然とした態度のディアが珍しくあっさりと退いたのが何だかちょっと微笑ましくて思わず笑ってしまう。

「スナオ」

俺が笑っている事に気付いたディアに緩く頬をつねられたけど全然痛くないし、照れ隠しがまた可愛くて笑いが止まらなくなるからやめて欲しい。
俺が笑ってたら、ティエとローゼンも柔らかく笑ってくれてたから何か少し嬉しくなってまた笑った。

「さあ、スナオ様。食事にしましょう」

俺に差し出されたカップをディアが受け取り俺はその中身を覗く。今日もまだどろりとした感じのパン粥だ。今日のは緑っぽいから野菜かな?

「今日のは豆のパン粥です」

テーブルには3人分だからだろう。物凄い量の食事が並んでいく。オーマイアさんの他に人はいないのかティエとローゼンが並べるのを手伝っている間にディアが俺にカップを持たせてくれた。

「どうだ?持てそうか?」

ちょっと重いけど、これも筋トレだと思って頑張ろう。みんな甘えてたらいつまでも甘やかしてくれそうだし。

「大丈夫」

でもみんなまだ食べてないのに俺だけ食べるわけにいかないなぁ、って思って待ってたら俺が無理をして持ってると思ったらしいディアにカップを取り上げられてしまった。しかもスプーンですくって、フーフーまでしてくれる。いや、ありがたいけど!そこまで甘やかされたら俺ダメ人間になっちゃうよ!

「ディア、自分で食べれむぐ」

話しの途中でスプーン突っ込むのやめてください。でも美味しくてつい文句を言うの忘れて味わってしまった。豆臭さはなく、まろやか。ちょっと味が薄いけど下手な味付けするよりこのほんのり感じる豆の甘味が美味しい。
その後は無言で口を開けて待ってしまってオーマイアさんに微笑ましく見られている事に気付いた時には顔から火が出るかと思った。

「…坊ちゃまもついに大切にしたいと思える相手と出会えたのですね…」

感慨深げなオーマイアさんにその辺詳しく、と詰め寄りたかったけど本人目の前に訊いても本人に止められそうだから今度こっそり聞いてみよ。なんて思っている間に三分の二くらいでまた胃がキリキリ痛くなって気分が悪くなってきた。

「無理そうか?」

やっぱりディアもすぐ察してくれて手を止める。俺が頷くと、最後に薬を飲んでおけ、ってパーピュアが出してくれた薬を飲んで姫抱きでベッドに連れてきてくれた。

「私達はこの部屋にいるから、少し休め」

「うん…。寝る時は側にいてね」

「安心しろ。その為にこの屋敷に来たんだ」

ん?どういう事だろう?
なんて思ってたら、ディアが髪を梳いたり頭を撫でたりしてくれて、それが心地良くて。俺はまたあっという間に眠りに落ちたのだった。

そしてふわっ、と浮いた感覚に驚いて目を開けた時にはそこはあの謎の泉だった。
透明度の高い泉のど真ん中でまた浮いてる俺。泉の中からは緑やら黄色やらキラキラ光る球体が浮かび上がっては夜空に消えていく。
何かすごく久しぶりだな、なんて思ってたら、ぶん、と音を立てて目の前にあのボードが現れる。

『職業    農民(浄化の神子)
 種族    ヒト族(メム体)
 スキル   治癒術
       魔術障壁
       大魔術
       不運
       淫乱(つがい
       のみ)
       神聖魔法←New
 称号    双黒の者
       総受けの者
       物理防御ペラペラ
       不運の申し子
       番持ち
       全てを浄化する者←New  
 ステータス 生命力  B
       力    E
       物理防御 F
       魔力   SSS
       魔法防御 SSS
       素早さ  A
       運    F』

あれ、また何か増えてる。神聖魔法ってなんだ?って首を傾げてたらここへ来て初めて俺以外の人の気配を感じて慌てて振り返った。
でもそこにいたのは薄ぼんやりとした光の塊で人じゃなかった。

「…なんだ…?」

『スナオ…』

うわ…!喋った!!しかも名前呼ばれた!!
ここが夢の中だからなのか現実世界みたいに体が怠くて重い感じがしないから思いっきり後ずさる。得体のしれない物からは離れるに限る。

『スナオ…、アサヒ…』

「!!朝陽…!?朝陽を知ってるのか!?」

『アサヒ…眠る…スナオ…呼ぶ…人質』

「…人質…?俺を呼ぶ人質って事?」

『アサヒ…人質…殺さない…』

どういう事だ?朝陽は人質だから殺さないって事?それとも朝陽が人質を殺さないって事?いや、朝陽、眠る、って事は朝陽は眠ってるって事だよな?

『スナオ…助けて…コトネ…』

「ことね…?」

誰?もしくは何?と訊こうとする前にぐら、と足元が揺れてハッとする。前はいつの間にか番のみんなと引き離されて森の中にいた。もう二度とそんなのはごめんだ。

「他の所に飛ばさないでくれ!!みんなの所に帰して!!」

俺の叫びと同時に体がぐん、と引かれた。

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